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017 親が子どもにクロールを教えるためのTIPS ②-1泳ぐ:バタ足って何のためにあるの?
ここまで、長々と「水慣れ」について語りました。でも、ぜんぶ大事で欠かせないスキルです。コツコツと続けて一つ残らず習得してくださいね。
さて、次のステージでは「泳ぐ」をテーマにして話を進めます。ここで大事にしたい事は決まった泳法にこだわらず、泳ぎに必要な要素を調和させていくことです。目指すゴールは、、、
ずっと、浮いて
ずっと、足を動かして
ずっと、手を使って
ずっと、呼吸をして
これらを、ずっと、続けれること
コレです。異なる4つのタスクを調和させることが最も重要なポイントです。
ちなみに「浮く」ことはすでに水慣れでできているので、スタートは「足を動かす」ことからです。では、はじめましょう。
バタ足について考えてみる
バタ足の役目は何か分かりますか?多くの方は「前に進むため」と口にするはずで、ズバリそれは正解です。ただ、これは少し個人差のある話で、それについては後でまた話します。
それよりも先に理解しておいて欲しいバタ足の役目があるんです。それは、、、
足が沈まないように浮かせる役目
ココを押さえておいて欲しいです。
足が浮いたら何なのよ?
足が浮くということを言い換えるとこうなります
体を水平に保つこと
進む方向に対して最も抵抗の少ない姿勢を保つこと
水の中で動くスピードは、「進もうとする力」と「進む方向に対しての抵抗」で変化します。原則水泳では、進む力は大きく、抵抗は小さくすることが大事です。もし足が浮かないと、進む方向に対して大きな抵抗を産んでしまいます。
初心者は手の力で進むのがオススメ
先にバタ足の役目は「前に進むため」で間違いないと述べましたが、記録を競う選手でもない限り、まずは手(腕)メインの力で前に進む方がいいと思います。感覚的な話ですが10の進む力があるとして、手(腕)8:足2くらいの割合でOK。
バタ足って実際、足首の柔らかさや動かし方の違いで進む力の個人差が大きくて、上手くいかない人には結構キツい動きなんですよね。だから「進もう進もう」とすると脚も呼吸もかなり疲れちゃう。
いっそのこと「とりあえず足が浮いていればOK!なんなら進まなくてもいい」程度まで割り切ることで、バタ足で疲れてしまうのをかなり抑えることができます。
「どーせ手(腕)のかきで進むんだから、足は頑張らない!」と決めてしまいましょう
バタ足で気をつけたいこと
とはいえ、足が浮かないバタ足をしていては本末転倒で、足の動きそのものにはある程度の練習が必要です。
バタ足は結構根気強く練習が必要なスキルだとは思うのですが、僕が大事にしたいポイントは
膝と足首が柔らかく使えること
これくらいでしょうか。基本的にはこれに気をつけながらバタ足を見て、「足が沈まない」で「柔らかい動きでバタ足」ができているならまずはOKかなと思います。進む進まないは重視しません。そこが判断基準になると相手からしたらキツいので。
基本的にはこれを意識した指導をしながら、あとは様々なケースに対応していきます。では、最後にバタ足でよくあるエラーを3つほど紹介します。
バタ足あるある1 脚が棒
足の付け根(股関節)メインの動きで一本の棒みたいな脚でバタ足してしまう人がいます。見た目は重くて硬く、かつ動きものろい。特に膝や足首がぴーんと伸びているので力みをかんじます。
この場合、何はともあれ「膝をもっと曲げてからバタバタしてごらん」「足首の力を抜いてごらん」などの声かけで膝と足首を柔らかく使わせましょう。
バタ足あるある2 小刻みで早い
明らかに、小さく小刻みな動きをする人がいます。普段のバタ足が「バタバタバタ」くらいとしたら、このパターンは「タタタタタタタタタタタタ」くらい小さく速いです。やたら速い動きなのでカラダの力みが強くて膝も柔らかく使えず、よくないです。
もし、お子さんが金魚になっていたら「進まなくていいんだから、もう少しゆっくり、もっと膝を曲げてバタ足してごらん」と教えてあげてください。
バタ足あるある3 足がやたら浮いてこない
見た目は全然いいバタ足してるけど、何故だか足が浮いてこないゾ、、、?という子がたまにいます。次の話を検討してみてください。
バタ足にはダウンキック、アップキックという局面の考え方があります。
ダウンキック
曲がった膝が伸びて、まさにバタッと水を押している瞬間
アップキック
伸びた膝が曲がって、バタッの準備に入っていく瞬間
ここで一つ考えて欲しいのが水泳の原理。
水泳は、大きい水の抵抗を利用して
水を押すことでおこる反作用によって自分のカラダを色んな方向へ動かすわけですが、ダウンキックはその名の通り下に水を押すから反作用で足が上に(正確には斜め上に)浮いてくるんです。じゃあアップキックは?水を上に押すから反作用で足は下に沈むんです。
え?でも、足は上にも下にも動くわけだからどちらかに偏るわけないじゃん!相殺されてその場に留まるんじゃないの?と思う人もいるかもしれませんが
水の抵抗はカラダの動くスピードで大きく変化します。偏りがでるのには理由があります
足が浮いてくる
アップキック<ダウンキックを頑張っている(意識している)
足が浮いてこない
ダウンキック<アップキックを頑張っている(意識している)
結論をいうと、足が浮いてこない子はアップキックを頑張ってやっているかもしれないということです。
もしそのパターンがかなり疑われる場合、「下にバタ、バタ、するでしょ?そのことだけを考えながらやってごらん」など、意識をダウンキックに向けさせるように声かけしてみると、力みもとれて、足が浮いてくるかもしれません。
※水の抵抗については、前の記事が参考になります
お疲れ様でした
バタ足は個人差が大きいスキルです。「バタ足で進むんだ!」と基準を設定すると「…キツくて長く泳げない、、、。」と自信が持てない子も相対的に増えると思うので、
僕はあえて「全然進まなくていいから!浮けばクリアだよ!」と「できた」の条件を最低限に設定して指導をしてみることをオススメします。そう考えると、教える側も習う側も結構楽になりますよ!
それではまた
#子ども #プール #水泳 #泳ぎが苦手な子ども