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退職に追いやられた話-二昔前のとある片田舎での出来事
夫2とは職場で飲み仲間として知り合った。
まあまあ、仲の良い友だちだった。
しかし私は夫1と結婚し、妊娠により休業。
一年数ヶ月後、出産と育児休暇を経て復帰したとき、私はすでにシングルマザーとなっていた。
復帰した私は夫2と恋に落ち結婚した。
その後妊娠して2度目の育児休暇取得。
(同じ会社にいる間に2回結婚した上に父親が違う子どもの育児休暇とってるんだから、我ながら傍若無人…。笑)
その2度目の育児休暇中。
夫2が転職した。
別に妻(私)が傍若無人(ぶっとんでる)という評価に負けたのが理由ではない。笑
激務過ぎて(朝4時に帰宅して仮眠して朝9時に出社とか当たり前だった)身体とメンタルが心配になったからだ。
独身ならいざ知らず、家庭を持った身。
さすがに夫2自身も危険を感じたらしく転職活動を開始。
片田舎ではそこそこの学歴とそこそこのスキル。
けっこう良い会社に転職した。
が。
あろうことか。
転職先はライバル会社だったのだ!!!笑
そんなこと何も気にせず育児休暇から復帰した私に、人事部の部長は言い放った。
「お前、どの面下げて戻ってきた?」
は???
どの面っていうか、育児休暇が終わったので出社したのですが…。
「お前の夫が何をしたのか知ってるのか!?」
あ。
転職しましたが…。
でも彼と私は別の人間では…。
「そんな言い分が通ると思ってるのか?いいか、この会社に戻ってきたところで、この先1円も昇給しないし、いままでの部署にも戻さないからな。覚悟しとけよ!」
夫2への恨み辛みを全て私にぶちまける人事部長。
うっそーん。
だって、昭和じゃあるまいし。笑
そんなこと、出来るわけないじゃん。
一応、労働組合だって存在してるよね?
とか、のんきに思っていた私であったが。
人事部長は本気だった…。
倉庫の片隅に置かれたデスク。
「仕事はない」
と言い放たれる。
うっそーん。
それでも毎日出社し、あちこちの部署のお手伝いを買って出る。
愛社精神、とかではない。
会社を辞められない理由が、私にはあった。
いまはどうだか知らないが、当時は。
育児休暇を取得したあと、一定期間務めないと、出産と育児に関わる給付金がもらえない制度があったのだ。
転職するにしても…。
その期間だけはなんとか勤め上げて給付金が欲しい…。
しかし。
エスカレートする、嫌がらせ。
とうとう人事部長は、こんなことまで言い出した。
「お前を他の会社に派遣出す。派遣先は自分で探してこい。派遣先から受け取った金額からお前の給料を差し引いた分は、会社の利益として取得する。」
…。
それ。
普通にその会社に転職して、お給料もらった方が、いいですよね、私。
ものすごい愛社精神を持ち合わせてここに存在するわけではなく、ただ給付金が欲しいだけなんですが…。
その様子を見るに見兼ねた直属の上司が私に言った。
「俺の立場もあるから表だっては応援できないけど、あのやり方は酷すぎる。『派遣先を探しに行く』名目で外出許可を出すから、職安行ってこい。良い転職先を探して、さっさと転職した方が、さくらのためだぞ。」
ですよねー。笑
そこから週に何度か職安(ハローワーク、ですね)に通う。
給付金については職探しのついでに確認すると「同じ会社じゃなくても雇用保険に連続で入っていれば条件を満たす」とのこと。
ほどなく。
自宅から近い、希望の職種の求人を発見。
面接に行くと、皆さんとっても良い感じ。
簡単な試験を行ったら満点合格。
「是非来て下さい!」とお願いされる。
休日の多さも給料の額も、比べものにならないぐらい、良い。
即決したいところだが…。
これだけは確認しておかないと。
「…。というわけで、雇用保険を連続して入れていただきたいので、現職の退社日の翌日に入社ということにしていただけますか?」
快諾してもらい、無事転職。
給付金も無事入手。
で。
そこから二十年近く、いまの会社にお世話になり続けている。
ちなみに。
給与。
あの頃の1.5倍。
休日の多さも桁違い。
良き職場に出逢えて幸せ。
思えば。
人生の転機。
だったなぁ。
あの時の人事部長の嫌がらせには…。
やっぱり、感謝だ。
直属の上司も人事部長に言われて、私に転職させたくて、手を貸してくれたんだろうな。
それにも、やっぱり、感謝だ。
ダメなモノにしがみついてても仕方がない。
もっと良いモノを探して動いてこそ、手に入るモノがある!
って思える気力が、いまの幸せを掴んだんだろうな。
当時は。
なんでこんな目に遭わなくちゃならないんだろう。
そう思ったけれど。
途中から、なんだか面白くなっちゃって。笑
めちゃめちゃ張り切った自分がいたことを思い出す。
逆境に強いタイプなんだろうな、きっと。
あ、恋愛以外は、ね…。笑