狙うはマハタ!イワシ泳がせ根魚五目釣り/西川名 竜一丸
釣り初めは館山での根魚五目
読者の皆様、あけましておめでとうございます。
っていう挨拶は2015年の釣り収めの記事でしましたね。今回は2016年の釣り初めとして訪れた、館山市の西川名から出船する根魚五目のレポートです。
根魚五目っていっても狙う魚はメバルやカサゴじゃないですよ。まあそれも釣れたら釣れたで嬉しいですけど、イワシの泳がせで狙うのは、マハタ、アカハタ、アオハタなどのハタがメインターゲットなのである。ほら、テンション上がるでしょ?
竜一丸では年明けからはじまるこの釣りだが、今年は例年よりも水温がだいぶ高いためか、マハタよりも南の魚であるアカハタが釣れているのだとか。
ハタなんて一日に何匹も釣れる魚ではないけれど、おみくじ代わりの運試しということで初釣りに選んでみた次第である。ほら、泳がせ釣りってなんだかロマンがあるじゃないですか。
ちなみにマハタもアカハタもアオハタも釣れない時、船長は泣きながらシロハタ(白旗)をあげるのだとか。涙。どうせ旗を上げるなら大漁旗がいいなー。
根魚五目の仕掛けについて
さてこの釣りで船長や常連さんが釣り上げてやろうと狙っているのは、5キロを超える大型のマハタだとか。5キロっていうと大五郎のでかいペットボトルよりも重いので、貸し竿のリールに巻かれた糸はPE6号と太い。横流しのヒラメ釣りのように大きく船を流して釣るのではないので、竿はあまり長いものではなく2メートル前後で7:3か6:4調子くらいがオススメとのこと。手持ちがなければとりあえずレンタルタックルでどうぞ。
使用する仕掛けは一本針の胴付きで、アカハタなどであればハリス6号程度のヒラメ用でも上げられるが、大きなマハタが相手となればハリスは10号以上がベターとなるらしい。ちなみに孫バリはトリプルフックだと折れる可能性があるので使用禁止。それくらい大物が潜んでいるということだ。
五目釣りっていうと、いろいろ釣れる初心者向けの釣りというイメージだが、ここの五目はちょっと目の大きさが違うようだ。なんだか心がザワザワするね。ロマンいっぱい夢いっぱい。
エサの付け方と釣り方について
このように大物狙いの竜一丸だが、船長や中乗りさんが細かいところまでサポートしてくれるので、初心者がプラっといっても大丈夫。
この日も同行いただいたオールレンタルのオカダタカオさんが、お正月から大仕事をやってのけたのだ。
エサは生きたイワシで、親バリを顔側に、孫バリを尻尾側につける。たまに間違えて孫バリを顔側につけて呆然とすることがあるので注意しつつ、なるべく弱らせないよう手早くハリに掛けて海へと投入しよう。
このときカモメが空から狙っているので要注意。いや本当に。私は1匹奪われました。
根魚五目というくらいだから海底の根(岩礁)に住む魚を狙うので、タナは底から1~3メートル程。状況によってはもう少し上げることもあり、船長が状況に応じてアナウンスしてくれるのでそれを守る。
基本的な流れはヒラメ釣りなどと同じだが、水深が変わりやすいポイントを流すので、こまめにタナを取りなおすこと。
船長が考える独特の誘い方をもっと詳しく知りたい場合は、乗船して直接聞いてみてください。意外と忙しい釣りだということが判明しますよ。
まずはアカハタ狙いから
さて本日の流れは、まずは浅場で今年好調のアカハタをキープし、そのあとで沖へと移動して大物のマハタを狙ってみようという二段構え。よって使用する仕掛けは前半がハリス6号とオモリ60号、そして後半はハリス8号とオモリ80号。
このハリス8号というのはマハタ狙いにしては細いらしく、大物狙いの常連さんはハリス10号以上の仕掛けしか持ってきていないそうだ。掛かったらすぐに巻き上げないと根に潜られてアウトとなるため、太めの仕掛けで強引に勝負しなければならないのである。よってドラグはきつめに締めておくこと。
海底付近を元気に泳ぐイワシをイメージしながら、竿先を見つめてアタリを待つ。水深は25メートル前後。マハタに比べれば小さいというアカハタ狙いだが、館山沖はどんな大物が掛かるかわからないので油断はできない。
まず当たったのは中乗りさんの竿。といってもイワシの泳がせではなく、サバの切り身を使ったカサゴ狙い。根魚は潮が合ったときにパタパタと釣れることが多いので、カサゴが釣れている時こそアカハタやマハタのビッグチャンス!
