言語学に魅了された天才
コロナ禍当時学生だった人たちは、休校やオンライン授業で大変な思いをしていました。しかし、そんな中でも、そんな中だからこそ面白い活動をしている人たちもたくさんいます!
そんな彼ら彼女らに活動とその思いを伺います。
〇自己紹介
今回面白いと思った、コロナ禍学生だった人はしろすけ2号です。しろすけ2号とはフランス留学中に出会いました。「人工言語を作った奴がいる」という噂を聞いて話を聞いてみると、言語についての知識と情熱が深すぎて話が止まらない(笑)私も聞いてて飽きないし知識深まるしという、話して得しかない人です。
しろすけ2号は現在、受験を控えた学生。趣味は人工言語の制作・鑑賞、作曲、コーディング(プログラミング)、アニメ鑑賞、とクリエイティブなことが好きなようです。
(プライバシー保護のため、顔・年齢・実名は NGとのこと)
〇何したか
筆者(以下、R):しろすけ2号、言語作ったんよね。結局何言語作ったん?
しろすけ2号(以下、S):細かいものもいくつかあるのですが、大きくは7語ですね。旧ルカニア、現代ルカニア、ファネラ語、ティドリ語、ラ・エラ語、ルサン語、pa ni pa niなどがあります。
R:その年齢でめちゃめちゃ作ってるやん。
S:比べていいものかはわかりませんが、人工言語師がたくさん言語をつくるのは、作曲家がたくさん曲を書いたり、画家がたくさん絵を描いたりするのと同じ感覚だと思います。
R:人工言語師というものがあるのね笑。じゃあやっぱり作品という感覚なんだ。
S:そうですね。人工言語は一種の芸術だと言って過言ではないと思います。
〇言語を作るに至った経緯
R:なんで言語作ろうと思ったん?
S:コロナ禍につくり始めたんですけど、学校が休みになってすごい暇だったんですよね。それで言語を作りたいなって思って。
R:いや、突飛やな笑。普通はというか、「暇やなー。あ、言語作ろう」っていう発想になる人は決して多くないのよ。何かしらきっかけとかトリガーになるものはあるはずなのよ。
例えば、音楽好きで「作曲・作詞チャレンジしてみよう」なら分かる。それでいうと、きっとしろすけ2号は言語が好き、もしくは強く関心を抱くエピソードがきっとあると思うんだ。
S:ですね。よく言われます。例えばエスペラント(*1)ってあるじゃないですか?あれを作ったザメンホフさんは世界共通語を作らなければならないという神からの何かがあって作り始めたって言ってますからね。神を想定してるわけではないですが、私もなんかそんな気がしなくもないです。
*1:ワルシャワ(現ポーランド)で眼科医をしていたラザロ・ルドヴィコ・ザメンホフが中立公平で学びやすい国際語として1887年に発表した言語案をもとにつくられた人工国際言語(参考:一財 日本エスペラント協会)
R:なるほど。まあ、確かに私もそういう運命とか使命とか信じる派だから分かるかも。
J:言葉自体に興味を持ったきっかけで言えば、父がよく東アジアとか東南アジアとかに出張に行くんですよ。
R:タイにも住んでたって言ってたしね!
J:そうです。3〜4歳の間、父の転勤で。子どもなので言語の習得が速く、当時はタイ語がペラペラだったと両親から聞きました。今はあいさつと数くらいしか覚えていませんけど、、。
R:使ってないと忘れちゃうよね。。。
S:そうですね。日本にいるときも、父は向こうの仕事仲間と電話してるし、なんかお風呂に一緒に入った時に、よく言うじゃないですか、「10数えるまで上がれないよ」って。あれを中国語とかタイ語とかでやらされたんですね。
R:英才教育やな笑笑
S:はい。まあ、外国語に触れる機会は結構多かったかもしれないですね。幼稚園もインターナショナルスクールのようなところに行ってましたし。日本語を話すことが禁止されていたので、幼稚園(*2)時代の半分くらいは英語で話していたことになりますね。
*2: 実際はショッピングモールの一角にある託児所のようなところ
R:うらやましすぎる。私は大学入ってやっとだわ。
S:その時にできた英語の基礎は今に生きてます。それでなんか小学生の頃にやっぱり言語を作りたいなって思った時期があるんですよ。
今だったら言語があってから文字があるっていう順番なのは分かるんですけど。当時は見えるものが文字だったので。だから文字から入ってました。
R:なるほど、それは小さい頃から日本語以外に触れ合ってたから、全く違う日本語の文字に惹かれたのかな?
