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言葉にできないとはこういうことなのだと知った。
言葉にできないというか言葉にしたくない。
感じたことを伝えるのに足る語彙力も持ち合わせてないし、多少あったとしてもきっと伝えたいことの半分も伝わらないから。
世の中には言葉にしないほうが良いこともあるみたいだ。必死になって自分のことばを探して、日々感じていることを言葉にしようとしている私からしたら少しばかり寂しくもあるが。私にそう思わせるには十分すぎるほど濃密な時間だった。

人生初のひとり旅をした。
一人旅行はあったけどひとり旅と呼べるものは初めてだったと思う。

旅先は四国の香川、高松。

3年前に村上春樹の小説『海辺のカフカ』を読んだときから、ずっと心惹かれるものがあった地。
田村カフカくんと同じようにということなのか、行くなら一人がいいとずっと思っていた。

人生はタイミングが重要とはどこかの誰かが言ってそうなことだ(実際、聞いたことはあった)が、本当にそうなのだと実感した。

ことあるごとに高松に行く予定を立てては、それが実現することはなかったこの3年間。

行くべきときに行くことができた。
いま行くのが正解だった。
そう胸を張って言うことができる。

なぜかと言えば、いま間違いなく私は人生の分岐点にいるからだ。ここ数ヶ月間で私の価値観は大きく変わった。人生においてなにを大事にしたいか、なにを軸に生きていくのか、日々なにを感じるか、そういった類のことが大きく変わった。ものごとを見る目も変わった。五感から吸収される情報すべてが変わったかのようで、同じ日常、同じ景色のはずなのに、それまでとは全く違う世界に生きているような心地さえした。ここ数年をかけて少しずつズレていった歯車たちが、カチッと音を立てて綺麗にはまったという感覚に近い。

そんなときに、ひとりで旅に出た。

出発にあたって一つだけ決めていたことがある。
言うならば、この旅のテーマ。

のんびりとその時の気分に身を任せて
自然を満喫しよう

終わってみれば想像していた以上の時間を過ごすことができたと思う。

間違いなく流れている
"もうひとつの時間"を感じることができた。

冒頭で書いた通り、感じたことを言葉にするのは難しいから、代わりにノートに残してあったメモを。



ーーー

空と海と山、太陽、空気、

鳥と虫たちの鳴き声、

これ以上なにもいらない。

そう思えるほどに心が満たされた。

地球に生きていること.

生かされていること、

人間の力ではどうしたって抗えない、

その大きなパワーを全身に強く感じた。

大きな愛だった。

今までに感じたことないほど、

目に見えることはない、

大きな大きな愛だった。


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