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酒を飲むなら、昭和だねェ!
日曜日の夜、 ついに降ってきた、冬将軍の、到来だ。
飲食店の集まるビルの4階の、窓の外では、白い厄介者が飛び回っている。
『今日はもう終わりだな。』夜10時が過ぎた頃、俺はそう思った。 この店は、1年、360日くらい開いている。日曜でも、服飾関係の人間やバンドをやってる奴らが、出入りしてくれているため、そんなに暇でも無い。 大体が、他の店やってないだろ?って感じさ。
でも、流石に自然現象には勝てない。
今日のお客は、バイト帰りの兄ちゃんと、仕事帰りの、服屋の姉ちゃん2人。合わせて、¥9000也 。寂しいね。
『 飯でも食って、帰るか。 』 店の片付けをして、表に出ると。
誰〜もいない。 『正解だったな。』
さてどうするか? 信号を渡った先に、居酒屋がある。そこなら開いてるだろう。
何せ売り上げは無いのだから贅沢は出来ない。(贅沢したくても、何処も開いてない)
表通りは、客待ちのタクシーも無く、閑散としている。
いや?もう、この街には、自分しか居ないのかと思うほどだ。
横殴りの、(もう、下から噴き上げて来る感じ)の雪の中を、ひとりとぼとぼと歩き、居酒屋の前へ。
“ 大将、暖簾おろしとる“
10メートルほど先の姿に! 回れ〜右。
勿論、大将と俺は顔馴染み、行けば、『おう!飲んでけ!』とも言ってくれるだろう。 しかし、全てを片付け終えて暖簾を降ろしている大将に、この先、他の客が来る確率なんてほとんどないんだ。
もう、これは家に帰ろう。
“いや?今日は、店を早仕舞いしたんだ。“
そう、帰り道に、焼き鳥屋がある! あそこは、1時までは空いてるはず! 雪道の中を ガンガン歩く。
ホント、住宅街と言ってもおかしく無い所に(表通りには、面してるんだが。)其の焼き鳥はある。
開いてたよ!
雪の中、何か 天にも昇る喜び。
『いらっしゃい!』 当たり前のような、マスターの笑顔、おかあさんが、お飲み物は?って
熱燗だよね! (画像は、かなり違ってます)
この店、安いんだよ、。お酒、1合 ¥200 ビールも、中瓶で、¥400 焼き鳥一本¥50 しかも、1本単位でたのめるの。一番高いロースで¥200 ただし焼鳥のネギは、ブツではありません。ブツで切ったネギを一つずつ芯を抜いているのです。 過去に、ネギの、青い所が入っていたのですが、あまりに固くて食べられないので、残したら物凄い怒られて、酔った弾みで「ふざけんな‼︎」ってなっちゃって、 何故かそこから、仲良いの? (ここのマスター、戦中生まれで凄く苦労したらしい、だから、勿体無いって気持ちが、強いみたい。)
凄い営業努力ですよ!俺、芯、一個一個抜く努力思いつかなかったもん。
お客さんに、安く、食べて貰うためにやってんだろうね。
まあ、この日は流石に俺だけだった。
『熱燗2合、焼き鳥3本、えっと、海鼠酢も。』
焼き鳥焼けるまで、なまこ酢ですよ!
さあて、やって来ました酒タンポに入った もう、コレは、お酒 、 日本酒。 おかあさんがコップに注ぐ! 言わずと知れた、コップ酒。
(カァーっ!) うめぇ‼︎ 心底冷えた体が…生き返るぅ。
…………
別に大した酒じゃ無いんですよ。 何か、染みるなぁ。
ここの焼き鳥、たいして美味しいわけじゃ無いんだけど、ハマっちゃうんだよなぁ。
追加で、お酒追加。あと、軟骨とシロ2本ずつ。 「はーい」
みせには、14インチのテレビが置いてある。聴こえるか聞こえないかぐらいの音量だ。
プロレス中継が始まった。今夜の組み合わせは、「鶴田対ハンセン」 プロレスも、久しぶりだなぁって眺めながら酒を呑む。 (普段は、店に出てるのでTVは、殆ど見ない。)
おかあさんも、椅子に座りテレビをみている。 (へぇ〜、プロレスなんか見るんだ。) 前半戦が終わりCMが始まった。 おかあさんの邪魔をしないよう、空いたコップを持ち上げて「お酒追加、あとお漬物も!」 「はーい」
テレビでは、後半戦が、始まる。
試合もクライマックス。 タバコに火をつけて、画面を見る。 その時、おかあさん、
“ コロセー ‼︎ ”
ぁコレ? おとなしそうにしてたお母さんが、壊れた? 嫌、多分、エキサイトして出た言葉なんだ。?きっと。
誰〜もいない店で、一人大笑いしていた。
おあいそ! 金を払って外に出る。 雪は少し小降りになった。
息は白い。
もう、こんな体験は出来ないのだろう。
コロナもそうだけど、タバコもウルサイ。
何処か田舎の食堂でも行けば。 こんな感じ味わえるかな?
旅に出てみようかな?…