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今野さんに捧げるラブレター

「坂道白書 坂道シリーズの創造術」と題された特集が組まれたSWITCH  7月号を読んだ。女性アイドルグループの中でも坂道シリーズと分類されている乃木坂46、櫻坂46、日向坂46の特集。グループメンバーだけでなく、クリエイター陣にもグループの在り方、グループへの関わり方を取材している。ここでは携わる全員の愛と熱意が感じられ、この3グループが日本女性アイドルの最高峰に君臨している所以がよく分かる。
この記事の目玉記事の一つが、言わずと知れた3グループの運営トップ、乃木坂46合同会社、Seed & Flower合同会社代表の今野義雄氏による3グループの現状解説だ。メンバー達を見出し、護り、3グループをここまで盛り立ててきた今野義雄氏の功績は計り知れないし、感謝してもしきれない。この気持ちは前提として私の、ひいては多くの坂道シリーズファンの中にあるだろう。
今野義雄氏がこの3グループを並べて、メディアの中で語ったことはこれまで無かったように思う。
言うなれば、ここで初めて私達は、この3グループに対する今野義雄氏の心中を少しばかり覗くことができるのだ。
私は、坂道シリーズのファンだ。今は日向坂を中心に推してはいるが、乃木坂から入り、ひらがなけやき、漢字欅、日向坂、櫻坂とどのグループも愛してきた。グループに、メンバーにたくさん助けられ、人生を彩ってきてもらったからこそ、感謝の思いは尽きることはない。
そのうえで、この記事を読んで膨れ上がった想いを以下に記す。坂道運営のトップに対する、一介のファンの想いである。

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乃木坂についても、櫻坂についても、日向坂についても概ね、ある種最大公約数的な解説がなされていて、初めてこの記事を読んだ方にもグループの概況がわかるようにお話しされていた印象を受けました。
紙幅に限りがある中で伝えることの限界があることはもちろん承知していますが、いくら組織のトップで報告を受ける立場とはいえ、3グループ共に僅かな体験談を除けばどこまで行っても客観的にしか語っていない(自分ごととして語っていない)ことと、乃木坂については、センター経験者のいわゆる中心メンバーが描いてきた物語についてしか言及していないこと、櫻坂については、パリ以前からも海外Buddiesの動きは私達ファンですらある程度察知していたくらい存在感はあったのにも関わらず、認知されていた様子が伺えないこと(ちなみに海外おひさまの動きも実は同じく活発です)が気になりましたが、今、私は乃木坂と櫻坂を含むことは口に出す資格もないと思いますので一旦置きます。
私が一番首を捻ったのは、日向坂の記述についてです。もちろん坂道運営トップである今野さんがここで語られていることもある一定の真実であるのだろうとは思いますが、あまりにも一面的な見方で、一見彼女達の魅力・長所を好意的に解説しているように見えますが、書き方も含め、彼女達の飛躍と成長を阻害しかねない内容を含んでいると思っています。

まず一点目、冒頭、今野さんは日向坂のアイデンティティと2022〜2023年の状況について以下のように述べられています。(以下引用)
「そもそも日向坂にとって欅坂/櫻坂というのはお姉さんなわけで、そこに追いつけ追い越せというベクトルでスタートして、一時はものすごい勢いで追い抜いていったわけです。けれどそこから、彼女たちの中で目標を失ったという言い方が正しいのかどうかはわかりませんが、徐々にチームに迷いが生まれ始めた。もしかしたら慢心というものがどこかにあったかもしれない」
この「慢心」という言葉に反発が多く生まれているのはお気づきでしょうか?
少なくとも私には日向坂のメンバーが慢心していると感じたことは一度もないことと、この部分の主語が"チーム"になっているので、運営側も含めたチーム全体が抱いていた、という意味だと信じています。
ただ、他のグループの部分を通しても、この記事でほとんどの主語はメンバーになっている、なおかつ直前直後の主語が明確にメンバーであることから、そこだけ急に主語が切り替わったとしても日本語の使い方と思考の流れ的に不自然なので、そう読むのって非常に難しいんですよね。実際チーム=メンバーと読んでも不自然はない。
あと、ここの部分はこうも読めることが問題だと思うんですね。一時日向坂は欅坂/櫻坂をものすごい勢いで追い抜いた、その後目標を失って迷い→慢心という記述の流れになっているので、迷って、なおかつ慢心(そしてその主語はメンバーかもしれない)したのはそれまで背中を追っていた欅坂/櫻坂を追い抜いたからだと。
違いますよね?
実際、日向坂が目標を失ったのは東京ドーム公演が終わったからですよね?(なぜか今野さんは言及していませんが)
でもメンバーが個別に新国立とかドームツアーとかワールドツアーとか新たな夢を発信していたにも関わらず、グループ全体で新たな目標を設定できなかったから、メンバーは迷ったんですよね?
そして新たな目標を設定できなかったのは、メンバーだけの責任じゃありませんよね?
その事実に一切言及せず、坂道シリーズに初めて触れる方であれば"メンバーが欅坂/櫻坂を追い抜いたから慢心した"とも読むことができる表現をするのは非常に問題だと思います。あの雑誌は、業界関係者やクリエイターが坂道シリーズの情報収集するために読むって役割も担っていると思いますので。
今野さんがこの事実を言及しなかったことについてもっと意地悪な読み方をすると、ただ今野さんが日向坂が欅坂/櫻坂を追い抜いたという事実を嫌がってそちらに慢心の要因を無意識に求めたとも邪推できると思っています。

