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43日目 電話から始めよう

その電話がきた。その電話は突然くる。とうとう私のところにも来た。おれおれ、おれだけどお熱が高いのでお父さんお迎えお願いします。朝方、今日も5時に目を覚ましたとうわを療育センターのリハビリに連れていき、放課後デイに預けて午後の職場に着いたと思ったら電話である。水曜の午後は高校の職員室で仕事なのだが、事務作業だけ終えてものの1時間で退出。インフルじゃないことを祈るばかり。

やや熱はあるがけろっとしているとうわの相手をするため午後の仕事はなにもできない。夕方に整体に行って痛めて肩を治そうと考えていたがそれもお預け。夕食の支度に取り掛かった。鯖の味噌煮缶とほぐした梅を2個入れて土鍋で炊き込みご飯をつくる。これが簡単でいい。おかずはもやしと挽肉の残りとちんげん菜を炒めて水に溶かした鶏がらスープの素で仕上げる。お味噌汁も適当だ。さつまいもと残り物の人参の切れ端、それに玉ねぎを入れ、かつおぶしと、いりこを2匹。文章にするとしっかりした丁寧な料理に思えてくるから不思議である。

京都の大学のゼミから帰宅した恭子さんを待って夕飯を食べるととうわはすぐに寝てしまった。明日は病院に連れていき診察。ただの風邪なら幼稚園も休まなくていいのだが。

何もなかったような日だがそれでも今日は「まちなかの見守りさん」と私がかってに思っている方に会えた日だった。まず朝のバスでとうわのお気に入りの運転手さん。とうわはドアが開いてアナウンスの声だけでその人がわかる。とても嬉しそうだ。久しぶりやな!と声をかけてもらい少し照れていた。もう1人は、療育センターの近所にあるコンビニのお姉さん。毎週、ここでおにぎりとお菓子を買うのが習慣になっていたが、最近は車で通っていたのでしばらく顔をだしていなかった。どうしてたん?元気やった?!と声をかけられてこれまた少し照れていた。息子はたくさんの人に見守られて暮らしている。

そして、今日は恭子さんのお父さんの三回忌。島根には行けないが花をいけて手を合わせた。2年前、急に冷え込んだ寒い朝方に電話が鳴ったのを思い出す。早いものだ。労働組合にも関わっていた義父がお酒の席で言った「給料じゃなくて賃金なんよ、そこ間違えちゃいかんのよ」という言葉を思い出す。一度だけ行った店で食べたカレイの唐揚げの美味かったことも思い出す。東京から来た友達を市場ののどぐろ丼に連れて行ってくれたのを思い出す。今日の夜は暖かい。

20231018


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