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【おべけの館】4話その2

[キ]「まさかこんなところで同種に出会えるとは。嬉しいことでござる!

あっそうだ、まだ名乗っていなかったでござるな。拙者、"キュー太"と申す。拙者の使命は、姫様、"ヴァンビちゃん"さんをお守りすることでござる!

ちなみにお主はヴァンビちゃんさんの曲では何がお好きで?」

早口で話すキュー太。

[タ]「あ~好きな曲か~。やっぱりあの名曲『九結記』!だなぁ~。」

ターニップくんも久しぶりに好きな歌手のことが話せる相手ができて嬉しいそうな様子。

[キ]「『九結記』!!いいでござるね~!!」

そうして2人は熱くヴァンビちゃんについて語った。

しかし、少し疑問がターニップくんに浮かぶ。

[タ]「てかっ思ったんだけど、ヴァンビちゃんって数年前に亡くなってたんじゃなかったっけ?」

それを聞くとキュー太は少し暗い顔になる。

[キ]「そうでござるな。それでも拙者は姫様が永眠なさっても推し続けるでござる。

まぁ拙者は姫様きっかけでこの館に来たでござる。生前の頃の話、ターニップ殿は聞いてくれるでござるか?」

今まで1人で抱えこんでいた生前の頃の話がしたいらしい。

[タ]「うん。聞いてあげるよ。」

すぅっと息を吸い、キュー太は口を開く。


「あれは拙者に人生の希望が入った日であった。」



本日のお客様

・小田 玖太郎 様 20歳(おた くたろう)


学歴普通、才能普通など普通の学生時代を過ごし、普通に会社に就職し、ふっっっっつうな会社員だった玖太郎。


そんな彼にある出合いが訪れた。

SNSで1人の新人歌手を見つける。"ヴァンビちゃん"底辺だったが、美しい歌声に魅了される。そこからヴァンビちゃんも人気になっていき、イベントやグッズが販売されたりと有名歌声になっていく。

玖太郎は全てを欠かさずチェックし、ライブや握手会、新曲やグッズ、全てをコンプリートする。

今まで何も熱中することがなかった玖太郎にはヴァンビちゃんの存在は生き甲斐であった。

[玖]「あぁ~!!ヴァンビちゃんさん可愛い!!尊すぎ!!尊死するー!!あぁ~今日命日かも笑。」


しかし、ある日1つのニュースが流れた。


ーー人気歌手、「ヴァンビちゃん」死亡。


えっ…。

そんな、バカな!!


死因は自殺らしい。

もともと血が無くなってしまう持病があり、輸血をよくすることでバンパイアをテーマにした歌手だった。

彼女はその病気が辛く、さらに有名人としてのメンタルも弱く、心身限界を迎えていたそう。


心にポッカリと穴が空いて絶望の玖太郎。

なんで…なんで…どうして…どうして…。

生き甲斐が無くなってしまいどん底の人生に。


仕事もやる気がなくなり、気が進まない。

空に"大きく不思議な光を放つ満月"が浮かぶ夜。布団に籠る。

[玖]「誰か…。生き甲斐を下さい。耐えれん…。"助けて"…。」

すると、その瞬間。

4話その2はここまでです。長文ご愛読いただきありがとうございました。また、次のお話で。


作・絵 天乃 つくる Hzk(ヘルツク)



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