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やったー!また一次創作BLを書いたので同人誌にしたよー

※かなり長いです※ 


〜ここはしずかなインターネットにも書いた入稿までの部分です〜

はい

 書こうと思ったきっかけ
https://yorabaoootoko.hateblo.jp
 まずはこちらの素敵なイベントをご覧ください!「大男に絡んだ創作」オンリーwebイベント『よらば大男』さんです!
 どういうわけか今まで書いた創作BLには必ず身長2m以上男性がメインキャラとして登場し、今後もメインキャラの片方は絶対身長2m以上にしたい私としてはかなり参加したいイベントです。
 しかし……このイベントは全年齢、私が今まで書いた創作BLは年齢制限つきでした。
 というわけで完全に全年齢の大男BLを書きました!11万字になりました!
 気に入ったし、他にも参加したいイベントが出来たので紙の本にもしようと思いました!
 やるぞー!

 本にする上で希望したのは

・できるだけきっちりしっかり作りこみたい
・もくじと、キャラ名や世界観に絡む用語を紹介するページが欲しい
・本篇は前後篇なので、二枚中扉を入れたい
・表紙単体で見た時にジャンルどころか時代もよく分からない表紙にしたい
・装丁のテーマは……あたたかく鮮やかな炎🔥!

 まず本文組版を人に頼むことにしました。スズさまです。事務ページを分かりやすくかつ時代的に作ってくださいましたし、11万字を黙々とipadのメモで書いたため字下げや!?後の空白、括弧づかいなどがテキトーであった面も助けてくださいました。
 全年齢の創作物であるということは「おくづけさえちゃんとしていれば本体へ何かを表記しなくても良いってことだよな?」と表紙にタイトルなし(ブックケースに入れてブックケースへタイトル表記)鮮やかな黄色の紙に赤一色を重ねることでシンプルな構成のまま綺麗なオレンジのグラデーションを作り、さらに小口に……色付けしたい!
 色付けしたい!でも本にPPをかけたくない!という願望がありました。

 本体印刷の要点を箇条でまとめましょう
・厚くしたいので一段組で小さい判型、ならば私は新書を選ぶ!(こういう調べ物をするくらい新書が好きです)
・新書のサイズは105mm*175mmにしたい(ブックケースや既刊との兼ね合い)
・表紙にPPはかけたくない
・表紙をざらっとした素朴な色付き紙にしたい
・とにかく黄色とオレンジだけで構成したいから、小口も色を付けたい
・お値段には……限度がある!

 幾らかを諦めて装丁を組みました。
・表紙はNTラシャ黄色にオンデマンドのマゼンタ一色刷り、PPなし
・本文は全て色上質の『やまぶき』にする
・そこに透明ブックケース別注でタイトルを重ねる

 このとってもシンプルな案が初案であり、こちらを組版デザインを依頼したスズさまへ伝えました。
 しばらくが経ちました。私は「このページ数の小説でオール色上質でも良いのか(自分が納得できるかの意味で)」「しかしPPはいやだし小口は色付けしたい」と微妙に心配をしたままでした。とはいえ話は進み原稿は書き上がり……。
 そんな折り、字を読み書きするのが好きな人のためのSNS「Novelskey」で教えてもらった情報がありました。
 小口染めに定評のある同人印刷所、くりえい社さんが「他社印刷物を小口染めだけ自社加工してくれる」という話です。
https://www.kurieisha.co.jp/

 一気に流れ変わったな!
 まずくりえい社さんに現在作ろうとしている本のサイズページ数添えで「PPなし少部数の小口染め」の相談をしました。
 くりえい社さんからの回答は親切でしたが、ここで重要になるのは

・小口染めの際に使う器具とオンデマンド表紙印刷の相性が悪いため、オンデマンドならPPありのみ受け付け、オフセットならPPなしも受ける
・必要余部が30部

 との部分でした。また、こういう加工の際は製本をする側の印刷所から許可を得て印刷所間で直送をするべきですが、元々予定していた印刷所さんはそういうことをしてくれなさそうです。たぶんそうですね?おた名前は言いクラませんが……。
 さて、私には「色つき紙にオフセット一色刷り表紙・本文は綺麗なオンデマンド可能」で「小部数でも柔軟な対応」の心当たりがありました。
https://www.print-walk.co.jp/
 プリントウォークさん!
「いいよー」
 プリントウォークさんは自社からもくりえい社さんと連絡した上で

