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P.V.L日記 父子入院14日目 憩い
PVL(脳室周囲白質軟化症)から独歩をめざしリハビリ入院、
3歳児と父親が入院という名の合宿生活。
日曜はお休み。一時帰宅せず滞在。午後から妻と面会。
三食介助、入浴、洗濯。PCR検査。
5月15日(日)
明日で一旦は妻と介助入院を交代する。1週間後にはまた私と交代するのであるが、このような入れ替わりは少なく、ほとんどが母子入院である。お部屋も移動するので自分の分の着替えや荷物などをまとめる。この2週間は太りすぎた体を何とかするために、自分の食事は配膳を注文せずに、おからクッキーとサラダチキンとチーズとブラック珈琲だけを摂る毎日だった。たまに食べるものは息子が残した野菜類。錯覚の可能性も大いにあるが体が軽い。むくみも減った気がする。ただ、病院内に大人が乗れる体重計がない。2022年5月15日現在、私は一体何キロなのか依然不明である。
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入院中は21時には正門の扉が閉まり朝6時まで外にでることが出来ないため、買い食いの誘惑もない。1日50円で使える冷蔵庫は小さいので息子に買った果物ですぐに満杯になる。毎日規則正しく、やることも多いのであっというまに1日が終わる。これ以上ない減量環境である。だからと言って結果がついてくるとは限らない。面会に来た妻には「体型に変化なし」と厳しい評価を受けた。私に似たのか息子もよく食べる。主治医にはこれ以上体重をふやしてしまうと踵のゆがみを助長することになるので、食べ過ぎないようにと助言を受けた。顔、丸いよね。
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初めて24時間父子だけで生活した2週間を息子はどう感じているのだろうか。楽しい?と聞くと楽しいと答える。帰りたい?と聞けばきっと帰りたいと答えるだろう。父がいい母がいいという質問は愚問である。我々夫婦にも偏りはあるが、育児をできるだけ二人でやろうと試行錯誤してきた。現状これまではまだ妻の負担が大きいのでそれをバランスよく変えていきたいと思っている。関係者には困惑を招くこともあるが、仕事先にもなるべく息子を連れていくことにしているのも社会に対する実力行使の側面もある。ありがたいことに嫌みを言われるような仕事先は1つもなく、むしろそういうスタイルを肯定さえして頂き感謝ばかりである。
思い返せば、会社の法人登記はベビーカーで法務局に行ったし、オンラインの定例会議に息子も常連として参加していた。公私の境目をなくすこと。オンとオフではなく、ただ全てをひっくるめた「生活」だけがある。かつ、その生活が健やかで人の役に立つものであること。これが私のめざすところである。言い換えるなら「人生は借景である」と言える。独りでできることは限られている。私の生活・暮らしが誰かの人生を支え励ます借景となり、私もまた誰かの生活・暮らしを借景として借り受け支えられ励まされる。
私は今、息子の人生を「借景」として借り受け、減量に挑んでいるのだ。(続く)
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