S:それもあるかもしれませんね。小学校入りたての頃は日本語が苦手だったと聞いているので。
確か小1の時に筆記体に憧れて練習してて、小学3年生の時に表語文字のようなものを作って遊んでました。
R:表語文字っていうと。。。?
S:例えば、魚って書いてあって、それは海にいる生物のことだとか。「1つの文字に 1 つの意味が対応してる 」っていう。その時は自分が作っている者が表語文字という認識はなかったですが、そういう感覚で作っていて、後で表語文字だと分かりました。
R:私もそういえば、授業中暇で鏡文字とか左手で書くとかしてたわ、ノートに。子どもというか人って割と言葉はすごく身近だからこそ遊び道具として使いやすいのかもね。
S:左で書くの憧れますよね。それで言うと私も元々左利きだったんですけど、右利きに矯正したんです。
R:今は完全に右になったってこと?
S:今左で書くとぐちゃぐちゃになっちゃいます(笑)。箸とかは握れますけど。
当時、母がひらがな教えたら鏡文字書いてたらしいですね。日本語というか筆って右利き仕様だから左利きの人にとっては書きづらいんですよね。左利きの人がよく手首丸めて書いてるじゃないですか。
R:確かに左手の人には優しくないね。
S:その後小5になって友達と交換日記を始めたんです。テストの点数とか秘密にしたい情報も教え合ってたので、暗号を作って書いてました。ラテン文字を基に。最初は日本語をそのまま書いてたんですけど、途中から日本語の格助詞(*3)を対応する記号に置換して書き始めました。あれが多分、人工言語を作り始める1 個前の段階でしょうね。
*3:名詞の後ろに付く「が」「を」 「に」「へ」「で」「から」など
R:暗号使って交換日記するの、めっちゃ楽しそう。
友達と学校内ではそのころ何してたの?
S:5、6年生のころは学校でロケットを飛ばしてましたね。
R:おお、なんか理系の興味もあるのね。
S:3年生のときに、のちに科学ヲタク仲間となる友達ができて、おばあちゃんちに遊びに行ったりもよくしていたんですけど、私の知らないことをたくさん教えてくれました。あと、父が大学で生物工学をやっていたからか、私に理数系のことは知っている限り何でも教えてくれました。よく「化学はパズルみたいで面白い」と言っていて、私にうまくその面白さを伝えていたなと今では思います。
R:しろすけ2号は基本的に知識欲がすごいのかもな。それでロケットは友達とお父さんに教えてもらって作ったん?
S:最初は1人でやっていて、徐々に興味をもった友達が加わりました。父は関わっていないです。入浴剤で二酸化炭素を発生させて飛ばすもので、同時にパラシュートもつくりました。小さなモデルで1回くらい成功したと思います。
R:化学式とか設計とかが好きやったん?それやったら言語の仕組み考えるのにつながるところあるね。
S:そうですね。祖母が知り合いの設計士につくってもらった家の設計に興味があったり、化学式を眺めるのとかも基本的に好きです。小学生の間はずっと宇宙飛行士になりたかったんです。
S:中学校では、6歳からピアノをやっていて音楽が好きだったので、管弦楽部に入りました。でも中2の春からコロナの影響で休校が続いて、暇すぎたのでiOSにデフォルトで入っている Garagebandというアプリで作曲を始めました。
R:私androidユーザーだから全然そのアプリ知らないんだけど、作るの簡単なん?割とみんな使ってたりする?
S:簡単かどうかは人によると思いますが、使う人は多い気がします。同じアプリで作曲していた同級生がいて、その人にライバル意識をもったことから作曲に力を入れました。
中3のときには学校で作曲の授業がありましたし。
R:授業で作曲するの!?
S:中3の春くらいから曲を書き始めて、この曲を管弦楽部で1年間演奏しました。
R:え!すごい!しろすけ2号が作った曲をみんなで演奏したん!楽しそう。いい思い出だね。
S:みんなには「演奏できて楽しかった」と言われたのでよかったです。自分の曲をオーケストラという巨大なグループで演奏させてもらうというのは、とても貴重な経験ですよね。
〇言語を作り始める
S:作曲も慣れてくると、コロナ禍の休校がほんとに暇で実際に作り始めました。
R:お、いよいよ作り始めるのね。でもここまでで、なんとなく「言語を作ろう」と思うに至る発想の流れが見えたわ。
S:今チラッと思ったのが、暇だから毎朝アニメを Amazon プライムで見るっていうのも習慣になったんですよね。それで創造の世界に憧れて、自分の世界を持ちたくなって言語を作り始めたのもあるかもしれないです。
R:それはアニメとかその業界への憧れというよりも制作っていうところに魅力を感じたの?
