【おべけの館】1話その3
パチッ
目が覚めた南美と照。
ふらふらとしながら立ち上がった。
2人は目がをかっ開いて驚いた。
服は執事のよう。南美は秋に染まったパンプキン色のズボンにチョコレート色のベスト、照は純白のような白銀色のズボンに漆黒のベスト。
南美の髪は橙色に紅葉した葉の色で、照は森深く生える針葉樹の色。
お互いの瞳の色は、秋に丸々と実った巨峰のような色をしていた。
さらに、目の前には黒々とした羽織を着ている者、顔はフードの影で全く見えない。その者の両端にはアキとサクラが澄ました顔で立っていた。
黒フードの者が話す。
[?]「瓜 南美、藤角 照。君たちはこれからこの館のおべけとして過ごしてもらう。役職は『館の案内人』。能力は『番人』と言ったところか。」
すると黒フードの者は、南美にはかぼちゃの。照には蕪のベレー帽を。優しい手つきで頭にぽんっと置いた。
[?]「2人に名前を命名する。」
南美の方を向き、『パンプキン』。
照の方を向き、『ターニップ』。 っと。
2人は、は?っと状況を理解しておらず、わたわたとした挙動になっていた。
なにをしていいのか分からず、パンプキンちゃんは自信のない口を開いた。
[パ]「あっあのぉ…ここは?何が起きたの?そして貴方たちは誰?…」
[死]「ここはおべけの館。悩みを持ち、助けを求めた者を"アンラクシ"させ、ここで自分らしく過ごすことができるというサービスを提供している館です。
君たちは"助けて"と強く思ったから。このようなサービスを致しました。
そして私のは…まぁ"死神"…。と言ったとこでしょう。お好きに呼んでください。
そしてアキとサクラだ。
では2人ともご案内を。」
そうするとアキとサクラは、パンプキンちゃんとターニップくんの背中を押し、死神の部屋から一緒に出た。死神はその時、不気味な見た目に反して無邪気に「バイバイ」というように手を振った。
バタンッ…
すると…。
1話その3はここまでです。長文ご愛読いただきありがとうございました。また、次のお話で。
絵・作 Hzk(ヘルツク)〔天乃 つくる〕
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