熱波師でもなんでもない一般客が熱波甲子園に参加してきた話
※最初に書いておきます。感じたままに書いています※
熱波甲子園2023秋に関してnoteに投稿されていたとある方の記事を読んで、思い出した。
「そんなにサウナ好きで1人で男性専用サウナ施設のレディースデイ何ヶ所も回っちゃうくらいなら、その体験を記事にまとめてみたらどうですか?ちなみにそれが公開されたら、僕は間違いなく読みます。自分が知っている施設を他の人が、というかsu.さん視点でまとめられていたらめちゃくちゃ面白そう。」と、元同僚サウナー男性に言われた時のことを。
面倒くさがりだし、いいと思ったことだけじゃなく良くないと思ったこともしっかり書いちゃうし、施設側からしたらこんな記事求めてないよなあ〜と思ったので「じゃあ、いつか書いてみますね」と、決して書かない人が言う返事をしておいた、あの日。
でも、今回の熱波甲子園のことは残しておきたいと思い、まとめてみることにした。
熱波甲子園2023秋への参加を決意するまで
熱波甲子園の存在は以前から知っていたが、自分が行くものとして捉えてはいなかった。熱波師による熱波師のためのイベントだと思っていたからだ。今回行った理由はふたつある。
1.最近冒険サウナをしていなかったから
2.しばらく会っていなかった推しが選手として初出場すると知ったから
参加費は、14,828円。(『いーよ、パネッパ?』それとも『いよっ、パネッパ?』どちらにしても)た、高い…
でも今回はとてもいいチャンス!今日を逃したらこんなチャンス2度とない!!ここで払った金はまた仕事で稼げばいいと自分に言い聞かせ、数日間悩んでギリギリにチケットを購入した。
ちなみにシフト確定後に休みを調整したため、会社の人にはしっかりと理由を伝えた。「熱波甲子園に参加する」というパワーワードを、みんなして面白がって、調整を快諾してくれた。ありがたい。
いざ、おふろの国へ。
熱波甲子園の会場であるおふろの国へは、川崎駅から市営バスが出ている。乗り込むと、車内には明らかに熱波甲子園に向かうであろう気合の入った服装の方達が何名もいた。
行きからテンション高ええぇ!!
会場へは、入場開始と同時に到着。出迎えてくれたスタッフさん、すでに会場入りをしていた選手のみなさん、すごい。みんなゴリラ…そして気合い入りまくり……
唖然とした。ここ、私が来てもいいところなんだろうか…?すでにグループができ、みんな大声で騒いで盛り上がっていた。
話す人もおらず、話すネタもなく、話しかける勇気なんてあるはずもなく、わたしは少し離れた椅子に座り、ひたすらソワソワしながら時間が過ぎ去るのを待っていた。
身内感がすごい……
明らかに自分は浮いている………
誰にも話しかけず、誰からも話しかけられず、ただ1人で遠くの椅子にポツンとすわっている私は明らかに浮いていた。他の人のように推し施設のグッズを身につけているわけでも、『熱波!』みたいなストレートな言葉が書かれたTシャツを着ているわけでもない。
アイツ誰が呼んだんだよ…と思われていたに違いない。
ちなみにどれくらい浮いていたかというと
受付のお姉さん「あの、お客様…」
私「は、はい…」
お姉「その、このイベントの存在を、どのようにしてお知りになられたのかと…」
私「あ。Twitterです…」
お姉「あ、はあ、Twitter」
という、明らかに『お前誰やねん』と質問されているのと同じやりとりがあったほどです。
場違いランチは重すぎる
入国(「おふろの国」に入館することをこう呼ぶ)してからすぐに「ランチタイムカレー」の時間になっていたのだが、食堂は気合の入った民達で溢れかえり、とてもじゃないけどあの中に入ってカレーを食べる気にはなれなかった。
当初の計画では、ランチカレーを食べて少し休憩をしたら、開会式に出るつもりでいた。しかしここで、ランチカレーは食堂から人がいなくなった後に食べるか、最悪お金はもったいないけど食べなくてもいいか、と考えが変わってしまっていた。
ちなみにランチメニューはカレー一択。チケットを買う前から「ランチはカレー、夜は焼きそば」とメニューが決められていた。サウナといえばカレーライスか唐揚げ定食でしょと思って生きてきたが、このような気分でカレーが喉を通るはずはなかった。それくらいに、わたしは明らかに場違いである自覚があり、とんでもないところにきてしまった…早く帰りたい…と思っていた。
まだサウナに入ったわけでもないのに、脇汗がすごかった。
救世主登場!
