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2023バス帰省<5日目:久慈→大船渡>
5日目は岩手県を縦断する。久慈駅は海から離れており、歩いて海まで行くのは難しそうだ。駅周辺を少し散策した。
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5年前に乗り換えただけの久慈の街。今回も泊まるだけになってしまったが、この先の行程の都合上仕方ない。
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乗車するのは大型の車両。白樺号という名前もつき、100km以上離れた盛岡まで一気に移動できる。
一見すると高速バスのようだが、全区間で一般道を走る上に細かく停車する。強いて言えば急行バスのような存在なので乗るか少し迷った。
久慈駅 0655→盛岡駅 0946 JRバス東北 白樺号 盛岡バスセンター行
通学の高校生らも利用しており、地元に根ざしているようだ。途中葛巻高原で休憩し、3時間弱かけて盛岡に到着。82の停留所を通ってきたので運賃表は壮観だった。おそらく今回の旅で最長の乗車だっただろう。
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卒業旅行以来の盛岡。バスで岩手の山を越えてきたのもあり、かなり都会に感じた。
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コインロッカーに荷物を入れ、盛岡を観光する。とはいえまずは郊外へ行く路線バスに乗車。
盛岡駅 1005→飯岡十文字 1037 岩手県交通 矢巾営業所行
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暑い。バス停から歩いて10分ほどで、目的地に到着。
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志波城跡。坂上田村麻呂が造営した城柵で、平安時代の建物や塀が復元されている。資料館で概要を学んでから、いざ遺跡へ。
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目立った観光地ではないが、古のロマンを感じられた。平安時代の文化圏までもう南下してきた。
盛岡市内に急いで戻らなくては観光の時間が足りない。30分ほど歩いたイオンモールから駅へのバスが出ているのでイオンへ。
バス停の場所がわからず店内に入って探したが、ギリギリ間に合った。イオンの中は涼しかった。
イオンモール盛岡南 1140→盛岡駅 1150 岩手県交通 盛岡駅行
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北上川を渡り中心街へ。初めて中心部へやってきた。
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昼食は盛岡じゃじゃめん。盛岡三大麺のうちこれだけ食べたことがなかった。食後のスープまで美味しかった。
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盛岡城へ。城跡にある櫻山神社に参拝。
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櫻山神社は南部家のかつての当主を祀っている。特徴的な烏帽子岩も見れた。
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城跡も散策。本丸跡にある南部利祥公銅像は戦時中の金属回収令で台座だけとなっている。
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時間がない。速足で駅へと戻り、荷物を回収してバスに乗った。
盛岡駅 1342→世田米駅前 1615 岩手県交通 急行 大船渡行
盛岡から大船渡までを結ぶ長距離バス。釜石道を経由する便もあるが、昼のバスは全区間下道を走る。このバスに乗るための調整に青森県をゆっくり観光していたのだ。
とはいえこれも"急行"とつく立派な長距離バス。このバスに乗らず内陸部を路線バス乗り継ぎで(一部途切れるものの)南下するのも手だが、久々に三陸に行きたくなったのもあり、こちらを選択した。
国道396号ののどかな風景の中を南下し、遠野を経て住田町へ。このバスで大船渡に直行しても良いが、ここ住田町からは陸前高田へ行くバスが出ており、寄り道していくことにした。
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住田町の中心街・世田米で下車。ここまででも盛岡から100km以上ある。長距離バスを2本乗り継いだだけでもう夕方だ。
世田米は木材の搬出拠点として栄えた町。気仙川が街中を流れている。
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町役場は地元の木材を用い、震災での被災もあり2014年に新築された新しい庁舎だった。
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著名な観光地はない静かな町。かつての町場の雰囲気を残す街並みや川沿いの蔵を眺め、ゆったりとした時間を過ごせた。
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今回のような旅でなければなかなか来ないであろう町で、バスの乗り継ぎという限られた時間を過ごせたのは、誇張すれば奇跡のようだ。鉄道や車での旅では行く場所を選べるが、路線バスだけの旅、しかも札幌から東京までの一本道となると、選択肢は数少ない。この先立ち寄る街も、バスの乗り継ぎという偶然のおかげで訪れることができる街なのである。
世田米駅前 1745→陸前高田駅 1818 岩手県交通 イオンSuC陸前高田行
夕暮れの世田米を後にし、気仙川に沿って陸前高田へ向かう。やはり自分以外にお客さんはいなかった。
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陸前高田も5年ぶり。当時はまだ工事中だった駅周辺だが、博物館や交流施設が整備されていた。陸前高田はまたいつか来てみたい。
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駅跡地のバスターミナルや市街地は嵩上げされているが、その裏手は嵩上げされず、震災遺構も残されている。向こうには奇跡の一本松も見えた。
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陸前高田からはBRTに乗車。特徴的な路線バスということで今回の旅にぜひ組み入れたかった路線の一つである。
陸前高田 1843→大船渡丸森 1915 JR大船渡線BRT 盛行
鉄道の運賃体系を引き継いでいるので、これまでのバスに比べて異様に安かった。廃線となった大船渡線の軌道に敷かれた専用道を走る区間もあったが、工事のためこの日は一般道へ迂回するところが多かった。
迂回区間の途中にある大船渡丸森で下車。近くの大船渡温泉に宿泊する。
夕食は三陸の海の幸をたっぷり味わえた。一人旅でこれは贅沢しすぎたかもしれない。しかもまだ前半戦。
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夕食と温泉の後、屋上に出て海を眺めた。
漁火が煌めく静かな海を見ていると時間を忘れてしまった。
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2023/08/25