友達のお母さん
わたしが小学一年生のときのお話です。
わたしは転校生だったので、近くに住んでいるYちゃんと言う子となかよしになりました。
Yちゃんはとても活発で明るい子でした。
ある日Yちゃんは、わたしを家に招いてくれました。
普通にお人形遊びをしたりしました。
そして、Yちゃんがふと立ち上がって、小さな戸を開けると、向こう側にYちゃんのお母さんが後ろ向きに座っていました。
内職と言う言葉をずっとあとになって知るのですが、そのときは知りませんでした。
ヘッダーに貼った花輪を作る内職でした。
花形に切り取られた紙(プラスティック?)を型に入れると、あら不思議、立体的なお花になるのでした。
Yちゃんがいくら話しかけても、Yちゃんのお母さんは一度も振り返りませんでした。
そのことよりもショックだったのは、
お母さんがいた部屋は手作りの部屋のらしく、
トタンに囲まれて床はなく、蓆のようなものが敷いてあるだけでした。
風が隙間から吹き込んできても、ずっとその作業をしていました。
なぜ、こんなことを覚えているかというと、
そのYちゃんは、わたしと同じ名前だったからです。
クリスマスに思い出す話としては、ちょっと重いかもしれません。
その後、わたしがまた転校をしたので、Yちゃんがとうなったのかはわかりません。
あのピンク色の紙が立体的になっていく様を、
感動したようにみていた小さなわたしのむかしのお話です。