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フィリピン人は台湾からやってきた[フィリピンの歴史①]

フィリピンに移住したので、その歴史を知りたいと思い、"The Making of The Modern Philippines"という歴史本を購入しました。この本で学んだことを少しずつアウトプットしていければと思っています。第一回目の今回は、フィリピンの島々にいつ人類が到達したかについてです。


先住民ネグリトの到来

現在のフィリピン共和国の人口構成の中心であるマレー系の人々よりも前に、フィリピンの島々にやってきた人々がいました。ネグリトと呼ばれる先住民の人々です。彼らは黒い肌とクセの強い髪の毛という一見するとアフリカの黒人たちと似たような身体的特徴を持ちます。パラワン島の洞窟に人間の住んでいた痕跡が残されていることから、彼らは3万年以上前から住んでいたのではないかと予想されています。彼らの子孫は現在も森の中や離島に小さなコミュニティを形成しています。実際に私もボホール島の観光ツアーに参加した際に、ネグリトの人々の伝統的な音楽や舞踊などを目にする機会がありました。

ルソン島のネグリトの男性

オーストロネシア語族の到来

現在のフィリピンのマジョリティであるマレー系の人々の祖先は、オーストロネシア語族と呼ばれる人々です。彼らはモンゴロイドの身体的特徴を持ち、約6000年前、中国南部から台湾へと渡ってきました。その後、フィリピン、マレーシア、インドネシアを経由して、西はアフリカ東岸沖のマダガスカル、東はニュージーランド、そしてチリ領のイースター島まで広がったと考えられています。

オーストロネシア語族の拡散
出典:https://commons.wikimedia.org/w/index.php?curid=75888381

オーストロネシア語族は、上記の通り地球上の広範な範囲に拡散しましたが、同じ語族のため、各地で話されている言語には以下のように共通点が見られます

オーストロネシア語族の諸言語の共通点
出典:https://www.r.minpaku.ac.jp/ritsuko/japanese/essays/languages/austronesian.html

オーストロネシア語族はオーストラリア大陸には広がらなかった

上記の図のように、オーストロネシア語族は広範な地域に広がったにも関わらず、オーストラリア大陸(とニューギニア島)には進出しませんでした。よって、オーストラリアの先住民として知られるアボリジニたちとは異なるグループであるということが分かります。彼らがオーストラリア大陸に広がらなかった理由に関してはまだ議論があるようです。個人的な妄想としては

  1. 海洋民族であるオーストロネシア語族にとって、大陸の環境が合わなかった?(しかし沿岸部にすら広がらなかったのは不思議)

  2. オーストラリア先住民との抗争に負けた?

あたりが理由なのかなとは思っていますが、専門家ではないのでわかりませんね。

オーストロネシア語族は日本列島、琉球にも到来した

大和民族や琉球民族は、一般的には日流語族に含まれるとされ、オーストロネシア語族の一部とはみなされないようです。ただし、オーストロネシア語族の一部は日本列島に到来していたと考えられています。特に沖縄県・鹿児島県・宮崎県・和歌山県南部・三重県・愛知県・静岡県南西部などに彼らの末裔が多いようです(Wikipedia:オーストロネシア人
特に日本書紀にも出てくる現在の鹿児島県本土の地域に住んでいた隼人と呼ばれる人々は、オーストロネシア語族と考えられているようです。

感想

オーストロネシア語族という存在を初めて知ったので大変興味深かったです。フィリピン人たちは台湾からやってきて、同じ言語グループがマダガスカルからイースター島まで広がり、その一部は日本までやってきたことを考えるとロマンがありますよね。私は日本人としてはだいぶ肌が浅黒くて、掘りも深いので、フィリピン人からフィリピン人に間違われることもあるのですが、もしかしたら自分にもオーストロネシア語族の血が流れているのではないかと少しワクワクしてしまいました。

次回は、フィリピンが西洋諸国に「発見」される歴史についてです。
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参考文献
"The Making Of The Modern Philippines Pieces of a Jigsaw State" pp. 12-13

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