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MyCujoo(マイクジュー)で見やすくカクカクしない配信をしたノウハウを公開します
(↑機器や人員の配置と役目のイメージ)
はじめに
※本記事は全文公開の「投げ銭」スタイルとします。末尾に購入ボタンを設置するので、この内容が役に立った場合は購入をお願いします。フットサル関連の支払いに使わせていただき、発展に貢献したいと思います。
先日、フットサルの試合をMyCujoo(マイクジュー)で配信するお手伝いをしました。視聴されたかたから「見やすい」「カクカクしない」という評価も頂き、いちスタッフとしてひと安心です。
初めての配信で分からなかったりトラブったりしたことも多かったため、ひとつの成功例として情報を共有します。自分たちと同じように、突然MyCujooでの配信を依頼されて戸惑う人が減ると良いなと思います。
ざっくり説明すると
●会場の得点&タイマーをワイプで映しつつ、全体を映すと良い。
(=MyCujooの得点&タイマー表示を使わない)
●ハードウェアでエンコーディングできるノートパソコンは欲しい。
(=配信するPCのスペックはダイジ)
●モバイル回線である以上ベストを尽くしても、カクツキは運次第。
(=できればエリア的にその場に強いキャリアを選ぼう)
イメージはトップの画像に載せておくので、勘の良い人には分かると思います。
なお今回は指定があったのでMyCujooで配信しました。サッカー用の配信に特化しているためリーグやチームでまとまっていたり試合結果が見やすかったりする利点はありますが、配信が容易で高画質にもできるYouTubeのほうが良いような気はします。操作ノウハウも色々転がっていますし。
以下詳細をバラバラと書いておきます。
対象や環境
フットサルの試合で、大きな体育館にて行われました。
撮影やMyCujooの配信は二階観覧席の後ろ側の通路付近で行いました。
配信内容
試合とハーフタイムショーです。
審判団や選手の入場が始まる前から配信を開始(=「GO Live」)し、試合が終わって選手の挨拶が終わってから配信を止めます(「STOP Live」)。
設備と配線(主なもの)
■ごく普通なHD画質のハンディカメラ3台(A~C)
すべて高めの三脚に設置してHDMIパススルーにて撮影していました。
あるとは思いますがズームは必須です。
ちなみに後述の通りMyCujooは1280x720なので4Kカメラとか使っても全く意味がありません。
■3段くらいの脚立1脚
カメラB用。
■スイッチャー本体
Blackmagic Designの「ATEM Mini」 。Proじゃないほうを使いました。
■スイッチャー操作用Windows PC
LANケーブルで接続します。PCにLANコネクタがなければUSB-LANの変換アダプタが必要です。
■OBS Studio(&MyCujoo設定用)Windows PC
OBS Studioでハードウェアエンコーダーを使えるスペックが良さそう
■MyCujoo操作用Chromebook
必須ではありませんが、上記と別のパソコンがあると操作しやすいので手持ちのASUS C423NAを使いました。セールも多いので適当な機種を。
■モバイルWi-Fi
チームがどこかで借りた30GB×3台がありました。
■電源
体育館のものを借りつつ、コードリールや電源タップで届かない離れたカメラにはモバイルバッテリーを使用。
■配線
長いHDMIケーブル、スイッチャーとPCを繋ぐUSBケーブル、スイッチャーとPCを繋ぐLANケーブル、その他充電など必要に応じて色々。
接続は上の図を参考にしてください。
人員配置
・カメラB張り付き1名
・カメラC張り付き1名
・スイッチャー操作1名
・MyCujoo操作1名
ソフトウェア
■OBS Studio
MyCujooへの配信(RTMP)に必要です。
モバイルWi-Fiの通信量を減らしカクつきを抑えるため、スイッチャーからの入力をHD(1920×1080)などから1280x720に落とすダイジな役割でもあります。
■ATEM Software Control(スイッチャー操作)
サポートセンターの「モデルを探す」で「ATEM mini」を選ぶと下のリストにダウンロードできるもののリストが出てきますが他のソフトウェアもたくさん出てきて探しづらいです...。
■Webブラウザ(Google Chromeで統一)
準備や事前設定
■OBS Studio
・Wi-Fiを繋いでから自動構成ウィザードで「1920x1080」&「30FPS」を選択して決めてもらう。
・入力はカメラに合わせてHDサイズですが、MyCujooは1280x720のためOBS Studioで落とします。特に落とさずにアップロードすると無駄な通信となりカクカクの原因になる恐れがあります。