S:うーん、なんかその現実じゃない世界?に。映画とかアニメを制作したいとはならないですね。
R:やっぱ小さい頃からの言語とのふれあいとかが影響してるのかな。
S:そのときに作り始めたのが「旧ルカニア」と呼ばれる言語で、これが私の始めての人工言語です。
R:ん?誰かが名づけてくれたの?
S:いや、自分で呼んでますね。
R:あ、そうなのね。周りが「あれは旧ルカニアだったんだ」って、推測みたいな感じかと思ったけど。
S:よくあるんですよ、人工言語の世界では。自分で1人で作ってるけど、作った過程とか全部が全部覚えてるわけじゃないのでこうだと推測される、みたいな。段々とその言語だけじゃなくて、それと同じ語族とかその語源となった言語って関係づけて作り始めてるんですよ。
R:ラテン語が英単語の語源になってることがある、みたいな。
S:そうです。 1 つ 1 つの言語を作るだけでも結構な情報量なのに、さらに複雑になり情報量も膨大になる。だから「この単語は恐らくあの言語から生まれただろう」とか「語源は恐らくこれだ」とか、自分で作ったものの自分で推測していくみたいな。
R:なるほど、覚えてられないし自然と出来るものもあるだろうからね。
S:その当時はそう呼んでなかったけど、後々に現代ルカニアができて。自分の中で旧ルカニアと呼ぶようになったみたいな。
この旧ルカニアが、今考えてもなかなかに狂った設定(*4)でした。できるだけオリジナリティのある、既存の言語にはないようなものが欲しいなと思って、変な設定にしてみたんですよね。
*4: 定文詞という、(主に) 文頭に置かれて文全体の特徴を決定する品詞が存在する。「現代ルカニア」や「ルサン語」など、ルカル語族の言語全てにあてはまる特徴。
R:作るの初めてなのに(笑)
S:そうなんですよね(笑)
人工言語の基礎もないし経験値もない状態かつ、人工言語自体が芸術の分野の中では未熟なのに、この設定にしたら続くわけがなくて、案の定制作が止まりましたね。
R:それはやれたけど疲れたからなのか、複雑すぎて完全に行き詰まったのか、どっち?
S:めんどくさくなって辞めちゃいました(笑)(*5)
なんですけど、なんせコロナで暇だったので色々調べたんです。そこで「人工言語」なるものがあるんだ、他にも作ってる人たちいるんだって知りました。あと人工言語のLINEオープンチャットも見つけて、参加したのでコミュニティも広がりました。
*5:1単語が「名詞、動詞1、動詞2、形容詞1、形容詞2、形容詞3、接続詞」と7つの意味と別の品詞を持つため複雑だった。
R:その頃は人工言語というワード自体も知らなかったのか。
S:「人工言語」という言葉もそうですし、知識も全くなかったです。ネットサーフィンを続けて芋づる式に分かってきました。私が入ったオープンチャットではある一つの言語をみんなでつくっていて、同時に個人がつくっている言語も紹介されていました。
私はというとLINEオープンチャットに入る前に、「現代ルカニア」の制作を始めていました。オープンチャットでメインで制作されている言語の文法書と辞書が公開されていたので、言語を作るのにどういう文法があったらいいのか、辞書には最低限どんな項目があればよいのかを知りました。見よう見まねで、その文法書にある項目のほぼ全てを使って、「現代ルカニア」を完成させました。
R:それ公開したん?
S:オープンチャット内でのみ公開しました。あと、中3 の最後の家庭科の課題で「幼児とのふれあいに使う絵本を作る」みたいなのがあって、そのときに絵本を現代ルカニアで書いたんですよ。ルカニアが使われてる文化圏で幼児にも絵本があってもよかろうと思って。
R:え!もう使われてる文化圏あったってこと?オープンチャット?
S:いやいや 1人です。
R:使うの仮定してってことか。
S:X(旧Twitter)とかでその人工言語の界隈の人たちは結構こういう話し方をするんですよ。たぶん自然言語としての日本語にある曖昧さを取り除いた表現がしたいんだと思うんですけど。
でそれを英語の先生に見てもらって「お前狂ってるなあ」って言われたんですよね(笑)
R:まあ、そうだろうね(笑)。なんでその先生だったの?
