私は嘘をつかない
「私は嘘をつかない」って言ってるヤツが嘘つき。とかいう、なぞなぞ?の答え、あったよね。笑
さておき。
私は嘘をつかない。
嘘などついても、何も良いことは起きない。
それを身に染みて知っているから。
なぜなら。
私は嘘ばかりついて生きてきたからだ。
母は幼い私にとっては恐ろしい人だった。
いつも不機嫌で。
いつも私に対して怒っていた。
いつもヒステリックに怒鳴り散らしていた。
振り返れば。
あの頃の母は多忙だったし貧乏だった。
そりゃあ心か荒むのは無理もない。
いつも不機嫌で怒鳴り散らすのも無理はない。
身近にターゲット(私)がいれば、なおさら。
と思えるのは今の私が十分な経験を積んだ大人だからだ。
当時は、とにもかくにも母が恐ろしかった。
少しのことでも、すぐに怒られた。
だから悪いことは隠した。
嘘ばかりついていた。
護身のために。
だけど…。
嘘はバレる。
バレたら、さらに恐ろしい目に遭う。
それがわかっていても、恐ろしくて、本当のことは言えなかった。
いつしか、嘘をつくのが当たり前になっていた。
嘘でもいい。
その場さえ穏やかにやり過ごせれば。
嘘にウソを重ねて、さらに嘘をつく。
そんなふうに私は成長した。
だが、若かりしある日、こんなことがあった。
「酒が強い」が、カッコいい年代だった。
だが私は酒に弱い。
いや、違うか。
酒の強さは、フツー。笑
それでも、強いフリをしたかった。
吐いて飲んで吐いて飲んで。
なんとかたくさん酒を飲んだ。
太るのも怖かった。
たくさん飲んで、たくさん食べて、全部吐いていた。
過食症気味だったと思う。
追い詰められるように、吐いていた。
そんなある日。
友人と酒を飲みに行った。
男女兼用のトイレだった。
いつものように便器に顔を突っ込んで吐いた。
口を濯いで、顔を洗って。
何事もなかったように席に戻った。
続いてトイレに行った友人が戻ってきて言った。
「さくら、いま、トイレで吐いてきた?」
トイレで吐いているという事実は知られたくなかった。
酒が強いフリをするために。
そして、太りたくないがために。
吐いているなんて知られたくなかった。
だから平気な顔で嘘をついた。
「吐いてないよ?なんで??」
すると友人が言った。
「便座があがってたから。そうか、さくら、本当はオトコだったんだな?」
…。
やべ…。
一気に酔いがさめた。
ニヤニヤ笑う友人。
穴があったら入りたい。
消えてなくなりたい。
まさにそんな気持ち。
その時、心に誓った。
こんなにも恥ずかしい思いを、これからも重ねて生きるのは絶対に嫌だ。
これから私は、嘘をつかないで生きていくんだ!!!
と。
え?
嘘をつかないようになったきっかけが、くだらなすぎる?
ま、私も、そう思うよ。笑
でも。
きっかけは、なんだったとしても。
恥ずかしい思いばかりして生きていくのは嫌だ。
そう思った。
だから、嘘をつくのは、やめた。
嘘をつかない。
とか言うと。
まじめちゃんか、理想を言ってるだけのただの嘘つきか。
と思われないこともない。
が。
言葉は「その時」本当なら、それでいい。
というのが私のルール。
過去と違っても。
未来と違っても。
「その時」本当なら、それでいいのだ。
そういうことにしている。
それから。
「嘘」と「方便」も使い分けている。
あと。
「黙っている」とか「隠し通す」とかも、嘘ではないカウント。
え?
ゆるい?
ずるい??
いーの、いーの。笑
純粋な子どもには戻れない五十路の「嘘をつかない」は。
「方便」も「内緒」も上手に使いこなしてこその「嘘をつかない」なのだから。
大切な人を傷つけない。
自分に嘘はつかない。
簡単そうに聞こえるかもしれないけど、これ、幸せを感じながら生きるためには大切なアイテムだって思ってる。