そんな明らかに場違いな私に、積極的に話しかけてくれる優しいスタッフさん(ゴリラ)がいた。
井上さんよろしく、目元以外をタオルで隠し、ラグランTシャツに、左足に『水風呂』と書かれた真っ赤なハーフパンツをお召しになっている。
今までこのスタイルは=井上さんと思っていたけど、=ふろくに熱波師に展開されていたんだね。
「開会式までまだもう少しかかるので、お待ちくださいね。すみません。」
見た目はゴリラでも中身は優しい。そうだ、人を見た目で判断してはいけないんだった!!!と反省した。
館内放送では「カレーを食べていない人が何人もいます。食券をお持ちの方は速やかにカレーを食べてください」と言っていた。とてもじゃないが、このときの私の食道や胃に、カレーは重たすぎる。申し訳ないが、放送は無視させていただいた。
そのときだ!救世主が現れた!!!!
男風呂の奥から、推しが現れた!!!!!!!
わたしは一目散に走って、駆け寄った。
そしてこの恐怖体験を口早に伝えた。
こわい、こわい、ここゴリラしかいない、来るところ間違えたみんな怖い、みんなに変な目で見られる、場違いすぎるどうしよう帰りたい、泣きそう
というようなことを言っていたと思う。
推しは笑いながら慰めてくれ、ツーショット写真を撮ってくれた。これで大分気持ちが落ち着いた。
それまで、開会式にも出られるようなメンタルではなくなっていたが「開会式出ればいいじゃないですか。水着着て男風呂行けばいいんですよ」とスタッフさんが言ってくれたので、まあせっかくだしな…と気合を入れて水着に着替えて男風呂に向かった。
やっぱり場違いやんけ!!!!
わたしはビキニで来ていた。他のレディースデイでは、サウナ室で水着となるとみんなビキニだったから、なんの迷いもなくサウナ用(=サ室で火傷しないよう金属アクセサリーの付いていない)ビキニを持ってきていた。
するとなんと、ビキニの人なんて1人もいなかった。
女子はみんな水着の上にTシャツやハーパンを履いていたのだ。
そうくるなら最初から言ってよ!!!!!!!!!!
強く思った。
最高のマイクパフォーマンス
しかし仕方がないので、これで参加することにした。
井上さんのマイクパフォーマンスは素晴らしかった。場を盛り上げる喋りが上手いこと、そしてため息が出るほどスムーズなこと。今まで、井上さんは元祖熱波師、おふろの国といえば井上さんという印象しかなかったが、ここにきてこのMCを見て、井上さんの印象が大きく変わった。
次々と出場選手の挨拶が行われ、よく分からない掛け声も出てきた。
井上さん「ネェ〜ネェ〜ネェ」
周りの人「パァパァパァ〜」
※“熱波”
みんな疑いもなく、会場全体でこの不思議な掛け声を全力で楽しんでいた。拳を振り上げたり手を広げたりやっているが、初見なのと連れがいなかったのとで、まっっっっっっっっっったく着いていけず、性格的に周りのノリに合わせることもできずに棒立ちしていた。
こ、これ、さっきの行きのバスでサウナTシャツを着ている人達を見たときから思っていたが、この感覚…
特定の界隈では有名なのに、自分は全く知らないアーティストのライブに単身乗り込んできちゃったやつの気持ち!!!!!!!
第一種目目『風力ペットボトル倒し』
開会式から流れるように、一つ目の競技が始まった。
タオルで仰いで風を起こし、その力で2リットルのペットボトル(1/6くらい水が入っている)をどれだけ多く倒せるかを競うものだ。
熱波甲子園といえば、これ。推しがよく練習動画をTwitterであげていたので何回も見ていた。
他の人の様子は正直全く見ていなくて、周りの歓声だけを聞いていた。推しの倒した本数は、ゼロ。胸が熱くなって、泣きそうだった。あんなに練習していたのに一本も倒せないなんて、、、
現実は厳しい。練習量や内容が必ずしも結果に現れるわけじゃない。
みんなそれぞれの思いを抱えて、努力してきた。
それを身に染みて感じた。
食堂に避難
推しの第一種目も見終わったし、少し疲れたのもあったりで、わたしはカレーを食べる気になり一旦着替えて食堂へ向かった。
食堂はガラガラだった。やったね!これで落ち着いてごはんが食べられるぞ!!
チケットと引き換えにカレーを手に入れ、窓際のカウンター席へ。にんにく?らっきょう?が入っているのか、奥行きがありとても美味しいカレーだった。前回おふろの国に来たときは唐揚げ定食を食べたので、今回はカレーライスが食べられて満足だった。天気もとても良く、窓から入ってくる風が心地よかった。
するとここで、なんと私を心配してくれた推しがわざわざ食堂に来てくれた!!!
