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『覇王別姫/さらば、わが愛』4K 鑑賞しました

ちょこちょこ書き進めていながらも忙しかったので、ずっと下書きに溜めていましたが、もう一回観ようと思っていたらやむなくスケジュール的に難しかったので、こちらで消化しようと思います。
特に中身のない駄文ですが自分の整理用に。

平日にもかかわらず、都内だったからかものすごい盛況。


1993年という私が生まれる前の作品なのですが、不朽の名作です。
7月28日から4K上映されるとの事で、初日に観てきました。
ほぼ満席で始まる前からものすごい行列でした。
あと物販での盛り上がりがすごくて驚いたのが印象的です。知らなかっただけでこんなに熱狂的なファンの方が沢山いたんだと。

大学2年生の時に中国現代文学?文化?の授業で鑑賞したのですが、当時大学生活が多忙すぎて、作品をじっくり味わう余裕がなかったんですよね。
そのおかげか(?)、大まかな内容とオチしか覚えていなかったので、かなり新鮮な気持ちでスクリーン鑑賞することができたのでとても良かったです。

観終わった後も余韻が凄く。
結局誰も救われない、所謂「大鬱」映画かつ、170分という長丁場でしたが、それでももう一回観たいと思えるほど心を奪われました。
以下はただの備忘録ですが、私なりの感想を記録したいと思います。

「お耽美」の最骨頂


主演俳優、レスリーチャンのすばらしさを抜きにしてこの作品は語れないでしょう。
小豆子の時、京劇役者の時も違った美しさがあり…

悲しいかな、彼がもうこの世に存在していないという事実がこの映画の価値をぐんと引き上げているように感じてしまいました。
本当に鑑賞中、
「実在する人間とは思えないくらい美しい…でももう今はこの世にいないんだ…」という感情が渦巻いて大変でした。

もはやいちいち言うまでもないのですが、造形にとどまらず所作や話し方、すべてが洗練されていて、完全な「程蝶衣」像が確立していました。
個人的に、虞美人を演じる時にちょっとドヤ顔チックに目尻と口角が上がってる瞬間が何回かあって、そこが萌えポイントでした(細かすぎて伝わらない)
あそこまで役に入り込んであの独特な世界観を作れる俳優が、世界中でどのくらいいるだろうか。プロ根性に脱帽。

この表情が好きです。

それと、青年時代の俳優さんの儚さ?美しさが凄まじい。
石頭の額の傷を舐めるシーンがこの映画の中で一番こう…ぐっときました。何だあの色気。。。。
あと、お偉い爺さんの前で台詞間違えちゃって罰を受けた後に覚醒するシーンが大好き。まあその後舞台と現実の境目がなくなって苦しむことになるんですが…

ちょっと子役時代の神木隆之介君を感じる。


同性愛というテーマを扱うことについて

この映画を語るうえで外せないのはこの話題でしょう。
私情を挟んでしまうし、考えれば考えるほど感情移入してしんどくなってしまうので、この場ではあまり語らないようにしますが、
あの中国であの時代に作られ、多くの人に愛される映画となったという事実が、たくさんの人を救っているように感じます。

俳優陣の演技力に殴られる

個人的に一番心を抉られたのが、小豆子がアヘンの発作で苦しむシーンかもしれないです。
どんどん自分がなくなっていき、唯一愛する石頭と現実で一緒になることはどうしても叶わなくて、自分にとってすべてである京劇さえ失いそうになり、生きていても絶望しかないというのがダイレクトに伝わってきて、観ている方もかなり苦しかったです。

あとは文革で自省を命じられたシーンで石頭に裏切られる菊仙の顔。
あの絶望した顔があまりにリアルで、
もはや涙も出ない程、心も頭も空っぽになる感じ、
大スクリーンでの彼女の表情が今でもはっきりと目に焼きついています。

両目の開き方も違くて、見てて「怒ってるな…」「かわいそう」とか単純な感情にならない、
この表情が出せるの本当にすごい。

あと、細かすぎるんだけど印象に残ったのが
「多谢,菊仙小姐」(菊仙さん、ありがとうございます。)というせりふ。

→1回目は結婚することになった菊仙に嫌味を言うシーンで、
 2回目は石頭に裏切られて慰めてくれる菊仙に言葉をかけるシーンで。

こういう、同じせりふや言い回しを別のシーンで使う手法個人的に好きですね。

雑感

・今更私が言うまでもないのだけど、キャスティングが天才すぎる。
・菊仙がどこか日本人ぽい。昭和美人で普通にいそう。
・衣装がすばらしい。京劇の衣装のこだわりも勿論凄いし、普段のシーンで着ていた正装みたいな服装も素敵だった。
最近チャイナドレス(風の服)流行ってるけどやっぱりかわいい~!と思った…自分は着れないけど^^;
・席の周辺が中国の方たちが多くて、皆さん号泣されてたのが印象的だった
・そんな中、羽?持ってるパトロンが鏡に写ったところで会場から笑い起きてたのが良かった(笑)(ここ笑っていいとこなのかな?とかハラハラしながら見ていたので)
・政治的な部分はとりあえず耳が痛かったけど、もう少し勉強したらもっと理解できるのかなという気持ちになりました…
・ミッドサマーでも同じ現象だったのですが、重いというか雲行き怪しい(?)シーンで不協和音流れるのはなんなんだろう…一気に不快になるんだ…これ誰か共感してくれる人いないでしょうか^^;
・あと、邦題の「さらば、わが愛」って秀逸すぎませんか?それだけで泣ける。

サブスク解禁されたら課金が必要だとしても絶対見たいし、なかなか出てこなかったらDVD買いたいくらい、本当に特別な作品になりました。
生きてるうちにこの作品に出会えてよかったし、スクリーンで見られて本当に良かったです。

レスリーチャン、永遠なれ!

役の中だけで愛し合えていたという事実が切なすぎる。


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