【おべけの館】5話その1
皆さんは寝ることがお好きですか。
けど、寝ている間にとーっても長い月日が経ってたらどうしますか。怖いですよね。
さらに、一生1人な人生も怖いですよね。
本日はながーいながーい眠りについてしまったちょっとすっとぼけな方のお話でもしましょうか。
それでは、ごゆっくり…。
[テ]「ああぁ~。全然できないよ~泣。」
イタズラをするために大道芸を練習する道化師3兄弟。テルルがジャグリングを上手くできなくて、ぐだっている様子。
[ビ]「テルル。きっと疲れがたまってるんよ。何回も練習してるからね。ちょっと休憩しよっ。」
ビスマが駆け寄って休息を勧める。
[ク]「そうだな。ビスマの言う通りだ。少し休憩するか。」
クロムも賛成。
そして3人はいつもの館内の散歩ルートを休憩がてら歩く。
シーンと静かな廊下。他のおべけの部屋の前を通ると微かに楽しそうに雑談している声。たまに耳に入る鳥のさえずり。
散歩をする3人。
すると…。いきなりドタドタとした足音がこちらに近づいてくる。
なんと自分達の身長よりもはるかに大きい骸骨で、そしてどこかダサい海賊のような格好をした者が走ってきた。3人は逃げる間もなく、迅速に近づいて来て…。
ガシッ!!!
[?]「ナカマ!ナカマ!ナカマ!ナカマ!ナカマ!ナカマ!ナカマ!ナカマ!ナカマ!ナカマ!」
その骸骨はビスマの頭をがっしりと両手で掴む。顔を近づけて、カタコトな口調で叫ぶ。
[ビ]「!?!?!?」
今にも首が外れそうなくらい強い力で掴んでいる。
[テ]「ビッビス兄ぃ!?!?」
[ク]「ビスマっっっ!?!?」
ベッッッシィィン!!!
[?]「イタァァァアアァァァァアイ!!!」
[ク]「おい!不審者骸骨!!俺の弟になにしてんだよ!!!怒」
鞭で骸骨の尻を勢いよく叩いたクロム。
その痛さにビスマを投げ捨てるように手から離した骸骨。
床に投げ捨てられて倒れたビスマ。むくっと起き上がり、骸骨に近づく。
[ビ]「貴方、賑やかな方ですねぇ~。((うるさくて、うざい奴やな))
スタイルもよくて、麗しい見た目ですね。((ガリガリのゴボウでファッションセンス不細工やな))」
笑顔で骸骨に向かって、裏言葉を連発する。
[テ]「ビッビス兄ぃ、おっ怒ってる…。クロ兄ぃも~…。」
ギスギスしている3人が怖くて退くテルル。
するとテルルの肩に、ぽんっと優しい手が乗った。振り向くと、館長の死神だった。
[死]「やぁ。」
[テ]「ああ!死神さん良いところに!!なんか大きな骸骨がいきなり走ってきて…。」
死神に一所懸命説明するテルル。
[死]「ああ。分かった。」
死神はクロムとビスマをはけて骸骨に話しかける。
[死]「おはよう。"ホック"。君は今日からこの館のおべけとして過ごしてもらう。役職は『イタズラおべけ』。能力(イタズラ)は、『驚愕』と言ったところか。」
クロム、ビスマ、テルルは、混乱した。自分達がおべけになった時と全く同じことを骸骨に向かって話している。
[ホ]「エッ?ボク、死ンダノ?ダカラ、コンナ骸骨ミタイニナッテルノ?」
[死]「ああ。そうだ。正確に言えば、ホック、君は寝過ぎだ。」
その時割り込むようにクロムが話しかけてくる。
[ク]「おい、死神?この骸骨新人か?初めて見た顔だけど。」
[死]「いいや、新人じゃないよ。クロム達より大先輩だ。私はホックを大分昔におべけにしたさ。しかし、能力(イタズラ)がしっかりかかってしまったせいか、何年も眠っていたんだ。
そして、今に至るってこと☆」
衝撃の事実をお茶目に話す死神。
[死]「まぁ何言っているか分からないでしょ。1から話してやるさ。」
「これはむかーしむかーしのお話。」
5話その1はここまでです。長文ご愛読いただきありがとうございました。また、次のお話で。
作・絵 天乃 つくる Hzk(ヘルツク)