S:自分と同じ種類の人間だと思ったんでしょうね。周りの友達にもよく「変わっているね」と言われるのですが、この先生も相当ぶっ飛んでます。英語教師なので普段から「言語を教える」という経験をしていますし、授業中に英語以外の言語についても面白いことを仰っていたので、理解してもらえるかもと思って。
R:確かに、言語の教師なら成り立ちとか仕組みとか理解しててアドバイスくれそう。
S:私が言語をつくるという話をすると、面白がって聞いてくださいました。実際、アドバイスもくれて、
「おまえのルカニアは独りよがりすぎる。めちゃくちゃとんがってるんだよ。とんがってるのはいいんだけどな、それじゃあ誰もこの言語を話したいって思わねぇんだよ。ルカニアを布教させたいんなら、とんがってる部分の角をおとしていけ。」
とか
「俺が言語を見てて美しいと思うのはなぁ、めちゃくちゃいっぱい言葉があって、でも何個かの単語が互いに共通する部分を持ってるとこなんだよ。例えばな、英語で言うと、delete、depart、devote とかに、共通して de- って部分があるだろ?こういうのを『接頭辞』っていうんだけどな、この de- っていう部分には『分ける』とか『切り離す』って意味があるんだよ。こういうのをルカニアにもつくってみたらどうかって思う。」
って。人工言語制作のスタイルを大きく変えることになってすごく有難かったです。
R:うわぁ。面白くていい先生に巡り合えたね。その絵本見たい!
R:すごい!ちゃんと日本語も書いてるのね。しかも絵うま。
S:さすがに評価ができないので(笑)。長文の翻訳の練習にもなるとも思ったし。
R:友達はなんて言っていたの?
S:「やばいやばいやばいやばいww」と言っていました(笑)
表語文字作ってたみたいなのは、何人かの友達には言った気もしますけど、あんまり大々的にはしてなかったですね。なかなか興味を持ってくれる人はいないですし。
友達が「言語作ったよ」って持ってきても困りますよね。高校に入ってからは理解してくれる友達何人かできましたけど、小中学生で人工言語を知ってたりとか、言語を作るってのはおかしいですよね。
R:そんなもんかね。
〇言語の紹介
R:それぞれの言語について教えてほしい!
S:それを説明するのはかなり時間かかりますし大変ですね(笑)。
最初に旧ルカニア、現代ルカニア、ファネラ語、エヴェン語、ルサン語、pa ni pa niが主に作った言語と言いましたが、これも正確には違っていて。。。ある言語を作る過程がその言語だったりするので、なかなか明確な数というのもないのが正直なところです。
R:なるほど。じゃあ共通点も多いのか。
S:そうですね、重なる部分はありますね。一番新しいpanipaniはmigdalっていう人工言語の掲示板みたいなサイトがあって、そこにまとめてるので良かったら見てみてください。(こちら)
〇英語という言語について
S:私は、はっきり言って英語があまり好きではありせん。
R:あれ、そうなん?よく喋れるのに。
S:少なくとも、私は英語を「美しくない言語」だと思っています。自然言語的な面白さも多い言語だとは思いますが、一方で法則がかなりぐちゃぐちゃ(*6)で例外も多いし、発音の不規則性も強いです。
*6: 言語には屈折語(文中の文法関係を表すのに、単語全体や語尾を変化させる言語。ヨーロッパの多くの言語)、膠着語(文中の文法関係を表すのに、接辞などの形態素を付着させる言語。日本語、フィンランド語など)、孤立語( 文中の文法関係を、文中の単語が置かれる位置 (語順) によって表す言語。中国語、タイ語など)、抱合語(名詞や動詞などの文の要素が密接に結合して、文全体がまるで一語のようになる言語。アイヌ語など)の4種類がある。しろすけ2号曰く、英語は屈折語の体をとりながら孤立語的である。(参照:日本語教師キャリア マガジン編集部、膠着語・孤立語・屈折語・抱合語の特徴まとめ、最終閲覧:2024年2月2日)
R:なるほど。でも英語って世界共通語で一番習得されてる言語だよね~。私はフランス語とか日本語よりよっぽど簡単だと思ってた。
S:私はその点にも反論したくて。「英語が世界で一番」という概念が嫌いなんです。特定の言語に付加価値を与えるのは危険です。「英語が世界で一番大事」と言ってしまうと、他の言語の扱いが雑になります。
例えば「英検1級を持っています!」と言うと「すごい」と言われるのに、「ギリシャ語検定Γ1レベルです!」と言うと「変わってますね」と言われることが多くなると思うんですよね。