試合ごとの操作(MyCujoo Studio)
■準備
・MyCujoo Studioでリーグ、チーム、マッチ(対戦)、選手の登録
・MyCujoo Studioのマッチの「Streaming Info」から「RTMP URL」と「Stream Key」をOBS Studioの「設定>配信>カスタム」の「サーバー」と「ストリームキー」に設定する
※サーバーは固定値で、ストリームキーがマッチごとに異なります。
■試合開始10分くらいから終了までの間
・OBS Studio上で「配信開始」します。
→MyCujoo Studio上で動画が表示されるようになります。このときは配信されていないので、疎通確認でいつでも実施可能です。
以下MyCujoo Studio上で
・GO LIVEにする ※MyCujoo公式ヘルプでも10分前が推奨
・(選手団、審判団入場、挨拶など)
:
・笛に合わせて前半のKICKOFFを押す
:
・ゴール(オウンゴール):正式な記録と合致するよう、無線で連絡を受けてから「誰のゴールか」で設定します。
・コーナーキック:多いので別に要らない気がします
・チャンス:多いので別に要らない気がします
:
・笛に合わせてHALFTIMEを押す
:
・笛に合わせて後半のKICKOFF:ここで入力する時間がキモです。
タイムキーパーの時間(プレーイングタイム)ではなく、普通に前半が終わった実時間(ランニングタイム)で後半を始めないとゴールなどハイライトの時間が動画と大きくズレてしまいます。
:(前半と同様、ゴールなど)
・笛に合わせてFULLTIMEを押す
:
(選手団、礼&退場)
・STOP LIVEを押す
最後にOBS Studio上で「配信停止」します。これでひとセット終わりです。
配信中の確認
スイッチャーのHDMI出力で映像を確認するのではなく
1:パソコン上のOBS Studio
→そもそも出力時点でカクカクしてないか
2:パソコン上のMyCujoo操作画面(Live内クオリティは240P)
→アップロードされたものがカクカクか
(240Pに落としたのはダウンロードでのカクツキを抑えるため)
3:別回線のスマホでMyCujooアプリの画面(240P。時々高画質に)
→スマホで見ても違和感ないか。他の人はこれを見て何かを言ってくる
の3つで確認するほうが正確です。
特に2は1よりタイムラグがあるので、ゴールなどのタイミングはこちらに合わせる方が合っています(たぶん)
なお1と2が1台のPC画面だとタイムラグで混乱してしまいます。
1はスイッチャー操作する人が見る用、2はMyCujooを操作する人が見る用として別画面にすると快適でした。
適宜していたこと
試合の前半や後半のたびに、モバイルルーターの通信使用量をチェックして記録。※このときはSoftbankの30GBを2試合で使い果たしました。
細かい話
ビデオカメラのHDMIパススルー設定で、ビデオカメラのOSD(モードとかバッテリー表示とか)を切る必要があります。
得点板が横長でしたが、スイッチャーのワイプ画面をその形に合わせるのはできませんでした(縦横比が固定だったため)
カメラBとCが割と近く同じ側から撮影していたのは良かったです。全体を移しながら急に寄りに切り替えたとき自然でした。スイッチャーを操作する人は忙しいですが、映像としてのクオリティは上がりました。
チャンスやコーナーキックの記録も欲しいという声が出てきますが、公式記録と合わせるのでなければ、適当にするしかありません。フットサルでは連発となりやすいので後から見る役には立ちづらいです。KICKOFFとHULFTIMEとFULLTIME、あとはゴールがあれば十分です。
MyCujoo Studioの操作は基本的にChromebookで行いました。裏でWindows Updateなどが実行されないので安心でした。OBS Studioやスイッチャー操作のパソコンはWindowsである必要がありますが、Windows Updateの「更新を一時停止」しておいたり、Wi-Fiを従量課金設定しておくと良いかもしれません。
Wi-FiはWiMAXとSoftbankの30GBモバイルルーターを借りました。個人のRakutenモバイルのUNLIMITも使いました。時間帯あるいは観客の入りに影響されたのか、さっきまで安定して配信できたのに次の試合では急にカクカクし出して違う回線を使う、といったことが時々起きました。
周囲の人の勘違い
初めての配信で準備をしていたときに、いくつか期待と異なって混乱がありました。
■1.YouTube StudioのようにMyCujoo Studioもブラウザ上でWebカメラやHDMI入力を認識させて配信できると思っていました。
→実際はOBS Studioを使い、RTMPでサーバーに送る必要がありました。
