ティラノゲームフェス2023お薦め作品紹介③しっかりゲームプレイを楽しむ探索・アドベンチャー
連続記事の3回目!
ティラノゲームフェス2023の参加作品の中から…
しっかりゲームプレイを楽しむ探索・アドベンチャー
としてそれぞれ3~4作ずつ選び5日に渡り紹介します!
今回は第3回、
「しっかりゲームプレイを楽しむ探索・アドベンチャー」
になります!思考、選択、ときには反射神経も求められる、でもそれが物語としての強度や感動にもつながる、そんな作品をご紹介します!
1:Serpenters
ブラック企業(とかいうレベルじゃないぐらいやばい企業)からの脱出を目指すポイントクリック型探索アドベンチャーです。癖のありまくる社員と会話をして情報を集めたり、奇妙な施設を探索しながら会社の秘密に迫っていきます。
ものすごく癖が強い世界観と、サイケデリック感や下世話さに溢れつつ不思議と上品さもある映像、グルーヴと高揚感の強いBGM、丁寧で大胆な演出、それらが独特なセンスで組み合わさった結果他の作品ではなかなか出会えないドライブ感に溢れています。ゲームにもっていかれるような感覚で遊べるでしょう。
作者の感性が炸裂していて、遊んでいて「この作品ヤバいな!」と何度も思うことがありました。飛躍とかいうレベルじゃないぶっ飛んだ展開、もはやシュールと言っていい超展開をドライブ感で押し切ってくれるのが最高に気持ちいいですし、それでいてちゃんと物語の伏線回収もしてくれるのもよいです。また、表現が独特な分なのでしょうか、最初にエンディング分岐についての説明があったり、分岐の際に警告が出たりと遊びやすくなるような工夫がされているのも素晴らしいです。
何より作者の感性が最も発揮されているのが各エンディングです。演出のキレ味も素晴らしいですし、コンテンツが面白くなるための呼吸やリズムに溢れている最高のエンディングとなっています。作者が「なんかすげー」「なんかやべー」をプレイヤーに感じさせる感覚を掴んでいるのがよくわかります。あのエンディングを見るためにぜひ遊んでほしい……!そして主人公の最終着地点があそこなのもとてもよい…。
今作は単品でレビュー記事を書いていますのでよければこちらもお読みください!
2:おもいをつたえるプログラム ばーじょん.A
前作「おもいをつたえるプログラム」の続編にしてゲーム性を大幅に拡大した作品となります。
前作は先に選択肢を選んでから質問を見て結果を見守るというゲーム性とピアちゃんが異常にかわいいことで話題でしたが、今作はそれらの要素をゲームの一部として残しつつもよりゲーム性や物語のスケールを大幅に拡大しているのが特徴です。
主人公は異世界に転生し、各所を旅しつつ戦闘やミニゲームをしながら世界を救っていきます。ゲームの種類も多様で一つ一つしっかりと作られています。難易度調整ができるのも興味深いところです。また豊富に用意された用語集やワールドマップを使った仕掛けなどもあり様々な角度から楽しませてくれます。
前作からの共通点として「プレイヤーがどう感じるか、どう楽しんでくれるか」を意識して作られていて、フリーゲーム・小規模制作という制約の中でもメジャー作品に通じるようなスケールの大きさ、ゴージャスさを出そうと工夫が張り巡らされている作品だと思います。余談ですが作者様がFF14プレイヤーであることの影響もあるのだろうと個人的には思ったりしています。
また、続き物、シリーズものとしてしっかり「ああ、物語がこう続いて、ここでピリオドが打たれたんだ」としっかり感じさせてくれる読後感も非常に魅力です。ストーリーは正統派のビルディングスロマンをしっかりやりながら「AI」や未来、そして人間についてポジティブなメッセージが込められているように感じます。急にメタ的なはずしギャグやはやりもののパロディを入れるのも、他のストーリーをしっかり語っているので素直に笑えます。こういうタイプの笑いは他がグダグダだと笑えないことも多いので…。
なお、今回5つのジャンルを紹介する中で「キャラクターがかわいい部門」に本作を入れることももちろん考えたのですが、やはり今作の作品としての骨太さ、ゲーム性の拡大に敬意を払いたいということとピアちゃんかわいいは去年飽きるほど言ったのでこちらのジャンルで取り扱うことにピアちゃんかわいい。
今作はnoteに短評ですがレビューを書いています!
3:赤い糸の解き方.exe
主人公のことが大好きなヤンデレ義弟と対話をするノベルゲームです。義弟は何か嫌な選択肢や不都合な返事があるとすぐにゲームをループさせます。その繰り返しの中で変化につながるルートを見つけて物語を少しずつ進めていく作品になります。
.exeというタイトルやデスクトップ画面を模したサムネイルからもわかるようにコンピュータソフトであることを利用した演出が随所に散りばめられています。
そのような演出は私は大好きなのですが、今作はかなりその手法が際立っている作品です。プログラムだからこそできる理不尽なループや攻撃的な演出は非常に驚かせてくれますし、またそもそもメタフィクション的な演出は主人公を飛び越してプレイヤーまで届きやすいところがあります。なので怖いところは本当に怖いし、「きつさ」を感じるべきところでしっかり「きつさ」を感じさせてくれます。そのような中でループを繰り返していると本当に主人公を超えて自分が抜け出せないような感覚に襲われくらくらしてきます。このくらくら感がループものとして本当に素晴らしいです。
少しずつ物語が進むにつれてこのゲームや義弟、そして周囲の人々のことがわかってきます。すると巧みな伏線回収や視点の変化によって「なるほどそういいうことか!」と今回の謎が解けていく喜びと、「やっとこのループから抜け出せるかもしれない」という安堵、そして義弟に対する何とも言えない気持ちに襲われます。いったい彼はどうすればよかったのか、そんなことも考えてしまいます。このあたりの情報の出し方の順番が本当に見事で、思わずのめり込んでしまう物語です。
私も一か所えづいたところがあるぐらい強烈な作品ですが、遊んでみると本当に色々な角度から心を揺さぶってくれる、そして謎解きゲームとしてしっかりとした遊び甲斐のある作品です。注意書きを読んで、いける!と言う方はぜひ遊んでほしいです。
今作も実況があります!