久保史緒里さんの電視台

 書かなきゃいけなかったので、書かずには寝れなかったので書いています。

そもそも

 今回久保さんは『乃木坂46』と『ピアノ』の繋がり、系譜を絶ちたくないとの思いで『羽根の記憶』の弾き語りに挑んだ。ファンとしてグループを見つめてきたからこそ乃木坂46とピアノの親和性を理解していて、それを失うことを誰よりも恐れた。自分が生田絵梨花の後継者とみなされることを彼女自身が自覚しているから。羽根の記憶は自身がバスラでセンターを務めた曲でもあり、生田さんが卒コンで2日間セットリストから外さなかった曲。憧れの人と交わるこの曲で、「想像してみた10年後の自分」と歌うこの曲で意思を受け継ぐことを試みた。

 しかしここでのピアノ演奏が今後のコンサートのセットリストに影響する可能性は限りなく少なく、「乃木坂はピアノを捨てていない」とファンに示すためだけにこれだけの大博打を打った。練習期間から厳しさは本人も自覚していたに違いないがこの道を選んだ。

act

 途中止まるまでは本当に素晴らしいパフォーマンスだった。3週間の練習で弾き語りを形にするのは常人の所業ではない。それこそ生田絵梨花を見ているようだった。

 止まった瞬間の焦りと絶望から来る喘ぎと指の震えはこれ以上ないほど残酷にリアルだった。あんな久保史緒里を見たのはいつ以来か、もしかしたら初めてだったか。少なくとも何かに押しつぶされていた時期を乗り越え、ある程度自分らしく振舞えるようになってきてからは、あんな顔をする久保さんは見たことがない。その後なんとか完走したわけだが本当に辛かったと思う。敗走する姿を見せることがあの場における最適解だったのだから。

 敗走することの何が辛いかというと、一回負けたことで頭が真っ白になっているので、ゼロの状態で敗北した自分だけを受け止めなければいけないことだと私は思う。受け止めたうえで走らなければならないのだ。今回の場合、継承すると宣言したうえでの失敗であるから、彼女が自ら背負うことを選んだのは乃木坂の未来であるともいえる。そんな中失敗を背負って走り抜けるキツさなど想像を絶する。しかし本当によく走り抜けたと思う。凄い。よくやった。

抱擁

 終わった後、なんとか「楽しかった」と言って終えた。そして同期が彼女を抱きしめた。山下さんは抱きしめることなく寄り添ってギャンギャン泣いた。矢久保さんは失敗じゃないと言い切った。れなちさんは「謝らなくていい」と寄り添った。まあやは生田さんの名前を出し、継承の意を汲んだ。それぞれの立場、関係の思いやりがそこにあったが、私は懐古厨なのでそこに生田さんが、新内さんがいたらどう寄り添ってくれたのだろうと思いを馳せてしまう。

 特に新内さん。新内さんはただ逃げていいよと言ってくれるだけじゃなく、行動を変えろと言ってくれる人だった。お茶とおにぎりを毎日自分の意志で決めろと言ってくれる人だった。自ら無謀に挑むことを選択した今回の久保さんにはそのまま肯定したり、逃げる選択肢を可視化してくれる人ではなく、真っ向から課題を解決するために寄り添ってくれる人のアドバイスがあってほしいなと思ってしまった。

結果的に

 久保さんは今回生田さんのピアノを継承しようとして、結果的に前回の生田さんの努力の末に理想を達成できなかった悔し涙までも継承するような形になった。そういった意図せぬ部分での継承が往々にしてなされる所に物語深読み消費厄介ヲタクは惹かれてしまう。デビュー10周年の一日が終わる最後の瞬間に姿を見せてくれた久保史緒里はやはり乃木坂の塊であり希望であり過去であり未来だ。

 明日、29thシングル表題曲のセンター発表、初披露がある。ベストアルバムリリース後初のシングル。高山、寺田、生田、新内、星野、北野が去った後初のシングル。センターは発表されたばかりの5期生。最近卒業する先輩の気持ちを、乃木坂を一身に背負っているかのような久保史緒里は2列目。継承などまるで無視しているようにも見える。しかししばらく時を経た後に私は納得しているのだろう。このシングルも継承に必要な1ピースだったと。正直そんなこと今は思えないが、今までの乃木坂を見てるとそう思わざるを得ない。期待したい。


いつになく無計画に書き出したのでいつになく散らかりました。久保ちゃん本当にお疲れさまでした。これからがさらに楽しみです。今日も一日長いけど頑張って!(23日AM5:16)

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