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検索ちゃんネタ祭り2022で考える、安倍元首相銃撃事件を連想する笑いで人は笑えるか

[本記事は『検索ちゃんネタ祭り2022』を視聴後書いたものの未投稿になっていた記事に加筆修正を施したものです。]

2022年12月23日放送・テレビ朝日系列『爆笑問題の検索ちゃん 芸人ちゃんネタ祭り 2022』内でオードリー・若林正恭さんと爆笑問題・太田光さんの間でこのようなやり取りがありました。

小池栄子「因みに若林さん今年振り返ってどんな一年でした?」
若林「今年っていうか今日なんですけど。太田さんって楽屋挨拶行くといつもおもちゃのピストルで撃つっていうのがあるんですよ。で、去年…来年は仕返ししてやろうと思ってネット通販でサスマタを買ったんですよ。車にずっと積んでてやっと一年経ったからサスマタ持って歩いて"コンコン"って楽屋挨拶行ったら太田さん銃で…おもちゃのピストルで撃って来ないんですよ。『お前なんだどうしたんだ?』って言われて、『取り押さえようと思って…』って。そしたら太田さんが『俺ああいうのはよくないと思って止めたんだよ』。え!?今年気付くのそれ!?」
小池「ずっとやってたのに!」
太田「孫悟空のお連れみたいな(笑)」
若林「何かするかと思ったのか、サスマタ持って廊下歩いてたら爆笑さんのマネージャーがずっとぴったり横付いてくる。太田さんに何かするんじゃないかと思ったと思うんですけど(笑)」
太田「ハハハ(笑)」

爆笑問題の検索ちゃん 芸人ちゃんネタ祭り2022 2022年12月23日放送より

実はこのやり取り、同年07月に起こった安倍元首相銃撃事件を想起させる内容になっているのです。

それはどういうことなのか?本記事ではこのやり取りの背後にある出来事と『凄惨な殺人事件を想起させる表現で人は笑えるのか』ということについて考えてみようと思います。


太田光がモデルガンを持ち歩き始めたきっかけ

そもそもこのやり取りに至る経緯として『太田さんは約10年ほど前から私生活でモデルガンを持ち歩くようになり、共演者との交友の種として使用していた』ことと『何故太田さんはモデルガンを持ち歩くようになったのか』について知っておく必要があるように思うのでご本人の言葉を引用しながら説明させて頂こうと思います。

