
『ナイブズ・アウト』
3本目は2019年にアメリカで公開されて、現在はNetflixで観れるミステリ映画『ナイブス・アウト』について書きます。
あらすじ
85歳の誕生日を迎えた世界的ミステリー作家のハーラン・スロンビー(クリストファー・プラマー)が、その翌日に遺体で見つかる。名探偵のブノワ・ブラン(ダニエル・クレイグ)は、匿名の依頼を受けて刑事と一緒に屋敷に出向く。ブランは殺人ではないかと考え、騒然とする家族を尻目に捜査を始める。 (シネマトゥデイ )
雑記
監督は『スター・ウォーズ/最後のジェダイ』で有名なライアン・ジョンソン。
今年公開の『007/ノー・タイム・トゥ・ダイ』をもってジェームズ・ボンドを降板するダニエル・クレイグ、
『アベンジャーズ』シリーズでみんな大好きキャップを演じたクリス・エヴァンス、
『ブレードランナー2049』や『イエスタデイ』など最近大活躍のアナ・デ・アルマスなど、
映画に詳しくない方でもどこかで見たことあるようなキャストの豪華さです。
感想
一時期Twitterで話題になっていたので結構期待して観ましたが、かなり楽しめました。
ただ観終わったあとに後悔したことが1つ、それはこの作品が「割りとネタバレ厳禁系の映画」だったこと。
いやまぁミステリなんでそりゃそうなんですけど、いざ観終わって「さぁ書くぞ」ってなるまでネタバレせずに感想を書く技量が自分にないことに気付きませんでした…
なるべくネタバレ抑えて書きますが、
もし抑えきれなかったらごめんなさい…
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さて、この作品は監督がアガサ・クリスティに捧げると言っているように、古典的なミステリに対するインスパイアをこれでもかと感じますし、そういった古典のアウトラインを上手く作品に落とし込んでいます。
大富豪・館・ポンコツな警察・紳士的な探偵・善良な第三者・遺産・エトセトラ
古典的でテンプレートに配置されたキャラクター達ですが、演技と脚本の妙で各々の個性がしっかりと出ていて飽きのこない作りになっているのはすごいです。
探偵役のダニエル・クレイグの所作や言動だったり他にも様々なところにどことなくブリティッシュな部分を感じるのは、監督のクリスティへの愛故なのかなと思ったり。
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内容面ではおそらくあらすじ以上のことを書くのは無粋な気もするので、それ以外の部分について触れていければと思います。
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では構成的な部分について。
今作は「誰が犯人であるか」という、いわゆる「フーダニット」という手法が用いられています。
このフーダニット、「限られた登場人物の中で且、説得力を持った犯人を用いて観客を満足させる」ことが求められるため、個人的には映画というフォーマットだとなかなか難しいと思っていました。
しかし、今作では中盤に犯人を開示するという特殊な方法を使うことで
観客の「終盤に向けて謎を解く」という楽しみを奪うという形で意表を突き、終盤のカタルシスにより深みを出すことに成功しています。
また主人公であるマルタの「嘘をつくと吐いてしまう体質」というのが
観客の物語への理解の補助装置として、尚且つ優秀な舞台装置として機能しています。
そして登場人物たちの欺瞞や欲望などを、移民問題や人種差別、経済格差、政治思想などの社会風刺を織り混ぜて発露させていく演出はもう面白いんですけど「アメリカ!」って感じでした。(語彙力)
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そして終盤、物語の至るところに散りばめられていた伏線や、序盤から提示されていた大きな謎たちが探偵のもとへ集約されて解かれていく
この様はやはりミステリ好きとしては痺れましたね。
謎解きパートは勿論最高でしたが
さらにラストカットはもう皮肉も効いてるし演出もスマートだしで、めちゃくちゃニクい終わり方、最高。
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正直『スター・ウォーズ/最後のジェダイ』が公開された当時は賛否両論のお祭りだったのでライアン・ジョンソン監督の名前を観たときは身構えましたが、ふたを開ければ大満足な作品でした。
最近では古典ミステリ原作の映画化の波もあった中で、オリジナル脚本でこれを書けるのは素直にすごいですね。
ミステリ好きの僕としては是非また監督にはミステリを撮ってもらいたいなと思いました。
あとがき
今作、自分の中ではなかなかの傑作だったのでかなり熱量あったんですけど
ネタバレせずにあれこれ書くのが下手すぎて短いし散文的になってしまったのがけっこうくやしいにゃあです。
文章書くことの難しさをこの年で味わいました。
最後に
次もできればここ2,3年に公開された映画について書こうと思います。
よろしければ是非に。
2020/10/18
hyve
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