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頑張ってるひとに「頑張れ」って言えない

マラソン大会で走っている人に「頑張れ!」って声援は普通で当たり前のこと?

バッターボックスに立った打者に「頑張れ」って声をかけるのは普通で当たり前のこと?

テスト前に勉強している子どもに「頑張れ」は…。
親からしたら何気ない言葉だけど。
子どもによっては(親子関係によっては?)「うるせぇな」って思うことも…。あるかもね?笑

闘病中の友だちに「頑張れ」は…。
私は言えないけど、言われて嬉しい人もいるのかもしれない。


「頑張れ」って言葉を、前は普通に使っていた。

学校に行けなくなった息子に「頑張れ」って声をかけて家から追い出したり。
(そのあと家出されました…。)

マラソンで力一杯走っても周回遅れの娘に「頑張れ」って声をかけて伴走したり。
(これ以上、なにを頑張ればいいの?って泣かれました…。)

そんな経験から。

頑張れって言葉は。

時として。

声をかけられた相手を追い詰めることがある。

ということを理解した。

そんなことから私は、いつからか。
「頑張れ」って言えない人間になっていた。


孫2が高熱を出し。
検査入院することになった。

孫1も念のためにと検査入院。

それぞれ子どもに一人ずつ、保護者が付き添えるとのことで。

息子家族は、一家4人、総合病院で過ごすことになった。

息子の妻は病院から一歩も出ることが出来ず。

息子は病院から仕事に通う日々。

閑散とした我が家。

私と末娘だけの空間は安心で穏やかだ。

息子夫婦は忙しいだろうからと、こちらからの連絡は控えた。

この辺りでは一番大きい総合病院だ。
急に命が危うくなることもあるまい。

孫のことよりも。
息子夫婦の方が心配だった。

心身共に疲れ果てているだろう。
かつて我が子の入院に付き添った自らの経験を思い出した。

そんな折。
「まだ退院は先になりそう」と息子から連絡が来た。

「忙しいだろうから、状況の説明とかしなくて大丈夫。でも、なにか出来ることがあれば、なんでもするから声をかけて。」
と言葉を返す。

息子から返信。
「ありがとう」
と、ヒトコト。

なにか返そうとスマホを手に取る。
「いろいろ大変だろうけど」

そこまで打ち込んで手が止まる。

「頑張って」とは、打てない。

私に言われなくても、めちゃくちゃ頑張っているだろう。

我が子が高熱を出して突然の入院。
付き添い。
病院から職場への往復。

なんて言葉を送ったら良いのか…。

考えて、考えて。

「支え合って」

と入力した。

「いろいろ大変だろうけど支え合って」

送信。

「わかった。まだ頑張れる。」

そんな息子からの言葉を受け取った。

そうだ、そうだ。

他者からの「頑張れ」はプレッシャーかもしれないけれど。

自らの「頑張る」は。

決意の表明だ。

うんうん。
出来るところまで。
でも無理せずね。


一週間後。

「ただいま!」と。

息子家族が揃って帰宅した。

孫は来て良し帰って良しとはいうが。

まあ。
静かなのもいい。

でも。
賑やかなのもいい。

どっちでもいいんだ。

それぞれの心が健康で。
「頑張る」って自分で思えて。

家族が笑い合えているのなら。