『かく』 #366
真夏のピークが去ったとかなんとか考えていたら、猛烈な暑さが戻ってきた。八月もあと一週間で終わろうかというこの時期に、列島猛暑日三十五度超え、まったくまいってしまう。参ってしまって、部屋の片付けを始めた。クセみたいなもので、たぶん共感できるる人もいるかと思うけれど、何かそのときやるべきことがあるとかやらなきゃいけないことがあるときに、掃除を始めてしまう。今日はあまりに暑くて机に向かうこともおっくうで、うなだれて部屋を見ると本とか紙袋とかまあ色々がほっぽった状態になっていて、なんとなくちょろちょろ片付けていたらだんだん部屋全体の落ち物を片付けていって埃の溜まったところはサッと拭いて古紙と紙袋をそれぞれ大きめの紙袋にまとめて胞子がついたような鞄にアルコールを吹きかけてハンガーにつけて外に干してスカッと空いた床をクイックルワイパー的なもので綺麗にしていったらあっという間に部屋は綺麗になっている、というわけで、やるべきことの前の掃除は捗る、という話に、なってしまったのだけど、この間にやっぱり暑くて大量の汗をかいた、この汗をかくことの、かく、というのが気になったのが掃除の八分目くらいのころ。そもそも、この汗をかくのと同じ感じで疑問なのが、恥をかくとか、べそかくとか、いびきをかくとか、なんで「かく」っていうんだろう、って気になったところ。
掃除を終えて辞典を見てみれば(もうすでに、掃除の前からやるべきだったことが後回しになっている)、汗などの「かく」は、「掻く」と同じ用語に分類されている。引っ掻く系の分類。汗をかくのも、恥とかべそとかいびきとか、どこかを引っ掻くわけでもなしに、こう、人体のメカニズムとか歴史とかみてみても、あまりピンとこないし、ググってみても、想像によるものがヒットするばかりなので、正確なことがわからないんだろうか、きっちり研究とか論文まであたってみようかと思ったけれど、納得できるなら今回はそこまででいいかな、と思った、思ったが、納得できるものもなかった。知恵袋で屁を「こく」というのは「放く」というそうです、みたいな回答があってそれはたいそう面白かったんだけど、結局「かく」方には答えがでない。と、こう、書いていくうちに私の中での想像はもう実は固まっていて、ひとりで納得した。つまり、この「かく」というのは、汗をかけば肌を掻き、恥をかけば頭を掻き、べそをかけば目を掻き、という感じではないかと、動きに付随する動きに動詞を当てはめたんじゃ無いかと、と思った、名案じゃないかと思ったんだけど結局いびきはわからなくて、まあ腹でもかくんじゃないかな、なんて半笑いで顔をかいています。
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