【おべけの館】1話その4
[タ]「いやっっっ!どういう事だよ!?全く理解できん!案内人?おべけ?ふざけんじゃねーよ!!!」
と突然ターニップくんがアキとサクラに向かって怒鳴る。
[タ]「僕って死んだのか?死んだのにここでも働かされるの!?意味分かんない!!」
何もかも面倒くさくて飛び降りを試みたターニップくんにとっては、死んでも役職を渡されたことにお怒りの様子。
目のまわりがジーンと熱くなる。
[タ]「瓜もなんか思わねーのかよ!?」
隣できょとんとしてたパンプキンちゃんを、力強い目で見つめる。
アキとサクラは少しビクッとびっくりしたが、アキがターニップくんの肩に軽く触れて
[ア]「大丈夫です。そのうち、ここでの暮らしも慣れます。本館は死んだことを後悔させません。」
と微笑み、冷静に落ち着かせようとした。
ターニップくんは怪訝な顔。
そんな時
ぼんやりとしていたパンプキンちゃんは周りを見渡したり、自分の見た目を再確認したりとしばらくキョロキョロして、アキとサクラを見た。彼女達をよくみると、一見普通のメイドとシスターに見えるが、瞳は快晴夜空のような紺色に落ちついた赤紫のコスモス色の瞳孔。足は人魂のようにうにょうにょしている。
明らかに人間ではない容姿にパンプキンちゃんはテンションが上がった。
そして
[パ]「お姉さんたち綺麗…!!あっサッサクラさん!こっこの、おべけ…?の館だっけ、私は何をしたらいいの?」
キラキラした目でサクラに問いかける。
[サ]「そうですねぇ…。とりあえず私たちと一緒に館の掃除でもしましょうか。」
そして、4人は館中に生えているかぼちゃや蕪を片付けることに。
アキとサクラは慣れた手つきで、パンプキンちゃんとターニップくんは分からないなりに作業をする。
館内をよく見ると、カーペットはホコリをかぶっていて、天井や壁は蜘蛛の巣や傷だらけでとても汚れている。
それを見て、「あわわ…これも全部掃除しなくちゃいけないのかぁ…」そんなことを思っているパンプキンちゃんの耳にある声が…。
[?]「困ってるようだねぇ~!良い掃除方法教えてやるよ!"主"!!」
お調子者の声高な青年の声。さらにターニップくんの耳にも。
[?]「アンタ、ここ初めて?そんなノロノロしてないで手を動かしなさいよ。"我が主"。」
堂々とした貫禄なマダムの声。
[パ]「どっどこから話しかけてるの?え?え?」
[タ]「おい!なんだ!?お前ら誰だ?」
その声に動揺する2人。
[カボ]「驚かしてすまね~汗。オレは"カボチャー"!!今日からお前の助手らしい!よろしくな!困ったことがあれば、教えてやるよ!」
[カブ]「あたしは"カブーナ"。今日からアンタの助手だってよ。何か困った時は言いなさい。」
ベレー帽がうにょりと動いた。まるで生きているよう。
そう、声の主は被っていた、かぼちゃと蕪のベレー帽からだった。
2人は目をまんまるくして驚いた。
そしてこれからおべけの館での日常が始まる…。
1話終わり。ご愛読いただき、誠にありがとうございました。
また次回のお話で。
作・絵 天乃 つくる Hzk(ヘルツク)