太田さんがモデルガンを持ち歩き始めたことに初めて触れたのは2014年07月29日放送の爆笑問題カーボーイでした。

田中「それで太田さんはその…何なんですかその拳銃は。」
太田「これね?これ…44マグナム。」
田中「あの、今日ですね?俺…ロケバスでNHKから…NHKまでは自分達の車で来たんですけど、ロケバスで日光…東照宮に行ったんですけど。ロケバスに太田さん入ってくるなり俺銃を突きつけられまして(笑)」
太田「ハハハ(笑)」
田中「完全に何かもうテロっていうか、バスジャックなのか分かんねぇけど。『何なの!?何なの!?』っていうさ。44マグナム、これ何、エアガンなの?モデルガン?」
太田「まぁモデルガンですね。」
田中「まぁ売ってるもんですね、普通にね。」
太田「ええ。これAmazonで買いました(笑)」
田中「何を買ってんだよ。もう何買ってんだよ!」
太田「これいいな!と思って(笑)」
田中「『いいな!』ってそりゃいいけどさ…。」
太田「これAmazonで買っちゃってね。」
田中「Amazonで何買ってんだよ…(笑)もうライターとかさ…。」
太田「ずっしり重いですから。」
田中「重たい。ほんと重たいよね。」
太田「これは俺昨日ズボンに入れて、まずはロケバス入ってって上田に突きつけて。」
田中「ハハハ(笑)」
太田「『止めろ!ピーちゃん!何やってんだ!』」
田中「恐いもん!」
太田「うん。ずっとズボンの中に入れて。」
田中「お前捕まるよ下手すりゃそれ。」
太田「だからもう…焼肉屋でもずっと入れて。人が食う度にこうやって。」
田中「駄目だよそれ!町中で…ほんとそれだって…駄目よ?駄目ですよこれ。だってさぁ、重たいし…。」
太田「へへへ(笑)」
田中「あぁ凄いねこれ…。いいね!でも。」
太田「いいだろ。」
田中「俺もやっぱほらモデルガン好きだったからさ、子供の頃はさ。ただ、ほら。俺らの時ってのはやっぱりあの…黒は禁止になっちゃったから。金色の奴とかね。」
太田「改造すると本物に近すぎるっていうね。」
田中「そう。だから俺は44マグナムの銃身の短い4インチっていうの持ってたんですよ。…これ格好いいよねやっぱりね。」
太田「格好いいですよ。」
田中「うん。…あーいいね!これだからあれだね…ダーティー・ハリー、ダーティー・ハリー。」
太田「うん。これをだから…地方行くときも…あの飛行機に。」
田中「絶対乗せてくれません!いくらモデルガンって分かっても!『それは駄目です』って言われちゃう。もう完全に駄目ですから。」
太田「うん。」
田中「危ない人どころじゃないから。太田さんもう新聞載っちゃうから。」
太田「大変です。」
田中「ええ、大変な事になっちゃいますから。もう社長…今までで一番怒るくらいの(笑)」
太田「ハハハ(笑)」
田中「『もういい加減にしろ』みたいなことになりますから。お家の中で楽しむぐらいだ。」
太田「そうだね。」
田中「これは町中にもって行っちゃ駄目ですよ。」
太田「あのね…僕は…この間直木賞の発表がありまして。」
田中「はいはいはい。」
太田「黒川博行さんっていう。要するにもう『疫病神』っていうね、大好きな。」
田中「そうですね、太田さんが凄い好きだった。」
太田「シリーズ、『国境』ってのがありまして。で、最新作の『破門』っていうやつでまぁ…直木賞受賞されましてね。これがやっぱりね…素晴らしいんですよ。」
田中「うーん。」
太田「『疫病神』シリーズっていうのが、桑原ってヤクザが出てきましてね。で、『破門』をずっと読んでて、欲しくなっちゃって。」
田中「あ!それでなの?」
太田「うん。こういうの欲しくなっちゃって。ちょっと…(笑)」
田中「もう意味分かんねぇよ…(笑)」
太田「護身用に、だから。」
田中「護身用じゃねぇよ!」
太田「銃社会ですから。」
田中「銃社会じゃねぇよお前それ!お前ほんと駄目だからね!それ町中に持って行ったら(笑)」
太田「ハハハ(笑)」
田中「捕まってもお前が悪いってことになるから(笑)」

爆笑問題カーボーイ 2014年07月29日放送より

この様に小説家・黒川博行さんが2014年に直木賞を受賞した『破門』をきっかけとして太田さんはモデルガンを持ち歩くようになります。そして楽屋挨拶や収録外で遭遇した共演者らに銃を向け驚かせるということを楽しむようになっていくのです。

そうしたことを続けている内に同業の後輩達は太田さんがモデルガンを向けてくること前提としてコントを用意してくるようになったり太田さんが特に喜ぶようなリアクションをとるようになるなど発展していきました。

後輩達とのやり取りの中で印象的なものはラジオで話すこともあり、太田さんはそうした交流を本当に楽しんでいる様子だったのです。

安倍元首相銃撃事件後モデルガンを置く

こうして『楽屋挨拶に訪れる後輩と太田さんの即興コント』というものが所謂"お約束"となっていた中、事件は起きました。

2022年07月08日に発生した安倍元首相銃撃事件です。日本国内で銃撃事件が発生することも珍しいことですが、更に被害者が著名な政治家であったこと。現行犯で拘束された山上徹也被告が語った犯行動機をきっかけに安倍元首相と旧統一教会の密接な関係が明らかになっていくなど一連の出来事は日本全国に衝撃を与えました。