中乗りさんの竿は我々にとってのアンテナなのである。
おっと、残念。最初のアタリはウツボだったようだ。サバエサだけでなくイワシエサに掛かってくることもあるそうなので、もし私に掛かったらキープするか悩んでいたら(噛まれると指がもげるのでリリースしましょう)、今度こそカサゴがヒット。
ということはチャンスタイムということか!
よしよしよし、まずはこのポイントで正月らしい真っ赤なアカハタを1匹釣り上げて、「これが俺の初日の出やー!」と叫んでやろうか。
さあさあさあ、竿先よ曲がれ。ぐいぐいと曲がれ。曲がれったら曲がれ。
だがしかし、中学生の頃にチャレンジしたスプーン曲げのように、竿は思い通りには曲がってくれなかった。
おやおやおや?
マハタ狙いで大逆転を狙う
今年好調だというアカハタは本日不在。残念無念。
だがしかし、南国系のアカハタが釣れないということは、より低い水温を好むマハタが釣れる日ということだろう。きっと今日からマハタの出番。新装開店サービス開始。
そんなプラス思考で仕掛けを太いものにチェンジ。5キロのマハタだったら何日寝かせてから食べるべきかと気の早すぎる悩みを中乗りさんに相談する。釣らぬマハタのなんとやら。
このポイントでは人間レーダー役の中乗りさんの竿にオニカサゴが連発。こりゃいけるんじゃないかなと集中するのだが、どうにもアタリはやってこない。
イワシの泳がせをやめてこっちもサバエサで夕飯の確保に励もうかと思ってしまうが、ここで我慢しないでどうするのだと己を律する。そう、狙うのはあくまで大物のマハタなのだ。
それにしても釣れない。まったく釣れない。あまりにも釣れないので寝不足気味のオカダさんは竿を置いて一休み。私はロールケーキをムシャムシャしながらまったりタイム。船長の話だと、潮の流れがいつもの半分以下なのだとか。
こりゃ今年の初釣りは二人揃ってボウズかなーなんて思っていたのだが、竿が空いているのももったいないと、船長が操船しながらオカダさんのレンタルタックルを手にしたところ、なんとすぐにヒット到来。なんだこの展開は。
上がってきたのはハタではなくヒラメだったが、それでも我々の気持ちを上げてくれる一匹だ。
潮が流れない今日みたいな日でも、釣れる人は釣れるんですねー。よし、がんばるか。
オカダさんが立派なマハタを釣り上げた!
船長が釣り上げたヒラメをみて元気を取り戻した我々は、タナや誘い方など細かいアドバイスをもらって再チャレンジ。せめて私とオカダさんのどっちかが1匹釣りたいところである。
するとしばらくして、グイーンと一気に竿が曲がる強烈なアタリが到来。……オカダさんの竿に。
ヒラメやマゴチと違ってハタの仲間はイワシを一飲みにするため、こういうアタリが多いらしい。ということは大本命のマハタだろうか。
オカダさんが「これはマハタ!絶対マハタ!」と念じながら格闘していると、置き竿にしていた私の竿にもアタリ到来!
でもこれはオカダさんとのオマツリでショボーン。
オカダさんの獲物を邪魔しないようにこっちの竿を操っていると、フワッと大物が浮上してきた!
上がってきたのは2.1キロの見事なマハタ。いわずとしれた超高級魚である。鍋や刺身にしたら10人前くらいはありそうだ。なるほど、こりゃ釣れたら楽しい釣りですな。まあ釣れなくても楽しいんだけどさ。
「今年の運を使っちゃったかなー」と笑いの止まらないオカダさん。おみくじ代わりの初釣りの結果は大吉ですね。まあ俺は釣りキチだけどね。っていうほどでもないですけどね!
「マハタは1匹だけじゃないよ!もっといるはずだよ!」という船長のアナウンス通り、反対側で釣っていた常連さんにもマハタがヒット。
潮が流れず苦しい展開だったが、時合いを制した人は無事大本命のマハタを釣り上げることに成功。おめでとうございます!
そんなこんなで私は久しぶりの完全ノーヒットの白旗に終わったのだが、たっぷりと緊張感を味わえたのでいいんですよ。ボウズ覚悟のなかなか釣れない釣りだからこそ、挑む価値があるんですよ。
でももう少ーしアタリの多い日だったらよかったんですが、こればっかりは仕方のないことですね。グギギギギ。
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