武装カルト宗教の三形態

武装化したカルト教団が、その違法な活動を当局に追及されて取った行動には、次の三つのパターンがある。

 

米国のピープルズ・テンプル(人民寺院)は、共同生活のため移住したガイアナで、教祖の命令により「集団自殺」を行った(1978)。洗脳状態における自殺教唆なので、実質的に殺人だと見ることもできる。また、調査に訪れた議員らを殺害しているが、最終的に教祖は教団内部に暴力を向けたと言える。

同じく米国のブランチ・ダヴィディアンの場合、警察の強制捜査の際に銃撃戦となり、双方に死者が出ている(1993)。教祖は警察に暴力を向けたのだ。そして最後は、やはり「集団自殺」を遂げている。

オウム真理教は、警察の強制捜査を事前に察知し、捜査の撹乱を目的として地下鉄サリン事件を起こした(1995)。つまり教祖は教団でも警察でもなく、全く無関係の人々に暴力を向けたのである。

 

ちなみに、オウムへの強制捜査で武器は使用されず、死者も出ていない。教団の施設内では毒ガスや機関銃が製造されていたが、信者がそれらを使うことはなかったのだ。これは警察や自衛隊が有能だったからか? 信者のほとんどが暴力とは無縁だったことの証左か?

いずれにせよ、上述の前二者と比較すると、無差別テロまで起こした集団が強制捜査のときは何もしなかったというのは特徴的である。

比較文化論、宗教社会学、犯罪心理学などのテーマになりうるだろう。

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