ティラノゲームフェス2024お薦め作品紹介①思わず目が潤む感動のノベルゲーム3選
はじめに
今年もフリーノベルゲームのプラットフォーム「ノベルゲームコレクション」の祭典「ティラノゲームフェス2024」がやってきました!!
ノベコレは私も日常的に作品を探し遊ばせてもらっている、ノベルゲームを愛する人にとって最高の場所だと思っています。
そこで去年に引き続き私がここまで遊んだフェス参加作品の中から特にお薦めしたい作品を紹介します!普段から遊ばれている方ももちろん、そうでない皆様にも個人制作ノベルゲームの世界に触れるきっかけになればと思います。
去年に引き続き5回の連続記事で3~5作の作品を紹介します。どれもこれもお薦めの作品なのでぜひ遊んでもらいたいです…!
去年の作品紹介記事はこちらから!
各記事の紹介・予告
思わず目が潤む感動の作品(今回)
今回は第1回「思わず目が潤む感動作品」になります!そのドラマに心を射抜かれ、涙がこぼれそうになったり実際にこぼれた作品を3作紹介します。
感動できるドラマ3選
1:北限のアルバ~冬の章~
女性向けの恋愛ノベルゲーム「北限のアルバ」シリーズの最終作となります。本シリーズは北海道美瑛町に移住した女性を主人公に、北海道の四季折々の景色、グルメ、そしてイケメンとの恋物語が展開されます。主人公の真とシリーズごとのロマンスキャラクターであるイケメンの関係性が深まっていく過程が丁寧に描かれていて、それを読んでいるだけで「がんばれ、頑張れ…!」となります。
シリーズに共通して主人公、イケメンそれぞれにこのペンションに身を寄せることになった事情と悩みがあり、それらが北海道の自然とグルメ、そして私の推しであるペンションオーナーのソメおばあちゃんを始めとした登場人物が織りなすドラマの中で少しずつほぐされていきます。「癒し」がテーマになっている通り、真とイケメンが過去に作ってしまった「傷」、あるいは「歪み」が美瑛での日々の中で少しずつ癒されていく姿見ていて「よかった……!」となりますし、少なくない人にとって自分自身にもある「傷」を優しくなでられる感触になるのではないでしょうか?
また、今回の冬の章はイケメンの素性にある「謎」が秘められていて、それを推理しながら読んでいくとより楽しめると思います。見た目もミステリアスな少年って感じで、それに違わぬ幼さと不思議な大人さの共存が非常に見ていてかわいらしくも「いったいどういうことなの…?」と続きが気になっていくでしょう。
色鉛筆調に統一されたデザインも全体に好きです。私も北海道に住んでいるのですが、北海道の大きさ・美しさ、でもそれだけでは語り切れない、ほんの少しの寂しさやしっかり描かれていて、「そうそうこの感じ」と思いました。特に今回紹介する冬の章は長く厳しい北海道の冬が舞台で、あの光の感じがすごく再現されていて「ああ、いい…!」となりました。
ぜひ休日にゆったりと、二人のことを応援しながらバーチャルの北海道旅行を楽しんでみてはいかがでしょうか。
2:ヘデラの花が枯れるまで
ある家族との日常、その変化を描いた、短編ノベルゲームになります。
今作、とにかくネタバレを避けたい作品でいわゆる「何も言えない」タイプの作品ですので注意書きを確認の上ぜひ遊んでもらいたいです。
とにかく今作は短いながらも本当に凝っている作品です。最初から覚える違和感が読み進めていくたびにどんどん顕在化していき、決定的な物語が一瞬で眼前に表されたり、言葉選びや作劇の構造でこちらの心を揺さぶってきたり、プレイヤーの介入、それ自体が物語となっていたり、ノベルゲームらしくあらゆる方向性から物語が語られて、こういうのに出会いたくてノベコレ追ってるんだよね!と遊びながら思いました。それだけ端々に様々な演出が凝らされていても、物語は非常に抑制的で静かで、だからこそ噛み締めたくなるような切なさがあります。「あぁ………あぁ………!!」と思わず声に詰まるような展開と、その展開があるからこそ最後に描かれるものが非常に心を揺さぶります。あそこの選択肢押すところとか本当によかったですよね……!
「ヘデラの花が枯れるまで」というタイトルの意味が、読み終えた後本当に深く迫ってきたのを覚えています。短いながらも非常に作者の思いと工夫が詰められている、個人的にノベコレをまだ遊んでいない方は今作から遊んでみるのもいいかな?と思わされる作品です。
3:僕と彼女の人生バラ色
人生どん底状態の男性が、突然出会ったセレブの女性に一目惚れされるという詐欺か妄想のようなシチュエーションから本当に人生が変わっていく物語です。
彼女の素性や動機はミステリ仕立てとなっていて、彼女に振り回されながら少しずつ真相に近づいていきます。その情報がミステリとしてフェアさと面白さに溢れています。あるどんでん返しを見た時は「まじで!!??」となりつつも「なるほど確かにあの時そんなこと言ってたわ」と納得しながら登場人物に感情移入を深めていけました。ぜひ、彼女の正体を考えながら読んでみてもらえればと思います。
そのミステリらしい納得感があるからこそ二人が織りなすロマンスがものすごく心に迫りました。どん底の人生を送る主人公が彼女という強引で強烈な輝きに当てられることで少しずつ内面と人生が変化していくのがすごくいいですし。彼女がなぜ主人公にこだわるのか、その思いを知ると心がキュッとしたのを覚えています。祝福でもあり呪いでもあるような、人生が決定的に変わるいくつかの出来事と、それを経て実際に二人の人生がどうなったのか、まるで人生二つにまるごと寄り添ったかのような満足感と読後感がありました。
あとチャプターが移る時に出る一枚絵と題字の出方とタイミングが本当に好きです。まじで見て欲しい……!!人生においてもタイミングが重要なように、本作は情報の出し方、演出、全てにおいてタイミングが完璧なのでしょう。
今作の最後にある決定的な選択肢があるのですが、私はいまだにある選択肢が押せずにいます。それぐらい心に残り「自分ごと」にしてしまった物語です。
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「北限のアルバ~冬の章~」と「僕と彼女の人生バラ色」は実況をしています!
また2024年上半期のベストフリーゲーム10選+1記事を公開しています。ティラノフェス2024参加作品も多くありますのでぜひお読みください!