■2.MyCujoo Broadcastアプリ(配信アプリ)のWindows版やMac版があると思っていました。
OBS Studioを使う発想がなかったけど、パソコンで配信の実績があるという伝聞から、そう推察する人がいました。またググるとパソコン上のAndroidエミュレーター向け野良apkとして「Windows版MyCujooアプリ」というダウンロードサイトが見つかったりして余計に混乱しました。
→実際はiOS向けとAndroid向けの配信アプリしかありませんでした。
■3.iPadにHDMI入力できると思われていました。
「iPadでならMyCujoo配信したことがある」「iPadにHDMIが繋がる」ということで、iPadにスイッチャーからのHDMI入力を繋げればアプリで配信できるじゃん、という話に一瞬なりました。
→実際はiPadにType-C-HDMIアダプタをかませても入力にはなりませんでした。
MyCujooヘルプより
案外ヘルプがちゃんとしていました。
MyCujoo.tv Help Center
https://help.mycujoo.tv/en/
英文のみですが、ここで検索しましょう。
Technical Specifications
https://help.mycujoo.tv/en/articles/2207456-technical-specifications
まずはスペック。最大で1280x720、30FPSということが分かります。
Confirmed devices and software
https://help.mycujoo.tv/en/articles/2780961-confirmed-devices-and-software
確認済みの機器とソフトウェア。
Equipment to produce an event
https://help.mycujoo.tv/en/articles/805653-equipment-to-produce-an-event
撮影・配信の機材について。ノートパソコンはCore i5以上とか。
https://help.mycujoo.tv/en/articles/805650-equipment-required
もほぼ同じ内容ですが回線速度に触れられています。
How to make your live stream a success
https://help.mycujoo.tv/en/articles/3713887-how-to-make-your-live-stream-a-success
全体の流れが掴めます。1時間前にはテストしておこうとか10分前にはGO Live(配信開始)しておこうとか。
How to use OBS
https://help.mycujoo.tv/en/articles/805668-how-to-use-obs
OBS Studioによる配信手順。最初からこれを見ていれば変な苦労しなかった…。
How to make your eSports live stream on MyCujoo a success
https://help.mycujoo.tv/en/articles/3895866-how-to-make-your-esports-live-stream-on-mycujoo-a-success
eスポーツ(PS4などゲームのサッカーを配信、という意味らしい)の話はともかくOBS Studioの設定が少し細かめに触れられています。HDMI入力で配信というところで少し参考になるかも。
Highlights
https://help.mycujoo.tv/en/articles/805683-highlights
画面が現在と異なりますが「KICKOFF」や「GOAL」などのハイライトについて触れられています。結構長い記事です。
Adding highlights on demand and editing highlights
https://help.mycujoo.tv/en/articles/3687002-adding-highlights-on-demand-and-editing-highlights
試合中に「ゴール」などのハイライトを付けたり、後から編集したりといった話が書かれています。
How to manage the timer from the Live Studio
https://help.mycujoo.tv/en/articles/805639-how-to-manage-the-timer-from-the-live-studio
タイマー(Timer)周りの話。フットサルだと「プレーイングタイム」方式なのでちょっと違いますが。
現場からは以上です。お疲れさまでした。
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