・本文はオンデマンドとなると、本文用紙に発生する微妙な波打ちによって小口からページを染料が汚すかもしれない

 とアドバイスをくれました。了承の上で二社さんに頼むことと決めました。くりえい社さんの該当ポストから僅か四日で全て変わった……。
※なぜそこまでしてくりえい社さんで刷らないの?という筋は、くりえい社さんの新書規定サイズが105mm*175mmではないので組版からブックケースまで修正が必要になってしまうこと、くりえい社さんのオフセットで260pを刷ると最小部数で10まんえんを超えることで理解してください。※
 そしてここまで変わったことを組版デザイナーのスズさまに報告しました。へへ……本文が真っ黄色だって言いましたけど真っ黄色じゃなくても良くなりました……へへ……そしてスンマセン本当謝りたいのですが納期を前倒し出来ますか……。
 直前までプリントウォークさんのサイトを見ていた私はそこでもう一つ提案を付け加えました。
「もしデザイン上許せそうでしたら、巻頭8ページ(本扉〜もくじ・紹介〜前篇中扉)を色上質の黄色系にしませんか、ウォークさんは8ページ単位での紙替えが気軽に出来るので」
 ご返答をいただきました。

・バランス的に、本の真ん中付近に入る後篇扉も黄色の紙替えしませんか
・6ページぶん中間に入れられる短篇や紹介ページがあれば出来ますよ

 痺れたのでその晩のうちに6ページ分幕間短篇を書きました。
 というわけで装丁が

・表紙はNTラシャ黄色にオフセット一色刷りPPなし
・本文は基本がクリームバルキー、二箇所計16ページを色上質濃クリーム紙替え
・何故だか思いつきで見返しもしたい タントのオレンジがいい!
・それに小口染め
・上記にはタイトルなし、ブックケースにタイトル表記

 となりました!表紙込みページ数は268pです。へへ……良い装丁だぜ……。
 さて、この装丁のためには8ページ単位でのページ数調整がどうしても必要です。
 具体的には
1〜8p を紙替えすると
9〜「8の倍数になる」ページ が前篇に使えるページとなり
「8の倍数+1」したページ からまた紙替え8ページ
その後で後篇が始まります。
 字で説明しても全然伝わらないだろ……つまりそれだけ面倒なんだぜ……。
 この面倒なページ割りを組版のスズさまが一手に担ってくださいました!本当に頼んで良かった組版デザイン……。
 さらにスズさまが扉用に作ってくれた素材をブックケースの一部にも使用させていただきました。その上で友達のうざむさん(X@BMb_kngw)に依頼して素敵なイラストをブックケースに載せさせていただきました。本当に感謝……。
 プリントウォークさんへは前の候補であった印刷所で刷っていた、オンデマンドの試し刷りを持ち込み「この色を特色インキ一色刷りで出したいのですけど」と相談させていただきました。とても親身に答えてくださり、結果私の「黄色にオレンジ出したいから金赤じゃない?」という見当は完全に外れていることが分かりました。赤紫(ぼたん)色を薄めて使うとは……。

 オフセット『金赤』を黄色の紙へ実際に刷って見せてくれました オレンジはオレンジだけど、色が負けちゃって薄くなるらしいです

 タントに関しては、欲しい色がプリントウォークさんになかったため、同人生活で初めて紙の取り寄せをしました。印刷なしのペラ紙なら結構手軽だと知りました。こちらに関しても細かな対応ありがとうございました。

 さて、ここまで話しましたが、まだ入稿して納品を待っている段階。実はどのくらい本が到着するのか分かっていません!必要な部数は小部数、くりえい社さんが普段扱っていない『オフセットとオンデマンドの混合にPPなし小口染め』のためくりえい社さんにとっても送り出せる部数は明言出来ないところです。

 なので今超そわそわしています。楽しみ!

〜ここからがnoteで追加した納品以降の話です〜

 届きました!
 まずはプリントウォークさんが製本して送ってくれた見本の一冊です。

はい

 本当に黄色に赤紫でオレンジが出てるー!

見返しはタントN-56です

 良い感じに製本されています。クリームバルキーという紙について知識がなく、会社へお邪魔させていただいた際に他の方の刷った冊子見本をさらっと触らせていただいたのみだったので、このページ数判型での想像がついていませんでしたがイケてました。柔らかくて捲りやすくて古風な雰囲気が出ている。
 ただその柔らかい本文用紙の中に挟み込みをするには、色上質濃クリーム(厚口)が硬く厚く感じられました。これに関しては紙厚を確かめず印刷所さんデフォルトを使用した私が悪い……。
 書籍としての手応えが感じられるサイズ感へスズさまによる書面作り込みが効いていて「本を作った」という実感が感じられました。

 次に届いたのはこれです。

はい

 前提の話になかったしおりです。
 『スピン製本』つまりしおり紐つきに興味があったのですが、印刷所を跨いで小口染めをしてもらう上でそういった加工をしても良いのか良くないのか尋ねそびれ、また価格的にも予算がギリだったため諦めていました。
「じゃあ……長い紐のついたしおりを作ったら垂らせるんじゃない?」
 というわけでその案が叶えられそうな中で一番ゴージャス見た目なわりにお手軽な、おたクラブさんのタッセル付きしおり(全面箔)にしました。友達と折半入稿(一発注につき二絵柄頼めます)したのでさらにリーズナブルです。
 しかし最終的にしおりは分厚すぎてノドまで挟めないため、垂らした状態で封入は不可能でした。そういうこともある。

 そしてくりえい社さんからでっかい段ボール箱も届いたぞ!

