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自分の老害化をまじぇまじぇで知りたくはなかった【ショートエッセイ】

 最近は作業中や運動中、寝る前に料理・グルメ系の動画をよく見ています。自分じゃ作れないお菓子とか、有名チェーンのランキング、海外の本格レシピ動画を見ています。食べ物って誰にでも興味があるものですし、シンプルにおいしいものを見るのは楽しいです。そして料理の中に国内外の文化や社会のありようが見えてくるのもとてもいいです。作業やゲームのながら見に最適ですし、食欲をほんの少し代替してくれています。

 そこで気づきました。特に5ch料理スレッドまとめ系あたりで使われるんですが、

 「まぜまぜ」を「まじぇまじぇ」と言い換えているのがものすごく苦手なんですよね。なにかがこみあげてくるようなざわざわがあります。

 私は物書きを名乗っているので言葉保守的なイメージがあるかもしれません。でも言葉の変化は必要なもので受け入れていきたいと思っています。ら抜き言葉やい抜き言葉も、なんならいい変化であるとさえ思っています。

 でも、「まじぇまじぇ」は無理なんですよね…。

 「まじぇまじぇ」はニコニコ動画の伝説的な動画投稿者だった「アル中カラカラ」さんから広まった表現だと思います。
 私もアル中カラカラさんの動画を見ていましたが、その時は「変な言い回しだな」ぐらいで、全然ざわざわしませんでした
 ただ、アル中カラカラさんは音声を使わず字幕だけで活動されていたんですよね。その時は割と大丈夫だったんですが、肉声でもゆっくりやボイロなどの機械音声でも音で「まじぇまじぇ」が聴こえるととにかくだめです…。

 そんなことを思っていたら、先日tiktokで「まじぇまじぇ」どころか

「まぜぜ」

って言ってる人がいて…、

ちょっとえづきました。

遠からず僕は「まじぇじぇ」に出会うことになり、その時大変なことになるかもしれません


 さて、なぜこんなに「まじぇまじぇ」が引っかかるのでしょう。
 改めて考えてみました。

 そこで気づいたことは、そもそも「まぜまぜ」が料理動画などで使われる他の単語より一つ幼さを帯びている語彙なんだと思うんですよね。

普通なら「かき混ぜる」ですものね。 

 もともと幼児語よりの「まぜまぜ」がさらに「まじぇまじぇ」になることで、もう一段の幼児語化が起きていて、それによって違和感が強烈になっていると思います。確かに私が感じるざわざわって、「大人が幼児語、赤ちゃん言葉を使っている時に感じるざわざわ」な気がするんですよね。
 これは私の考えなのですが、言葉に限らず色々な事柄で「ものごとの水準が二段階ずれると違和感が強くなる」という法則があるのでは思っています。きっとそれが起きているのでしょう。

かき混ぜる(レシピにおける一般語彙)

まぜまぜ(一段階の幼児語)

まじぇまじぇ(二段階の幼児語)

このような仕組みで、違和感を覚えているのではないでしょうか。

 それに加え、料理の言葉としてなぜ「まぜまぜ」という幼児語が受け入れられているかも考えてみました。
 改めて考えると料理の言葉って「ぱらぱら」とか「ぐつぐつ」とか「コトコト」とか、繰り返しが結構使われることが多いと感じます。調理の方法や料理の状態をオノマトペの持つ語感で伝えるためでしょう。その手法が「混ぜ」にも適用されたのかもしれません。「混ぜ」って音的にも混ぜていそうですしね。

 そう考えると「まじぇまじぇ」のざわざわも納得です。
 だって「ぱりゃぱりゃ」とか「ぐちゅぐちゅ」になったら絶対ざわざわ来ますよね…。ぐちゅぐちゅとか絶対料理には使いたくないですし…。
 もちろん他の人に「まじぇまじぇって使うな!」とは言えるわけもないのですが、多分自分では使うことはないだろうなぁ、と頭の中をまじぇまじぇしながら考えています

でも、よく考えたら「かわちい」も全然慣れません。なんでわざわざ「かわちい」って言うの…?ってなってしまいます。ということはきっと言葉に関しては僕はもう老害化が始まっていて、「まじぇまじぇ」でそれを改めて認識してしまったのでしょう。

何かもう少し他の言葉で知りたかったですね!

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