低価格スペアナ・キット
高周波に携わったことのある人ならば、スペクトラム・アナライザは高価な測定器であることはご存知だと思う。
その測定器をアマチュアが入手できるような価格でキットを製作された方がいた。 青山さんという方で、私自身も何年か前に約4万円で入手した。この価格は驚異的で、型名は、GigaSt v5c だった。
このスペアナの特徴はトラッキング・ジェネレータ付きで、かつ帯域が広く、3MHz〜12GHzまで測定が可能なことだった。トラッキング・ジェネレータの周波数は、3MHz〜4GHzまでとなっている。青山さんは、スペアナもどきと謙遜されていたが、周波数軸の精度が良いのでどの周波数にピークがあるかを確認するには十分だった。それと、周波数特性を視覚的に確認できるのは有り難かった。
表示は Windows PC を使用するのだが、そのためのアプリやドライバーなども自身で制作されたようだ。また、このキットは歴史があり、有名になったバージョン3からバージョン4、そして最後はバージョン5まで発展していった。アマチュア無線をやっている方は、今だにこのキットを使っている人がいるようだ。
さて、自分が所有している GigaSt v5c は、残念ながらスペアナ部の性能が劣化したようで、SG の波形を観測すると、ゆらぎが大きくなってしまった。SG 部はオシロで確認すると安定していた。
それと、青山さんのウェブサイトの Giga Site は見ることはできるが、閉鎖となっており問い合わせなどは出来なくなってしまった。誠に残念である。一応、ウェブサイトのアドレスを以下に示します。
http://www.wa.commufa.jp/gigast/GigaSt5/GigaSt-v5.html
追記。
先に、低価格スペアナ・キットで波形のゆらぎが出てしまい性能が劣化してしまったことを書いた。
ところが、スペアナに接続する USB ケーブルを PC 本体から直接一本のケーブルで接続したところ、ゆらぎがかなり少なくなった。これで、スペアナとしての実用性が高まった。
ゆらぎが出ていた時は、USB ケーブルを USB ハブ(4ポート)を経由してスペアナに接続していた。
というのは、このスペアナは USB から電源を供給して動作しているので、当然 USB の電源にノイズが乗っていたりすると、スペアの動作に影響を与えてしまうのではと考えられる。
それから、このスペアナの設定画面について新たに分かったのは、Setting をクリックし開いた画面の Common dB の値を変更すると、表示される波形が上下に移動することだった。
つまり、SG(標準信号発生器) で正確な信号をスペアナに入力し、Common dB の値を調整すれば、スペアナとしてのレベル校正ができることが分かった。
これで、スペアナのレベル測定の精度がアップ出来るようになる。