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恋人の三大欲求を満たす、満たされたオンナ

二十数年にわたり家計を切り盛りし、家族のために節約ごはんを作り続けてきた私だが、現在は娘とのふたり暮らしのため、料理も最低限しか作らない。

しかし、大量に料理を作って生きてきた私には、少量のごはん作りだけではなんだか物足りない。
平日はともかく、週末は好きなだけ料理を作りたい。
でも、いくら作りたくても食べてくれる人がいなければ作れない。

そんなわけでこのところ、週末は恋人の家に昼食を差し入れしている。
そして近所に住んでいる息子家族にも声をかけ、作った料理を貰ってもらっている。

自分の作った料理を食べてくれる人がいるって嬉しくてありがたいことだ。
もちろん無料配布。笑

私は思いきり料理が作れる。
恋人の家も息子家族も喜んで貰ってくれる。

誰も損をしていない。
Win-Winとは、まさにこのこと。

私は、満たされている。


昨年末からはじめた、ごはんの差し入れ。
恋人は毎回とっても喜んでくれる。

「全部おいしいし、全部手が込んでいて、本当にすごいよ。しかも、たくさん食べても太らない。どんな魔法??お母さんもすごく喜んでる。今日の◯◯も、本当に美味しかった!」

ルーティンになっていても、毎回毎回、ありがとうとお礼を言ってくれるし、毎回毎回、◯◯が美味しかったと感想を言ってくれる。最高の恋人だ。

料理の作れない男は本当にかわいい。彼は米すら炊けないらしい。
私は料理を作るだけで尊敬してもらえるのだ。

変に料理が作れて「俺だってやれば出来る」とかドヤられるよりは「僕は本当になんにも出来ないんだよ」としゅんとする男のほうが100倍好き!!!

ちなみに彼の元奥さんは、ほとんど料理をしない人だったらしい。
おかげで私の株は爆上がり!
ありがとう、元妻。
心からの感謝を!!!笑

ああ。
自分がしたいことをしていて、こんなに喜んでもらえて、褒めてもらえるなんて、最高!

私は満たされている。


そんなある日、酔った恋人が真顔で言った。
「さくらのごはんを、他の誰かに作らないで欲しいんだよ。」

は?

「あ、家族や子どもたちは別としてね?」

うん?

「さくらは、僕にだけ、ごはんを作って欲しい。他の誰かに作らないで欲しい。あ、お仕事なら別だけど…。」

なんなん?
独占欲??

「我ながら心の狭い男だけど…。さくらの作るごはんは全部おいしいから、他の人が食べて、さくらのことを好きになっちゃうと困る。だから、僕だけに作って欲しいんだよ。」

うっ

わー。

心。

狭っ!笑

でも、一生懸命に訴える彼は、本気。

はー!

かわいい!

なんか嬉し過ぎて身体が震えちゃったよ。

「しんちゃんの気持ちが嬉しくて、じーんとしちゃった。そんなふうに思ってくれてありがとうね。うん、わかった。しんちゃんにだけ、ごはんを作るね。」

正直、彼の言ってることは尋常ではない。笑
しかし、こんな独占欲丸出しの中年オトコがかわいく見えるとは…。

毒されてるなぁ、私。

だが、それがいい。


人間の三大欲求。

食欲、性欲、睡眠欲。

離れられない相手になるには胃袋を掴むのだって大事だ。

離れられない相手になるにはふたりにとっての心地よいセックスを探求するのだって大事だ。

離れられない相手になるには相手の健康を気遣うことだって大事だ。
(ちなみに私は早寝早起きで彼の睡眠を邪魔することは、ほとんど無い。そして元カノは深夜まで電話を切ってくれなくてそれが彼には辛かったそうだ。早寝早起きの私は彼にとって心地よい相手らしい。ありがとう!元カノ!あなたのおかげで私の株は上がってるっぽいぜ!笑)

三大欲求を満たすオンナを手離すオトコは、そうそう居ないだろう。

ニヤリニヤリ。

ますます離れられない、ふたり。


さーて。
明日は何を差し入れしようかな。

食べてくれる人がいることの幸せ。

やっぱり私は満たされている。