そしてこの事件から約一ヶ月後、太田さんは爆笑問題カーボーイ内でモデルガンの持ち歩きを止めたことを明かします。

太田「俺最近銃をさ…捨てたんですよ。」
田中「あ!ねっ。銃を置いたんですよね。」
太田「銃を置いたんですよ。それは…安倍首相の事件があって、ああいうのっていうのはそういうことが絶対起きない世界っていう前提じゃないと、ギャグとして俺の中でしっくり来ない訳ですよ。」
田中「うんうん。」
太田「そういうことが起きちゃう国…国というか。だからそういう意味で言うとあれはもう洒落として出来ないなと思ったんで、拳銃は全部捨てたんですよ。」
田中「うん。」
太田「言ってみりゃ俺はアメリカ人に言ってやりたいんですよ。銃を一回持った人間でも捨てることは出来る。」
田中「いやいや(笑)まぁまぁ、そうだよね(笑)」
太田「っていうことも示したいっていうこともあって。」
田中「全然伝わってないと思うけど(笑)」
太田「それでまぁ銃を置いたんですよ。」

爆笑問題カーボーイ 2022年08月09日放送より

このやり取りでは冗談を交えながら話していらっしゃいますが、太田さんは銃撃事件直後の放送で安倍元首相の死などの出来事に人一倍動揺している様子を隠しませんでした。

憲法9条擁護の立場から本も出版している太田さんと日本国憲法に批判的な安倍元首相ではそもそも根本的な立場の違いもあり、それ以外の面でも度々主張が異なっていた太田さんは安倍元首相の話をする際によく「大っ嫌いですよ!」という少し大袈裟な前置きを付けて話し始めることが多かった訳ですが、事件後の太田さんの様子から安倍元首相に対しての思いというのは愛憎が交錯した複雑な感情であったことが想像出来ました。

暫くの自粛などではなく「拳銃は全部捨てたんですよ。」と全てを止めにしたこの言葉には銃撃事件の洒落にならなさだけでなく、被害者が安倍元首相であったということからその死に敬意を表し関連した笑いは全て辞めるという太田さんなりの幕引きを感じるのです。

というのも日本に於ける銃撃事件は確かに珍しいことですが主に暴力団関係で時折発生していた為、そもそもこの事件以前から「(銃撃事件が)絶対起きない国」ではなかったのが実情でした。太田さんがモデルガンを手にする約半年前には『王将社長射殺事件』が発生していますし、その後も年に一回程度の頻度で銃を使った事件は続いていました。つまり太田さんが無自覚なのか自覚しているのかは不明ですが、言葉にしたことだけが理由にはなり得ないと言えるのです。

そして恐らく様々な葛藤があった末に太田さんは"これは笑いにしてはいけない"という結論に達したのでしょう。

オードリー若林はどう笑わせようとしたのか?

こうした土台が出来上がったところでオードリー若林さんの「おもちゃのピストルで撃って来ないんですよ。」という冒頭に引用したやり取りが放送されました。

『検索ちゃんネタ祭り』は出演者それぞれが単独で番組を持つ様な豪華な布陣ではありますがあくまでもホストは爆笑問題であり、漫才の持ち時間で見ても彼等の番組という性質は強い訳です。

当然ながら視聴者も爆笑問題ファンが多いと考えられるので、そうしたファンはカーボーイを聴き太田さんがモデルガンを持ち歩くことを止めた理由を知っている方が多いでしょう。

そういった方にとっては「太田さんがモデルガンを持っていなかった。」ということを耳にすれば安倍元首相銃撃事件という笑い事には出来ない事件が瞬間的に頭に過ることは必至な訳で、爆笑問題の番組である以上そうした連想をする視聴者の数も無視出来る数値ではないように思います。

そこで気になったのは『若林さんは事件とその後の太田さんの決断を遡上に上げどうしようとしたのか?』ということと『それをカットしなかった番組スタッフはどういう意図であの映像を放送したのか?』ということです。

若林さんは予てより学生時代から爆笑問題に憧れていたことを明かしており、近年でも「サンジャポとか…ニュース的なことが起こると…正論ていうかさ、強いじゃん正論てやっぱり…じゃないさ…感情の方の寄り添う意見を言ってさ、マウント取られたりしてるよね。そこがなんか凄い『好きだなぁやっぱり』と思うんだよねぇ。」(オードリーのオールナイトニッポン 2019年06月02日放送より)と太田さんの振る舞いに惹かれていることを話されています。

