『かがむ』#322
ふだん何の気なしに発言する言葉だけれど、文字にして見ると直ちに違和感に襲われる。見慣れない文字だ。かがむ。漢字にすると、屈む。
最近、この動作が少々つらい。体の老化ではなく、どうも、筋肉が硬くなっているらしいこと、それが原因のようで。
ふだん、週に2回のランニングと、風呂場でのスクワットを行なっているなかで、ランニングのときは前後に体操とストレッチをしているけれどどうも、毎日これはやらないとまずいのではないかと、かがむことのつらさから思うことが最近しばしばある。ランニング前にするストレッチでも、とくに膝裏や腿裏、身体の背中側の筋肉を伸ばすときにびちびちに縮まった筋肉が突っ張るような感じが必ず、ある。「の、のびない…!」と。はっきりわかるのがその背中側の筋肉なのだがおそらく、前側も縮まっているのだろう、正座が下手くそで足の甲を床にぺたりと付けるのが難しく、足首は伸び切らなくて床につかないことからもなんとなく、わかるのだが、とにかく私の筋肉はいつも縮こまっているよう。あるいは、筋繊維が短いために伸ばすのが難しいとか、その方面の可能性もありえるが、まぁとにかく伸ばすのがたいへん。
そんな私のかがむ動作は、伸ばせる筋肉と伸ばせない筋肉との対話を通じて、しゃがむことと頭側を下げることとを交互に行うようにして、少しずつ手を地面へと近づけていくこととなる。単に前屈をしたとしても、指先は地面に届くか届かないかくらい。じゃあしゃがんでしまえばいいじゃないかと思うが、しゃがむ動作って結構難儀で、なんというか、運動エネルギーでもって位置エネルギーを完全に下へ持っていくため、エネルギー消費が大きい。だから、腰や頭はそれなりに高い位置に置きながら手先だけを地面に持っていくかがむ動作は人間に備わった省エネ動作のひとつなんだと思うわけで、かがむだけで完結できるならばそれがいい。
なんでこんな、かがむ動作についてわざわざ書いているのかといえば、ランニングのときに靴紐を結んだり解いたり、靴の仕度をする動作がつらく感じることに理由がある。走る前に締め直すこと、走ったあとに緩めること、それは履くときと脱ぐときのように座って行う動作でない、立位からサッと行う動作であるのに、どうも具合が悪いためにランニングそのものの爽快感と達成感を損なうわけで、とみに思うことは「身体が硬いことは全てに悪い影響をもたらす」というごく一般的な通説は正であるなという納得。
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