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【おべけの館】2話その1

皆さんは知っていますか。

「おべけの館」に出会える者は全て"助けて"と強く願った人間だけだと。

そして、その人間はおべけに…。

さらに、おべけによってイタズラは異なります。

もし、あなたがおべけだとしたら、どんなイタズラをしますか。

それでは、本日もごゆっくり…。

(※1)古代エジプトのサーカスで生まれた、明るい笑顔のパフォーマー。派手な衣装で技術力◎

(※2)中世ヨーロッパの宮廷で貴族を楽しませるために生まれた。風刺的なジョークなど、権力者への批判が唯一ok。独特な衣装は多面性を表している。

(※3)19世紀フランスの劇場で生まれたキャラクター。表は明るいが実は暗い奴。基本的にパーツが大きな衣装。孤独や哀愁を表す。



[パ]「ふぅ~!!ここ、すっごい綺麗になった~!スッキリ!」

[カボ]「プキン(愛称)!ナイスゥ~!ピカピカだぜ!カカカッ!」

入り口まわりの掃除が終わり、ご機嫌なパンプキンちゃんと相棒のカボチャー。

だいぶ、おべけの館での生活に慣れてきた様子。

[タ]「おぉ~。瓜、綺麗に掃除できてるじゃん。僕も掃除終わったし、ちょっと休憩しよっ。」

ターニップくんも別の場所を掃除し終え、パンプキンちゃんを呼ぶ。

しかし、パンプキンちゃんはその声に無反応。

[タ]「瓜?おい、瓜!」

すると。

[パ]「タップくん!私はもう、瓜南美じゃないの!!生きてた時の名前で呼ばないで!せっかく"パンプキン"って名付けて貰ったのに!ちゃんとそっちの名前で呼んで!」

ターニップくんの肩を両手で力強く掴み、怒りをぶつけてきた。

動揺するターニップくん。

[カボ]「まぁまぁプキン落ちつけよ。」

[カブ]「けど、確かに。"瓜"って呼ばれてもあたしたちが分かりにくいよ。タップ、ちゃんと名付けられた名で呼んであげなさい。」

なだめる、カボチャーとカブーナ。

[タ]「あぁああぁ!分かったよ!ちゃんとそう呼ぶって!

んじゃ~…。"カプ"って呼ぶよ。パンプキンとカボチャーをくっつけて。」

今まで完璧主義であだ名なんて言ったことがないターニップくんは少し気恥ずかしく、慣れない口調。

[パ]「やったあ!」

嬉しそうなパンプキンちゃん。


[?]「やっぱさすがだなぁ~おべけの館。生前にやりたくってもなんかできないモヤモヤができるようになるんだなぁ~長年ここにいるけど、毎度すげぇって思っちゃうんだなぁ~。

てか、君ら新人じゃん!」

[?]「そうですねぇ…。さすが兄さん、よくお気づきで()」

[?]「ビッビス兄ぃ~。あの子たち、なにもしてこないよねぇ~…?」

廊下を堂々と歩く、おかしな格好をした3人組。ずかずかと近づいてくる。

[パ]「???あなたたちは…?」

[ク]「よくぞ訊いてくれた!俺の名は"クロム"って言うんだ!!美麗な名だろ!

そして、この道化師3兄弟の長男だぜ!さらに見ろよこのハット!この館唯一の紅色!俺の紅色だぜ!すごいだろ!」

サーカスにありそうなわんぱくなハットをパンプキンちゃんに見せつける、クラウン(※1)の格好をしたハイテンションなクロム。

そんなクロムの勢いに圧されるパンプキンちゃん。

[ビ]「兄さんは相変わらずよく喋りますね()

いきなり失礼致しました。僕は道化師3兄弟の次男"ビスマ"と申します。」

クロムをパンプキンちゃんから離しつつ丁寧な口調で話す、ジェスター(※2)の格好をした冷静なビスマ。

しかし、どこか人を小馬鹿にしたような口調。

[テ]「あっあぁ…。ぼっぼくは"テルル"って言うの…。初めましてっ…。あっ三男なんだ。」

ビスマの服の裾をぎゅっと掴み少し後ろ気味な、ピエロ(※3)の格好をした人見知りなテルル。

すると、クロムはカボチャーとカブーナを見て。

[ク]「おお!?は?えぇ!?!?お前!あの時の蕪か!?」

[カブ]「ああ。誰かと思えばアンタか。」

目をぱっちり合わすクロムとカブーナ。

[ビ]「兄さん、さすがですね()お久しぶりです。」

[テ]「え!?ホントだ!あの時と声が一緒!」

[カボ]「おーお、久しぶり!全然変わってねーな!カカカッ!」

ビスマとテルル、カボチャーもお知り合いの様子。

[タ]「え?カブーナ、このおべけたちと知り合いなの?」

[カブ]「あったりまえよ。あんな痛い思いをしたんだからね。まだ許してないからね、クラウン小僧。」

むすっとした視線をクロムに向けるカブーナ。

そのとき、パンプキンちゃんはふっと思い出した。

2話その1はここまでです。長文ご愛読いただきありがとうございました。また、次のお話で。

作・絵 天乃 つくる Hzk(ヘルツク)

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