そんな若林さんですからこの太田さんとのやり取りでも、多くの人が避ける話題でも切り口を変えて笑いにしようとしたのか?演者側の自主規制でNG領域を増やすのは波及効果を考えた際よくないという意識が働いたのか?など幾つか想像できる思惑が浮かんで来ました。

オードリー若林の真意

しかし結論から言えば若林さん側には特に深い考えは無かった様子です。

『検索ちゃんネタ祭り2022』放送時は未視聴だったのですが、後に2022年12月17日放送のオードリーのオールナイトニッポンを確認してみると若林さんご自身が収録時の楽屋訪問の様子を以下のように話していました。

若林「俺には検索ちゃんの収録の前に、俺には一個、大きな仕事があって。それは何かっていうと…太田さんってね、楽屋挨拶行くとね。おもちゃのピストルで撃つ振りをして、みんなが『なんすか!?』って言うみたいのをもう10年。検索ちゃんで…もうやってるじゃない。」
春日「あーまぁそうだねぇ。」
若林「去年の検索ちゃんの時に『あばれる君は本当にあばれるのか?』って企画をやろうとしてサスマタをこの番組で買ったじゃない。」
春日「あーはいはいはい。」
若林「うん。で、俺は、何かこうみんな太田さんのおもちゃのピストルに対して盾を持ってくる人とか色んなモノボケみたいになってっていうのを聞いて。俺はニッポン放送からサスマタを持って去年太田さんを取り押さえようと思ってたの。」
春日「はいはいはい。」
若林「で、それをすっかり忘れてて。太田さんに去年…去年ね?挨拶楽屋行った時に案の定太田さんがピストルを、おもちゃのピストルを出してきたからそん時思い出した『あー!』」
春日「なるへそ。」
若林「『あー!』って言ったら『どうしたの?』って言われて、『いや俺サスマタを持ってきて太田さん取り押さえようとして、サスマタ忘れました』。」
春日「ハハハ(笑)」
若林「太田さんが爆笑してて、『来年な』っていう。」
春日「ほう!」
若林「約束。が、あったのよ。」
春日「うん。」
若林「それを覚えてたから。で、俺はサスマタをニッポン放送にずっと置いてあんじゃんあばれる君を取り押さえる為の。で、結局何かで流れたんだよね。それが。」
春日「うん。」
若林「サスマタをネットで探して『じゃあこれ買おう』っていうのも俺そこに居合わせて選んでんの。」
春日「はいはいはい。」
若林「最初に言っておくけど、その話になったの検索ちゃんのスタジオでも。で俺ねこれリスナーに最初に弁明しておきたいんだけど、俺がネット通販で買ったってトークしてんだけど。
春日「うん。」
若林「これね…勘弁してください。っていうのは、『あばれる君は本当に暴れるかっていうのをラジオで検証するためにサスマタをニッポン放送で買ったのを持ってきたんですよ。』の尺じゃ邪魔じゃん。検索ちゃんにとって。もう『俺が買った!』でいいじゃん。」
春日「うん。」
若林「でも選んだのは俺だから。」
春日「はいはいはい。」
若林「そこはいいよね!?」
春日「そうだね、100パー作ってないからね。」
若林「作ってないから。そういう時絶対いらないじゃん『あばれる君は本当に暴れるのか?』の尺が。」
春日「いらないいらいない。話しても『どういうこと?』ってなるし。『その企画なに?』。」
若林「肝心なとこ逆にウケなくなるし。だから"俺が買った"でいいなタイトルパン!で。それにしてます。」
春日「はいはい。」
若林「だからそこを何か…野暮なことしないで。」
春日「ハハハ(笑)」
若林「でね、それが…その仕事が残ってたから。背中の痛みに…まぁちょっと残ってる中。サスマタを車に積んで持ってテレビ朝日に入って。」
春日「うん。」
若林「サスマタ持って歩いてるから他の芸人にすれ違う時に『え!?今日コントやんの!?』って。」
春日「ハハハ(笑)」
若林「ハハハ(笑)」
春日「まぁそうなるよねぇ(笑)」
若林「『違うのよ太田さん取り押さえるのよ』って言うのも邪魔じゃん。廊下ですれ違うの。」
春日「それどゆことってなるしね。」
若林「だから『いや、これちょっと別件で使うんだ。』つって。もうその時間入り時間だから。『え!?オードリーさんコントっすか?』『いやこれはねぇ…普通の漫才。』つって。楽屋に置いといてメイクして着替えて太田さんに挨拶行こうと思ってサスマタ持ってまた廊下歩いてて。たぶんあれタイタンのマネージャー陣だと思うんだけど、俺が太田さんの楽屋にサスマタ一本持ってスーツで歩いてくからさ。」
春日「うんうん。」
若林「ちょっとした東京リベンジャーズみたいな画になってたと思うのよ。」
春日「へへへ(笑)なにごとだと(笑)」
若林「うんうんうん(笑)」
春日「そりゃなるよ。なるね」
若林「1メートル後ろぐらいをそれまで談笑してたタイタンのマネージャーがぴったり2人付いて来て。」
春日「ハハハ(笑)優秀なマネージャーさんだね(笑)」
若林「うん。ぴったり後ろ1メートル付いてくるのは気配で分かんのよ。で、『僕は別に暴れたりしないんで挨拶いいですか?』つって。そしたら『太田さん、若林さんご挨拶です。』つったら、入ってくじゃん背中の痛みに耐え去年の約束を守るべく。」
春日「果たす。」
若林「太田さんを取り押さえるぞ!と思って構えてわー!って『おはようございます!』って入ってったの。」
春日「うんうん。」
若林「太田さんが寝転んで『おうどうした?』。」
春日「うん?」
若林「『あれ?太田さん』って。いやちが…『忘れてると思いますけど、太田さんおもちゃのピストルで毎年撃ってくるじゃないですか。それを取り押さえるって去年…約束してやっと一年経ってお会い出来て。取り押さえようと思って。』って言ったのよ。」
春日「うん。」
若林「したら太田さんが爆笑して『それで…若林ごめんな。』って。」
春日「ほう。」
若林「『俺、あれ大人気ないなって思ってもう止めたんだよ。』つって(笑)」
春日「えぇ!10年やってたのに?」
若林「そう(笑)」
春日「で、去年の約束もあるのに?」
若林「『このタイミングで気付いたんすか!?』つって(笑)」