次いで二点目、私は「慢心」よりも遥かに、この記事の中で群を抜いて問題のある記述があると思っていて、メンバーの「迷い」の原因をバラエティに求めている箇所です。
今野さんは上記のような「チームの迷い」により日向坂の勢いが落ち、結果2023年の紅白にも落選してしまったことの原因の一つに、バラエティにおいてプロフェッショナルの前に自信を失い、本業でないにも関わらずそこで爪痕を残そうという意識となったことでアイデンティティを失い、メンバー各自のベクトルもバラバラになったことを挙げられていました。
バラエティも彼女達が輝くとても重要な舞台なのに、それを牽制する(制限しかねない)ような発言をするのはやめていただけませんか?
今まで超一流のアイドルは皆、バラエティも極めてきた方ばかりですよね?
この雑誌は前述したような坂道シリーズに初めて触れる方だけでなく、今まで日向坂に関わったり、オファーしてくださった方も見る媒体ですので、仮にそのように認識していたのだとしても、こういった論をメディアで展開するのはこの上なく失礼なことだと思います。
ああいった雑誌の中で、ドル箱の坂道シリーズ運営トップの今野さんの記事の注目度は、とても高いのですから。
もちろんメンバーがバラエティの場で悩んだこともあると思います。ただそれがアイドルとしての"迷い"に直結しているとは私は思いません。そんなことメンバーの誰からも少しも聞いたことがないですし、何より今野さんの言葉を借りれば、「本業じゃない」のですから。
確かに外部からオファーを受けた際の日向坂メンバーへのバラエティに対する期待感の大きさに彼女達が戸惑うこともありました。しかし彼女達がバラエティの場で爪痕を残したいと思うのは、多くは自分の面白さを証明するためでなく、グループの知名度を向上させるためです。"グループのために" 彼女達のその意識がブレていたと、私は思いません。
あと、実際番組オファーなども同じ番組に複数回呼ばれたりと、彼女達はきちんと結果を残しています。それもとても楽しみながら。メンバーが出るほぼ全てのバラエティを見て、有料メッセージ、ブログからメンバーの想いに日常的に触れている私にはそう見えます。

そして最後、三点目です。
今野さんは日向坂4期生がとても特殊な立場に置かれたと仰いました。一部のファンにそれまでの日向坂の全員選抜を阻む存在として位置付けられ、そのせいで非常に追い詰められた、それが新参者公演によって氷解したと。
確かにそういう側面はあったと思います。4期生が加入した頃は東京ドーム公演時のメンバー22人こそが日向坂であるという考え方が根強くありましたので、そう考える人達への訴求も4期生の重要な使命であったと思います。
しかし、これについてもやはり一面的な見方だと思っていて、新参者以前から4期生を推し増ししていた人もいれば、新参者ではとどまらずまだ4期生に対して否定的な人もいます。そしてそれ以上に4期生を歓迎しながらも選抜制には反対している人も数多くいるからです。(私もそうです)
そう考える人は、グループの新陳代謝のために4期生の加入を歓迎しつつも、今野さんの仰る通り全員選抜が魅力であった日向坂に対して、他のグループと同じく、グループを真っ二つに割る単純な選抜制を導入したことに批判的な考え方を持っています。櫻坂に導入した櫻エイト制度のような創意工夫が見られなかった(個人的には櫻エイト制度はグループ内の新陳代謝を選抜制以上に制限するものだと思っているので反対です。グループのエースとなるメンバーを早急に育成する必要があったのは理解しますが)。
こう考えている人は、今でも選抜制に反対の立場をとっている人が多いことを書き添えておきます。
話を戻します。今野さんは新参者公演時には4期生メンバーはこれが最後のチャンスと思うほどの覚悟を持っていたと仰いましたが、そこまで4期生が追い詰められていたのは、4期生に否定的な考え方を持っていた人だけのせいなのでしょうか?
新参者公演でそういう人が減ったのだとしたら、そういう場がそれよりももっと前にあれば、もっと早くに4期生に肯定的な人が増えたんじゃないでしょうか?
確かに日向坂4期生は特殊な立場にいたと思います。新参者公演時点では乃木坂5期生は既に活躍の場が多く与えられていた。櫻坂3期生は比較的加入から日が浅かった。
日向坂4期生だけが加入から新参者公演までのある程度の長い期間、メンバーが力を発揮できるステージが提供されていなかった。
彼女達がそこまで苦悩したのは、活躍の場をその時点まで用意してくれなかったことにも起因しているんじゃないですか? 采配によっては、もう少しどうにかなった問題なんじゃないですか?

ねぇ今野さん、日向坂の記事を通して、なんでそんなグループの足を引っ張るような言い方をしてしまうんです? ねぇ今野さん、なんでそんな他責思考なんです? ねぇ今野さん……今野さん、今野さん。。😭



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