着物エッセイ|あんなのは幻想とその人は言う
たまたま見かけたリサイクル着物のショップ
小さいけど、どんなものが置いてあるのか見に行った
奥から年配の店員が見ていってくださいね〜と一言。あとは事務作業をしていた
特に買うものは決めてなかった
ふらっと入っただけだったから
とりあえず、小物でもと物色
店員が「若いのに着物着るの?」と聞いてきた
「お下がりを貰ったのでたまに着てます」と
答えると「あら!そうなの!?良いわねえ!」
と喜んでくれた。
小物も奥から色々持って来て見せてくれた
これはお買い得よ!なんて笑いながら
その人は着付け師で、今でもたまにホテルなどで仕事をしていて、空いた時間にここで働いているとのこと。
「今って大変でしょ?着るの」
私は意図が分からず??となってしまったが
その人は続けた
「今ってホラ、雑誌の着方のイメージじゃない?あんなの幻想よ。写真を撮る度に直してるからあんなに綺麗なの。普通に着て動いてたらシワだって寄るし、ある程度は崩れてくるのよ。」
「でも、みんなあれが着物の着姿って思ってるのよね。本当はあんまりシワとか気にしなくて良いの。ちょっと崩れたら直せばいいし、気にせずたくさん着てね。」
と笑いながら話していた
着物を着てるからシワが寄るのも、少し崩れてしまうのも分かるけど、着ない人から見れば着崩れか、自然に出来たものか分からない。
キッチリ着付けて欲しいと言われ困る事も多いのだそう。
あの着姿が当たり前の認識なら着物のハードルが上がるわけで。
この話を聞いた時なんだか少し楽になった
無意識にあの着姿を目指していた自分がいたからだ。
ネットではその着付け師のような意見が多い
昔は今ほどきっちり着てなかった、多少のシワは仕方ないというのをよく見る。
やはり、着る人や携わる人は寛容な意見になるのが多いのかもしれない。
たくさん着てね、なんだか元気がで出てくる
素敵な言葉だなと思いながら。
その着付け師との雑談を楽しんだ。
そこで小物を一つ買った。
帰り際にも、これから着物を楽しんでねと。
あれ以来行ってないけれど、書いていたらまた行きたくなった。
同じ人がいるか分からないがまた覗いてみよう
今度は着物で行くのもいいかもしれない。
あの人のおかげで私の中で着物を着るハードルが下がったのは間違いない