オードリーのオールナイトニッポン 2022年12月17日放送より

つまり、若林さんは爆笑問題カーボーイの当該放送を聴いておらず太田さんがモデルガンの持ち歩きを止めたこともその理由も知らなかった。

また、若林さんが太田さんと交わした会話を何処まで正確に話していらっしゃるか不明ですが、楽屋訪問時に太田さんが「あの事件があったから銃は止めたんだ。」と説明しなかったとしたらそれも収録時若林さんがモデルガンに触れることに躊躇が無かった理由のように思います。

若林さんは「え!?今年気付くのそれ!?」と仰っていますが、太田さんがそうした考えに辿り着いたのは正しく今年(※放送年である2022年)起きた出来事が重要だった訳で、そうでなければ太田さんはモデルガンを使った戯れを続けていたことでしょう。

最後に

『検索ちゃんネタ祭り2022』に於ける太田さん若林さんの会話というのはこの様な背後の事情を詳しく知らなければなんてことはないやり取りなのですが、知っている人からすれば「えっ!?そこに触れるの?」「それは笑いになるの?」と緊張するやり取りでもあるのです。

ここまで考えてやはり一つ不思議に思うのは編集の段階でこのやり取りを落とさなかった理由は何かあったんだろうか?ということ。

事件現場で行われた暴力だけでなく旧統一教会に関連した法外な献金や霊感商法など数十年に渡る膨大な不幸が明るみになった複雑な事件でもあったので、私は今でも扱いは慎重に行われるべきだった様に思っています。

若林さんが太田さんの決断を知らなかったことは仕方ないとして、編集を行うディレクターもそれを承認するプロデューサーも爆笑問題の番組スタッフであれば太田さんのそうした情報を全く知らないということも無いでしょうし、「何でも自主規制はよくない」というのは近年バラエティ番組制作に携わる方々の主張傾向として一つありますが、この事件の扱いに限っては慎重を期す方が良かったのではないかと思うのです。

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