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【おべけの館】3話その2

そうして、一緒に食べることに。

もちろん美味しいが、目の前の巨大な猫のおべけに目がいって仕方がないパンプキンちゃんとターニップくん。

猫がしゃべってる…。

にしても、たくさん美味しそうに食べるなぁ~…。

[ま]「おお!そーいや、君ら見ぃひん顔やな。新入りけ?急にすまんな!ワシは"まねき"っちゅうんや。よろしく。」

ぼーっと見ていた時、急に話しかけて来てびっくり!!

[パ]「あ!初めまして。パンプキンって言います。」

[タ]「僕は、ターニップと言います。」

固まってしまった2人。

[サ]「2人とも、そんなに緊張しなくても大丈夫ですよ。まねきさん、お優しいから。しかも、ここの館おべけ最年長なんですよ。」

サクラが2人の緊張を取ろうと話しかける。

[パ]「えっ最年長なの?すごい!」

[ま]「いやいや、それほどでも~///」

少し照れた口調になったまねきさん。

そして、ちょっとずつ会話をしていき仲良くなるパンプキンちゃんとターニップくんとまねきさん。


[タ]「そういやぁ、まねきさんもおべけだからやっぱり生きてた頃とかあったの?」

[ま]「ああ。あるさぁ?なんや、知りたいんか!ええで!教えてやんよ!」

笑顔で明るい口調でターニップの問いに応えるまねきさん。しかし、どこか少し悲しい表情にも見えた。

まねきさんは口を開いた。


「あん時は綺麗な夜空だったなぁ」



本日のお客様

・ねね 様 7歳


ある日。DV男とM女夫婦の間に1人の女の子が生まれた。

結月 阿招(ゆづき あまね)

M女は阿招を生んだ後、亡くなってしまう。

DV男と阿招の父子家庭に。

ノリで付き合って、ノリで生まれてしまった子供。子供なんて大嫌い。

阿招に対して不満を思うDV男。毎日阿招に虐待をする。

そんな日々は5年も続いた。


「お前ぇ!!酒でも買って来いよぉ!!」

くしゃくしゃになったお札と縮れたビニール袋を阿招に押しつけるDV男。

[阿]「パパぁ…。まえね、あーちゃんね、おしゃけね、かおうとしたときね、ていんさぁんにさー、ダメって…。」

ゴンッ!!

DV男の拳が阿招の目尻に当たり、アザをつくった。

「んな、ごちゃごちゃ言わんと買って来いよ!!」

今は夜中なのにも関わらず、家から投げ出された。


コンビニまでの夜道を1人ポツンと歩く阿招。

夜空は永遠に輝き続ける数々の星、阿招と同じようにポツンと大きな満月が。

その時、街路樹の下の草がもぞもぞと動く。出てきたのは1匹の三毛野良猫。

「にゃっにゃぁ~………。」

弱ってる。早く助けなくちゃ!

阿招は急いでコンビニで缶詰めを買い、猫の元へ。猫は缶詰めにがっつき美味しそうにたくさん食べる。

阿招は猫の頬張る姿を見ているとあることに気付く。自分と同じように目尻にアザがあることに。

[阿]「あ!"いっしょ"!!」

猫の目尻と自分の目尻、両方のアザを交互に人差し指を当てながら笑顔でそう言う。

実は猫もこのとき、あることに気付いた。昔の飼い主と匂いが同じことに。

[猫]《『"一緒"や…。』》

猫は阿招の足首にすりすりと自分の匂いをつけた。阿招になついた様子。


その日から阿招は猫の元へ通うようになる。


[阿]「きょうもね、パパにおこられちゃった…。」

猫に寄り添い夜空を見上げながら阿招は明るい声だが、表情は少し暗い。

[阿]「あーちゃんね!あまねっていうの!」

いきなり身を前のめりにし、猫の顔を覗きながらそう言う。

[猫]《『相変わらず会話の辻褄がおかしいなぁ笑。まぁ幼い子やし、しゃーないか笑。』》

[阿]「ねこちゃんにもおなまえつけてあげる!あまねーねーね、ね、ね~…あ!"ねね"ちゃんね!」

[ね]《『まさかのメスと間違われた!?まっまぁええか…。』》


別の夜

[阿]「ねねちゃーん!!みてみて!よつばのクローバーみつけたんだよ!すごいでしょ!レアだよ!レア!」

四つ葉のクローバーを見つけ、ハイテンションでねねに見せつける。

[阿]「あっそうだ!ねねちゃんに~あーちゃんのあげる!」

そう言って、阿招がいつも着けていた月色の髪飾りを1つねねの首にかけた。

[阿]「"いっしょ"!!」

また笑顔でねねの首にかけたものと自分の髪飾りを交互に人差し指を当てる。

[ね]《『"一緒"やな…。』》

3話その2はここまでです。長文ご愛読いただきありがとうございました。また、次のお話で。


作・絵 天乃 つくる Hzk(ヘルツク)



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