Elliott Smithと"Yesterday"
ビートルズのド定番曲Yesterdayを改めて聴いてみたら、思っていた以上にエリオットスミス要素だらけだったので、それについて書いてみました。
と言うか、逆だろっていう話ですが。笑
1音下げチューニング
0:43から見てみるとわかりますが、Fメジャーキーだけど、ギターの押さえ方はGメジャーキー。
すなわち、スタンダードチューニングの1音下げです。
これはエリオットスミスの定番チューニングですね。
II-IVを含むコード進行
超有名フレーズOh, I believe in yesterdayのところですが、
コード進行は(押さえ方で言うと)Em7-A7-C-G、
度数は VIm7-II7-IV-I となります。(※1)
II(7)-IVは歪な響きで以前から指摘している通り、エリオットスミスの好きなコード進行ですね。
エンディングの進行もG-A7-C-GすなわちI-II7-IV-Iで、やはりII-IVを含んでいます。
1) Em7-A7をDメジャーキーのIIm7-V7、CはDメジャーキーのVIIbかつ元のGメジャーキーのIVとして解釈できるようです。(参考文献:高山博『ビートルズの作曲法』リットーミュージック, 2012年)
小節数
一応、基礎知識を補足すると、通常の楽曲は1つのセクションが4の倍数になります。ポップスだと8と16の組み合わせ、ブルースだと12みたいな感じで。
ところがYesterdayのヴァースを数えてみると7小節です。
(これは各所で既に語りつくされてる感がありますが。。。)
エリオットスミスの曲もやはりDancing on the Highway(5小節)やCondor Ave.のコーラス(9小節)など4で割り切れない小節数のセクションを含む曲が少なくないです。
"Angeles"との類似
YesterdayのヴァースにあるEm-Em/D-C(VIm-VIm/V-IV)と、ベースラインが順次進行で下降するお馴染みのコード進行(0:32-0:33)ですが、これを2倍の長さにするとAngelesの3-4小節目と全く同じ進行になります。(※2)
実は、これに気付いたからYesterdayを聴きなおしてみたのです。もっとも、一般的な進行なので関連しているとまでは言いませんが。
その後も両者ともに、もう一度下降ラインが現れます。(今度は度数は異なる)
2) ただし、Angelesはアヴォイドノート(不協和で基本的には避けるべき音)のC音が鳴っています。
まとめ
今回は、以前書いたことの振り返りを含んだ箸休め的な記事になりました。
エリオットスミスを理解する上で、やはりビートルズに言及することは避けて通ることができないし、先行研究が多いので応用して使えるという一面もあります。
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現在、Angelesの調性を理解しようとしているのですが、正直難しいです。
初めから不可逆的な結論を出そうとはしていないので、とりあえず自分なりに意見をまとめてみようかなと思っています。
何がそんなに曖昧にしているのか、いくつか心当たりはありますが、もう少しモードについても調べつつ書いてみようかと思っています。
手のひらクルクル返しても許してください笑