競技見たよ、残念だったね、でも頑張ってきたことは無駄じゃないよ、残りの競技も楽しんでね、などとウワーーっと話した。
推しは笑顔で「ありがとう」と言ってくれたが、すぐに真面目な顔になり「全国から集まっている実力のある熱波師さん達の風を受けたい。いつでも喋れるsu.とここでずっと話しているのは勿体ない」と言い残し、サウナに消えていった。
こいつ、、志高え、、、、、、、、
ここに楽屋はないんか?
カレーを食べ終えて少し休憩した後、熱波を浴びに行くかという気持ちになり、水着に着替えるため脱衣所に向かった。
すると…
「「「いらっしゃいませー!」」」
「「「ごゆっくりどうぞー!!」」」
「ワン!」「ツー!」「ワンツースリーフォー!」
「「「温泉サウナ銭湯〜〜♩」」」
ひ、ひいいいいぃぃなんやなんや!!!!!?!
な、なんとこの後ライブを控えたOFR48のメンバー達が、脱衣所の鏡を陣取って音楽を流しリハを行っていた、、、、
墨田区の薬師湯さんの入口で流されていたこの曲だけは知っている。ザ・電波ソング!
ノリノリでリハを続ける銭湯アイドル達の横で、1人水着に着替える一般客。そんなものいないかのように、リハを続けるアイドル。シュールすぎる。なんなんだここは、、、
第二種目目『おもてなし熱波』
OFR48にビビりながらなんとか水着に着替え、サ室へ向かった。次の競技、おもてなし熱波は、2か所のサ室を使って行われる。予め組まれたスケジュール通りに熱波師が入れ替わり立ち替わりサウナ室に入り、それぞれのパフォーマンスを披露するというもの。
これ、ものすごく条件が厳しい。
ロウリュ禁止、1回5分、普段店舗で実施している(もしくは近日中に必ず実施する予定のある)パフォーマンスのみでの構成されている必要がある。
音楽やトークで盛り上げる人
アイテムを使って非日常を作り出す人
複数名で歌い踊りながら行うチーム
本当に色々あったが、みなさんきっかり5分を守っていて素晴らしかった。練習を重ねて、みんながみんなそれぞれの持ち味を生かしてこの場に臨んでるんだと思うと尊敬の念が湧いてきた。
いろんな熱波師の熱波パフォーマンスを体感できてよかった。
ちなみにこの時間、審査員さん達は水休憩の時間以外ずっとサ室に入ってないといけなかった。だからサ室の温度が70℃だったのね。そりゃしんどいね、、、ありがたいね、、、
推しのおもてなし熱波は、音楽を使わずトークもほとんどなく、アロマは使っていたけれど正直ものすごく地味な演技だった。でもずっと笑顔で、送る風もひとつひとつがとても丁寧で優しかった。人を想う気持ちはタオルを通しても伝わってくるんだなあ、と思った。送られた風に乗って届けられるクロモジとヒノキの、優しい香りが肌を撫でた。
夕食の焼きそばと閉会式
ここまでで競技は終了。
着替え終わった後、幸いなことに競技を終えた推しと合流でき、一緒にごはんを食べることができた。
推しは練習に対して結果が伴わず、とても悔しがっていたけれど清々しい笑顔だった。
周りの歓声に煽られて無理しなければいいな、そして楽しんで欲しいと思っていた。結果が伴えばもちろん嬉しいけど、それは私にとっては、正直二の次。また次回リベンジすると張り切る姿を見て、安心した。
エキシビジョン『パネッパスクランブル』
閉会式を終え、いよいよラストの時間。
これはエキシビジョンなので、誰もが本当に緊張感が抜けた様子で、皆さん心からサウナを、熱波を楽しみながら過ごしていた。
私自身も緊張から解き放たれ、来たときに感じていた疎外感や孤独感が全くなくなっていた。推しはこれにも出場していたので相変わらず1人ではあったが、お話させていただいた推しの知り合いさんとも一緒にサウナに入ることができたし、それに1人であっても孤独は感じなかった。
そして、私の気持ちは来たときとは大きく変わっていた。
楽しいな。
熱波って、ただ熱くて苦しいだけじゃないんだな。
知らない人とサウナに入って得られる一体感ってあるんだな。
次もまた、来たいな。(推しが出場するのならば。)
閉幕
推しにずっと張り付いていたせいか、どうやら私まで熱波師のたまごだと思われたようで「普段どこで活動されてるんですか?」「Twitterないんですか?」と聞かれた。
「すみません、Twitterはありません。一般客なので、またお風呂の国で会いましょう。」と伝えておいた。
帰りは推しを北欧まで送り、帰宅。
とても良かったです。熱波甲子園。一般客でも楽しめます。めちゃくちゃ浮くけどね。