《ヒョンスのステージに目を奪われた、最初のとき》
私が初めてヒョンスを意識したのは4RのPSYミッション、皆の前で即興のHIPIOPを表現する課題のときだった。それまでは腹ペコの教育係をさせられてた人の良さそうなお兄ちゃん、COINでも年下の子をちょっと気にしながら踊ってた子、ああ好青年だよね、っていうぐらいのイメージしかなかった。ヒョンスペンの皆が練習生ステージや腹ペコで好きになったと言うなかで、私はかなりのスロースターターだったと思う。
即興ステージ、放送されたメンバーのなかでいちばん印象に残ったのがヒョンスだった。
何度も動画を見返した。この子が歌うと場の雰囲気がよくなる。喝采を浴びるような華やかなスキルがあるわけじゃなさそうだけど観客を沸かせるホットな力をもってるみたい、ラップもさりげなく上手くて、それにやたらと耳に残る声してる。笑顔が可愛い。
洗ったまんまのサラサラヘアーの男の子が気になって仕方なくなった。
そこからは早かった。気がついたら練習着のZARAのスウェットをネットで探してた。ぼんやりと毎日インスタを眺めているあいだにキャスティングラウンドが終わって、翌週からは人気投票で脱落者が決まるのだと知った。居ても立ってもいられなくなって、情報を集めるためにTwitterのアカウントを作った。投票期間中の不安は夢にみるほどだった。ヒョンスの歌っている姿を見られなくなるのが何より怖かった。
ヒョンスのステージには、ぱっと明るく燃えさかる炎みたいなところがある。今この瞬間を逃したら消えてなくなってしまうんじゃないかと、それを捕まえるためならなんでもしたいと思わされてしまう。きっとこれからのライブパフォーマンスの一つ一つで同じだけの価値を感じさせてくれると思うから、一時たりとも目を離したくない。
思い出したんだけれど、即興ステージでPSYさんが席を立ってヒョンスにマイクを借りようとしたとき、ヒョンスがちょっと頭をさげて敬意を示してからPSYさんの歌をとても嬉しそうに聴き、それからマイクを返されると物怖じせずにすぐ自分の歌に戻ったこと、私はどの瞬間もはっきり覚えている。PSYさんが「記憶に残ると思う」と言ったのは本当だった。