R:確かに英語喋れれば何とかなるという風潮があって、他の言語は重要視されにくくなってるのかもね。二の次というか。それもあって絶滅危惧種もしくは消滅した言語についてよく議論になるもんね。
J:ある言語が消滅するということは言語学者たちにとってもかなり痛手なんですよ。研究対象となる「言語」は、全世界のものをかき集めても7000言語(*7)くらいしかないと言われています。言語学と生物学は似ていると私は思うのですが、生物の種は全世界で175万種(*8)と言われてるので桁が違います。だから少ないサンプルをもとに研究を行う言語学者にとっては、たとえ1言語の消滅であっても、かなり痛手となるわけです。
*7:方言の存在など言語の捉え方によって意見が分かれるが、Ethnologueの調査では6,912の言語があると言われている(参照:Ethnologue. Languages of the world (review). 2008. Language 84(3):636-641(最終閲覧:2024年2月2日))
*8: 環境省、2008、循環型社会白書(最終閲覧:2024年2月2日)
〇日本における言語教育
S:私は、日本は英語・日本語含めて言語教育が下手すぎると思います。
R:あ、日本語も?
S:英語は変に文法にこだわりすぎて、コミュニケーションツールなのだから伝わればいいのに、少しでも間違うと「おかしい」とレッテルを貼ることは辞めるべきだと思います。
日本語に関しては、母語なのに理解してない人が多すぎると思います。
例えば小学校の先生に「『は』と『が』の違いって何ですか?」 と質問すると、おそらく大多数の先生は返答に困ると思います。先生も「『は』と『が』は『主語』を表す助詞です」と教えているし、その先生もまたそう習っているからです。質問を変えて『この本は私が買いました』の文の主語は何?」と訊くと、「私が」だと答えられると思いますが、その理由(*9)まで説明できる先生はなかなかいません。下手すると「この本は」と答える人もいるかもしれません。
*9:簡単に、ざっくりいうと、日本語の文には必ず「話題」が1つあって、「話題」にしたいことばの後ろには「は」をつける。「は」の付け方は、「主語の『が』と目的語の『を』がついている言葉ではこれらを『は』におきかえる、その他の『に』『で』『へ』『から』などがついている言葉では、これらのうしろに『は』をつける」である。
が→は、を→は、に→には、で→では、へ→へは、から→からは(しろすけ2号解説)
(こちらも参考になります。t.koba、日本語の話「が」は主語のしるし、「は」は話題のしるし、2023、note、(最終閲覧:2024年2月2日))
R:私も気になりはしてもそこまで深く考えたことなかった(笑)。そういう意味では知らなくても喋れるもんね。英語は文法にこだわるのに日本語はそこまで…って矛盾がすごいね(笑)。
〇今後
R:次は何したいとか考えてたりする?
S:プログラミング言語を自作したいです。言語学をやり始めてしばらく経ってから、プログラミングに興味を持ち始めたんですよね。小学生以来の再燃というか。
R:同じ言語だしね!私もエンジニアの知り合いに、「語学が好きで得意ならプログラミングもいけるよ」って言われたことある。
S:そうです。芸術としての人工言語がつくれるなら、プログラミング言語も自作できておかしくはないだろうと。「人工言語」がプログラミング言語を指すこともあるらしいです。
R:もう動き出しているの?
S:とりあえず会話言語としても比較的単純なつくりをしているpanipani を元にしたプログラミング言語を作って、いずれルカル語族の言語を基にしっかりしたものをつくれたらなと思っています。
R:ベースがあるから作りやすそうだね。作ったプログラミング言語で何かしたいことあるの?
S:自作の言語で自作のOSを作ってみたいんですよね。
ここまで到達するのに何年、何十年かかるかわからないですが、このOSを使ってルカニアやルサン語の世界観が再現できたらなと思っています。
R:なんかメタバース空間作りみたい。
S:GUI になるか、CUI になるか、「世界観の再現」がポリゴンによるものになるか、OS 全体を作品とするかはわかりませんが、「満足のいくOSを、自作の言語で実装する」というのが、今後やりたいことですね。
R:AIもどんどん進歩してるし、その熱量と集中力なら意外と早くできそう!また出来たら教えてね笑その世界にも行ってみたいわ。