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【おべけの館】14話会いたいその1

前回のお話↓

皆さん。おべけの館に出会える方はどんな方だったか覚えていますか…?ここテストに出るので(笑)まぁ冗談は置いといて。


「助けて」と強く願った方のみでしたね。

じゃあ、"アンラクシ"サービスを依頼したくても「助けて」と強く願えなかった方はどうなるんでしょうか。


それでは、ごゆっくり…。


今回のお話は、先に【おべけの館】1話~4話を読むことを推奨します。


[ク]「♪~♪~…。」

[キ]「ん~…。素晴らしいでござる。やはり、姫様のお声は癒されるでござるなぁ~。」

廊下の窓付き壁に凭れる2人。

キュー太は大好きだった故人歌手のヴァンビちゃんの声真似をする、クロムの歌声を聴きながら外から見える針葉樹の森を眺めていた。

技術力が高いという特徴を持つクラウンのクロムには、声真似や歌うことが上手くできる。

キュー太は昔亡くなった大好きな歌手の歌声を聴く為にたまにクロムのもとに来ることがある。

《詳しくは【おべけの館】4話を読もう!!》

[ク]「いやぁ~。最近歌ってあげれなくてすまなかったな。」

[キ]「いやいや!大丈夫でござるよ!前はビスマ殿とテルル殿に迷惑をかけてしまってたから、申し訳なかったでござる。

今は、ターニップ殿という一緒に語ってくれる相手ができたでござる!」

前々までクロムに懐いてたキュー太。そのせいでビスマとテルルは、キュー太のことが苦手だった。

だから、クロムは弟たちがいない時に歌ってあげていた。

しかし、今はターニップくんがヴァンビちゃん好きと知って、よくキュー太と語っている。


[キ]「にしてもクロム殿。今日は表情が暗いでござるな。珍しい…何かあったんでござるか?」

キュー太は異変に気付き、クロムの顔を覗く。

[ク]「ああ~…。ビスマとテルルが風邪引いちまって…。」

それを聞くと、キュー太はハっとした顔になった。

[キ]「ビスマ殿とテルル殿もだったんでござるか!!」

[ク]「?」

[キ]「今、死神殿の体調が館内のおべけと連動しているっていう、噂になっている話でござるよね。

ホック殿、わらわ殿、そしてサクラ殿まで風邪を引いているらしいでござる。結構ひどいでござるな。

ていうか、まず"何故死神殿は風邪を引いたのでござるか"…?

人間が罹るものに、なぜおべけの死神殿が罹るんでござるか…。」

キュー太が死神に対して1つの疑問を抱いた。

[ク]「確かに!そうだな、不思議…。」

クロムも意外と思いもしなかったが、共感できた。

[キ]「もしかして、"死神殿は人間"だったりしてっ…。」

[ク]「まさかっ!」

悪事を考えるようなニヤけた顔を合わせた2人。


そこへ。

[タ]「よいしょっ。よいしょっ。」

大量の洗濯物を運ぶターニップくんが目の前を通った。不安定に揺れる洗濯物。

駆け足で忙しそうな様子。

[キ]「おっ、ターニップ殿!1人で大丈夫でござるか?手伝うでござる!」

[タ]「んっ?手伝ってくれるの?」

声に足を止めたターニップくん。

キュー太とクロムは、ターニップくんの手伝いをすることに。

[キ]「今日はやけに忙しそうでござるな。」

[タ]「あ~…。カプが風邪引いてね。今、アキさんと僕だけなんだ。」

[キ]「そうだったんでござるね。」


そうして仕事を終えた3人。

すると、さっきまで黙っていたクロムが口を開く。

[ク]「蕪小僧、オタク…。ちょっといいか?」

[タ・キ]「ん?」

真剣そうなクロム。


[ク]「ヴァンビさん…おべけにならねぇかなって。」


[タ・キ]「えっ…。えええぇぇぇえええぇぇぇ!?!?」

いきなりの発言に、目が飛び出しそうなくらいに驚愕する2人。


少し落ち着いて。

[キ]「いい考えでござるな!!さすがクロム殿でござる!!」

大好きなヴァンビちゃんが、おべけの館のおべけになってくれるなら大歓迎のキュー太。目をキラキラと輝かせる。

[タ]「けど…クロムがなんで、ヴァンビちゃんをおべけになってもらうって…。」

別にヴァンビちゃんのことはそこまで興味のないクロムが何故そんなことを提案したのか不思議に思ったターニップくん。

[ク]「いやっヴァンビさんはついでにって感じなんだけど。

俺、1度してみたいことがあったんだ。

俺の父さんにまた会いたいなって。

今この、ビスマもテルルがいないうちしかないと思ってっ!!」

必死に話すクロム。

道化師3兄弟の両親は1度離婚しており。クロムの父親と、ビスマとテルルの父親は違った。

《詳しくは【おべけの館】2話を読もう!!》

生きていた頃、こっそりクロムは実の父親のところに何度か会いに行っていた。

しかし、事故に遭って亡くなってしまった。

そしてクロムは自分の父親に再会するなら、弟たちのいない今しかないと思った。


[タ]「確かに、亡くなった方はおべけになれるかも。

あっそしたら、まねきさんも誘おうよ!

生前の頃仲良かった阿招さんに会えるかも!

あと、まねきさんならやり方知ってるかも!」

《詳しくは【おべけの館】3話を読もう!!》

そうして3人はまねきさんのもとへ、やり方を訊きに行くことに。

14話終わり。ご愛読いただき、誠にありがとうございました。


また次回のお話で。


作・絵 天乃 つくる Hzk(ツク)

次回のお話↓

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