【おべけの館】6話初仕事その1
皆さん。おべけの館ってどこにあるか知っていますか。
意外とすぐ近くにあったりして。あははっ。
まぁ今日は新人の初仕事のお話でもしましょうか。
それでは、ごゆっくり…。
※今回、登場人物が多いので混乱しないように頑張ってください。
[カボ]「ふぁあぁ~~~…。ねみぃ。
おーい、プキン…。朝だぜ~。起きろぉ~。」
ある日の早朝、パンプキンちゃんの部屋。
ナイトテーブルの上から眠そうな声で、ベットで寝ているパンプキンちゃんを起こすカボチャー。
しかし、パンプキンちゃんは全く起きる気配がない。
[カボ]「?おーい、プキン~。大丈夫かぁ?」
いつもなら元気よく起きて「おはよう。」と挨拶をしてくれるが、今日はなんだか様子がおかしい。
カボチャーが心配しているその瞬間。
ガバッ!!!バッシィィィン!!!
[パ]「あ"あ"ぁぁぁ!!!うるさいぃ!!!」
波のように布団が跳びはね、カボチャーは部屋の端まで猛火のような手で吹き飛ばされた。
[カボ]「!?!?痛!?どどど、どうした!?俺なんか悪い事でもしたか!?」
いきなりのことに動揺するカボチャー。
ベットの上ではくしゃくしゃに絡まった髪を乱雑な手つきで掴んで、荒い過呼吸をするパンプキンちゃん。
しばらくすると。正気に戻ったかのような、はっとした顔になり、カボチャーのもとへ心配した顔で駆け寄った。
[パ]「はわわ…。ごめんカボチャー。大丈夫?」
両手で優しい手つきで傷ついていないか確認するパンプキンちゃん。
[カボ]「おお…。俺は大丈夫…。大丈夫かはこっちのセリフだぜ。」
ついさっきの雰囲気とは違うパンプキンちゃんに悪寒を覚えるカボチャー。
[パ]「ああ。ごめん。なんか、イライラしちゃった…。なんでだろ、別に嫌なことがあった訳でもないのに…。」
無意識にイライラした自分に不思議な様子。
少し空気が気まずい中、支度をして部屋から出る。
[パ]「今日は何しようかな~。」
いつものように他のおべけたちのもとへと、廊下をルンルンと跳ね歩くパンプキンちゃん。
跳ねる度に頭の上のカボチャーもポンポンと跳ねる。
そうしていると、ターニップくんとカブーナが先に居ることに気づく。
[パ]「あ!タップくんだ!!おはよ!!」
ターニップくんの肩に軽く手を置き、元気よく話しかけた。
すると。
むすっとした顔でパンプキンちゃんを睨み付け、「邪魔だ。」と言わんばかりの手つきで肩に置かれた手を払った。
同様に頭に乗ったカブーナもカボチャーに、フンッ!と顔をそっぽに向けた。
[タ]「ん"!!」
不機嫌な声でカツカツとターニップくんとカブーナは去ってしまった。
[パ]「なっ何かあったのかな。凄く機嫌が悪そうだった。」
怪訝な顔でパンプキンちゃんはカボチャーに問う。
[カボ]「カッ…カブーナァ~…。泣」
カブーナに嫌われたのかとショックを受けたカボチャーには、その問いは聞こえない様子。
[パ]「なんか今日…おかしい…?」
一方その頃。
[ア]「サクラ!!私のリップ勝手に使ったの!?お気に入りだったのに!!」
アキがサクラの化粧ポーチをがさがさと探りながら、怒りをぶつける。
[サ]「使ってないって言ってるじゃん!!勝手に決めつけないで!」
[ア]「じゃあ、これはなんなのよ!?」
アキがサクラの化粧ポーチから、自分のリップが出てきたことにお怒りの様子。
[サ]「知らないわよ!!」
その時。
[ま]「まぁまぁ、あんさんら。朝からなにケンカしてんのさ。」
たまたまそれを見ていた、まねきさんがなだめる。
他にも…。
[ク]「おい!ビスマ!!お前、ふざけてんのか!?」
新技を練習中の道化師3兄弟。ビスマのやる気の無い様子に、お怒りのクロム。
[ビ]「よう喋るなぁ((いちいちうるせぇな))」
胸ぐらを掴まれてるビスマ。
[ビ]「はいはい、クロムの熱が伝わるわぁ((アホが移るから離せや))」
[ク]「ああ"!?お前、今なんつった!?」
やはり兄弟だから、裏言葉は伝わる(笑)
[テ]「クックロ兄ぃ!ビス兄ぃ!落ち着いて!!」
兄弟ゲンカをする兄たちを、必死になだめるテルル。
何度か落ち着かせようとするが、落ち着く気配が全くない。
怖くなったテルルは部屋を出ていってしまった。
そうして廊下へ。
今日のおかしな雰囲気に頭を抱えるパンプキンちゃんともとに。
[テ]「うわぁあぁあああぁあぁん!!泣」
泣き声をあげ、テルルが走り寄ってきた。
[パ]「わわわ!!テルルくんどうしたの!?」
[テ]「うわぁあぁああん!パンプキンちゃん助けてよ!!兄ちゃんたちがケンカしちゃって、止められないんだよ~泣」
話を聞いて「やっぱり…。」と頭を抱えるパンプキンちゃん。
[パ]「テルルくんところもそうか…。今日なんかおかしいよ!」
そうすると、まねきさんが2人のもとへやってきた。
[ま]「あんさんたちぃ。なに暗い顔しいひんの。何があったんと?
まぁあんさんらのお友達とか兄弟が"ぎすぎすしてるから"やと思うけど。」
苦笑しながらそう言ってきた。
ん?
[パ]「えっ?なんで分かったんですか?」
まねきさんがさらっと、自分達の思っていたことを言って少し不思議に思うパンプキンちゃん。
[ま]「ああ、あんさんら、この館の仕組み知らんかったのか。
まぁワシもこれは不思議や思ってるんやけど。なんか、"おべけの感情って死神(館長)と繋がってる"らしいんや。
だから、あんさんらの周りのおべけたちがイライラしてるってことは、死神がイライラしてるってことなんや。」
おべけの感情と死神の感情が繋がってる…?
驚きの真実に動揺する、パンプキンちゃんとテルル。
[テ]「えぇ…。じゃあ、死神さんがイライラしなかったら、兄ちゃんたちはケンカしないってこと?」
[ま]「まぁ、せやな。」
[パ]「それじゃあ、死神さんの所に行ってみようよ!」
そうして3人は死神を探すことに。
6話終わり。ご愛読いただき、誠にありがとうございました。
また次回のお話で。
作・絵 天乃 つくる Hzk(ヘルツク)
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