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親なんて子どもに頼られて使われてナンボだろ-愛し愛され生きている
息子から電話が来た。
「結婚記念日に妻とふたりで出掛けたいから子どもたちを預かって欲しい。」
そーか。
結婚記念日か。
予定があれば断るけど。
予定がないから引き受けることにした。
孫は2歳男児と7ヶ月男児。
ミルクとオムツか…。
正直、気が重い。笑
でもまあ。
子どもの頼みは断らない。
なぜなら私は母親だから。
親なんて子どもに頼られて使われてナンボだと思う。
いつでも頼りに出来る存在がいるからこそ、子どもは自分で頑張ろうと思えるのだろう。
安全装置がついているからジェットコースターにも乗れるしバンジーだって飛べる。
安全装置がなかったら挑戦なんて出来ないのだ。
話が逸れた。
そんなこんなで孫たちがやって来た。
大量の着替えとオムツと哺乳瓶とともに。
予定では7時間預かることになっていた。
7時間かぁ。
長いなぁ。
私の1日の勤務時間に匹敵…。
いやいや、そんなこと考えちゃダメだって!笑
「長い時間ごめんね!お願いします。」
と恐縮する息子の妻に返事をする。
「大丈夫!ゆっくりしておいで~。おかずも作っておくから、お迎えに来た時に持っていってね。」
息子夫婦を送り出し、孫たちと向き合う。
2歳の男の子は外で遊びたい盛り。
7ヶ月児をスリングに入れ、2歳児の手を繋ぎ、近所の公園までてくてく歩く。
が。
途中で2歳児に異変が。
あ、オムツ替えなきゃ案件…。笑
公園まで辿り着かずに家に戻る。
久しぶりのオムツ替え。
想像以上の大惨事。笑
でも大丈夫。
私には今まで培った経験が!!!
お風呂で孫の身体を洗い、着ていた服を全部着替えさせ、汚れた服を下洗いして洗濯機へ。
ついでに下の子もオムツ替え。
気を取り直して公園へ。
まあまあ遊んで気が済んだ頃、他の子が食べていたおやつを見て「家に帰っておやつが食べたい」と片言で訴える2歳児。
じゃ、帰ろうか。
少し歩き始めたところで抱っこをして欲しいと2歳児に訴えられる。
左側にはスリングに入ってすやすや眠る7ヶ月児。
…。
じゃ、じゃあ。
右側にどうぞ。
片手で2歳児を抱っこする。
両手に花ならぬ両手に孫。笑
なんとか家まで帰りつく。
我ながら素晴らしい体力!
おやつの前にお昼ごはんね。
リビングに飛び散るうどん。
こぼれるお茶。
あー、なんか懐かしい感じ。笑
と。
寝かせておいた7ヶ月児に泣き声で呼ばれる。
あ、ミルクか。
自分自身は母乳のみで育てたのでミルクのタイミングとか良くわからないのよな。
慣れない手付きでミルクを作って飲ませる。
まだまだ遊び足りない2歳児を遊ばせるべくスリングに7ヶ月児を忍ばせて家のなかを探検する。
この時点で3時間半。
うん。
7時間て…。
長いな!笑
ちょっとテレビでもみようか?
「アンパンマン!」
いやさすがにもう我が家にはアンパンマンはないのよ。笑
テレビをつけたら、きかんしゃトーマス。
どうやらお気に入りらしくニコニコの2歳児。
こたつでごろごろしながら…。
いつの間にやら…。
寝てる!
そうそう。
こんな感じだったっけか。
スリングで熟睡していた7ヶ月児を隣に寝かせる。
すやすや寝息をたてる孫たち。
あー。
かわいいなぁ。
「寝てるときはかわいいのに!」
って思っていた頃の自分を思い出した。笑
あの頃。
必死に子育てしてきたスキルがあるからこそ、いま、こうやって孫を預かることも出来る。
なんでも頑張ってやっておけば身に付くもんだ。
そうこうしているうち息子から「これから帰ります」の連絡。
2歳児がうっとりとしながら目を覚ます。
ほどなくして迎えの車の音が聞こえた。
「パパかもね?」
私の一言に目をキラキラさせて満面の笑みで「パパきた!」と孫。
玄関のドアが開き息子が登場すると、孫は駆け足で息子のもとへ。
息子もその姿に嬉しそうな笑顔。
そして、ぎゅっとハグ。
ああ。
愛し愛されているのだね。
君たちは。
我が子が。
愛し愛されながら生きている。
そんな幸せな光景が目の前にある。
息子の、その姿が見られただけで。
孫を預かって良かったと思えた。
ああ。
親、頑張ってきて、良かったなぁ。
子どもに頼ってもらえる親で良かったなぁ。