はい

 29冊入ってる……!え、29冊なのにこんなデカい箱!?
 ようやく本の嵩についての意識が芽生えました。でけえ。
 部数の話ですが、正直言ってそんなにいっぱい頒布できる身分ではないし予算の都合もあり、40部刷ってくりえい社さんには「可能なら20部欲しい」と言っていたのですね。※くりえい社さんの推奨余部は30部です※
 なので予想外に多いというか……え、見本ですでに一冊貰っているから30冊手元にある訳で……くりえい社さん、10部程度しかロス出さないでPPなし見返しあり本文オンデマンドの本の小口を?はえー
 どのページも、見返しを見てもすごく綺麗です。(前もって注意されたことを思い出してください)染めをしてこれだけ綺麗なものしか納品されていないということは厳しい基準で検品してくださり、それでも10部しかロスを出さなかったということです。はえー。
 梱包も気を使ってくださり、本一冊ずつの間に紙が挟まっています。めちゃくちゃ嬉しい。小口染めした厚い本でPPなしってめちゃくちゃかわいい。PPがなくて風合いのある紙を使っているから時代感がある。すごい。

 そしてこれまた予定になかったカバーを作りました。

はい

 黄色とオレンジを透かせて、さらにオレンジ系のグラデを重ねる意匠はブックカバーの時点で意識していたのですが、実際に本体がめちゃくちゃかわいく出来ていたのでさらに遊びたくなりました。
 でもトレペカバーは違うんだなあ……本当はパラフィン紙カバーしたいけど、新書サイズに切って加工して買うの高いなあ……。そしてカバー紙にもグラデ入れたい!それでいて時代感を出したい!
 検索していてこの紙を知りました。今年8月に発売されたばかりの新しい紙です。
 https://www.takeo.co.jp/finder/search/details.php?d_id=808
 SUKEKAKEラップCoC……きみは扱いやすい紙かな?純粋に気になるな……。
 竹尾さんで新書カバーサイズにカットしてもらって一枚50円程度でした。美術館巡りのついでに本店へ取りに行ったから送料ノーカウントです。
 そして紙に手作業で蝋引きをしました。色付きの蝋を混ぜてグラデを作って……本にくっつかないように念入りに処理して……。
 結果めちゃくちゃ可愛いです!蝋を吸った状態で厚手のトレペと同程度の透け感ですが、薄さとコシが両立して紙として扱いやすいです。手汗くらいなら耐えますし、触り心地滑らかになりました。
 本文中で『灯した炎を守るために雨を油紙で避ける』という描写があるので、炎の表紙を蝋引きの紙で包むのは解釈的にもとてもアリでした。そして全て手作業で染め付けたため色彩はランダムです。プリントじゃ出せないグラデ感で全部かわいい!
 費用としてはまずワークショップへ参加して蝋引きのしかたを学び(1200円)13枚を作成、作ったものを見て「いやこれ全部の本にかけたい!」と残りぶんのため2200円分ほど蜜蝋をポチりました。つまり手間暇をガン無視すれば一枚あたり150円です。蝋引きたのしい!

 そしてこれをブックケースに封入しました。

ヤッター!

 ブックケースね……最初にプリントウォークさんから背幅16mmと言われていて、プリントオンさんのブックケースは表記の背幅に対して少し余裕があると聞いたのでそのまま注文したのですが、案外パツパツになりました。
 イラストの載っていない面にある白い四角は和紙で出来たラベルシールです。マツダプリントさんで刷ってもらいました。

「ラベルが焼けていると楽しいなあ」と思ったので、端っこを焼いてキムワイプでよく拭いて貼りました。そういうこともある。

透明ブックケースで色を重ねる表現がうまく出来たと思います
今になって気付いたのですが、紙替え部分と小口染めの色が完全に一致で嬉しい

 ケースがついたことで華やかになり、移動の際の不安も減って良い本になったと思います!
 かなり装丁で遊び、それだけのことはある本になったと思いました。楽しいね!

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