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上達するから面白い!スルメイカ入門/金沢八景 一之瀬丸
※掲載終了の「@niftyつり」から2013年7月31日の「ゆるゆる釣り部」釣行記を一部修正して移植しました。イカ釣りの世界も独特で楽しいですよね。
はじめてのスルメイカ釣りに挑戦
沖釣りのターゲットは数々あれど、その中でもベテラン向けでちょっとハードルが高そうな印象のあるイカ釣り。
エサがスッテやプラヅノという謎の形をしたルアーみたいなやつで、それを何本も使う上に、投入器という見慣れない道具を使うなど、普通の魚釣りと違う点が多く、どうしても腰が引けてしまう感じがするのは私だけではないと思う。
しかし、釣りたてのイカ刺しは食べたいし、船の上で憧れの沖漬けを作ってみたいし、最近ダイオウイカが話題だしということで、大人の階段をまた一つ登る気持ちで、はじめてのスルメイカ釣りに挑戦してみることにした。
ちなみにマルイカ、ヤリイカは一応釣ったことがあるけれど、数年前のできごとでほとんど覚えていないため、イカ釣りに関してはまっさらな状態だと思ってください。
船宿は金沢八景駅からすぐ近くなので、電車で来られる方も多い一之瀬丸さん。インターチェンジからも近いので、車でいくにも便利な場所だ。
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今回ははじめてのスルメイカ釣りということで、仕掛けは船宿で売られているものからセレクト。4種類用意されていたが、どれでも同じように釣れているそうなので、フィーリングで「たまご針」というプラヅノの仕掛けをセレクト。ちなみにどれも5本針でプラヅノは14センチのブランコ仕掛け。
オマツリやサバの攻撃などでロストする可能性は高いが、仕掛けは船の上でも買えるそうなので、とりあえず一組あれば大丈夫。
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スルメイカ釣りの道具
スルメイカ釣りで使用する竿は、基本的には先調子で胴がしっかりしたイカ専用竿。私が友人から借りてきた竿は、イカ専用竿(ヤリイカ用)の中でも柔らかめのタイプで、船宿の貸竿は完全な先調子のようだ。
釣り方や好みによって、竿の調子や長さが違ってくるらしいので、自分にあったイカ釣りのスタイルを編み出すとともに、それにあった理想の竿を探すという、イカ名人への長い旅がはじまる訳ですね。まあ、とりあえずは第一歩を踏み出さないと始まらない。千里の道も一里から。千杯のイカも一杯から。
イカ釣りは水深が深く、使うオモリも重いので、リールはPE4~6号を巻いた中型電動となる。リールの電源は船にあるので、バッテリーを持ち込まなくてもいいが、以前電源コードに足が引っかかってすっころんだ経験があるので、私は持参する派だ。
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イカ釣りの仕掛けについては、大きく分けてブランコ仕掛けと直結仕掛けの2種類あるが、船宿で売っているのはブランコ仕掛けということで、今回はブランコ仕掛けオンリーで挑戦。
ブランコ仕掛けの方がエダスがある分、取り込みでモタモタしてもバラしにくいのだが、海にサバが多い場合は、プラヅノが飲み込まれにくい直結仕掛けが有利らしい。
この日はほとんどサバがいなかったので、私がいた左舷側で確認した限り、常連さんも初心者さんもブランコ仕掛けを使っている人が多かったようだ。
仕掛けの一番下にぶら下げるオモリは、潮の速さや水深によって違うが、船長から今日は150号を使うようにとの指示。150号、久しぶりに使う重さである。
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常連さんは仕掛けの上に中オモリとリングを付けるようだが、私はとりあえず船宿で購入したリングのみ装着。このリングは糸のヨリをとるためのもので、種類は違えど使用している人がほとんどだった。
理屈はイマイチわからないのだが、これがあると巻き上げの時にイカがくるくる回ってしまっても、このリングの上下についたスベイル…じゃなくてスイベルのおかげで道糸がよれないらしい。スイベルをスベイルと間違えがちだ。
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イカ釣りでしか見かけない独特の投入器という道具は、船上に用意されているのでそれを使用。ブランコ仕掛けの場合、カンナ側を下にして、中にストンと落としてセットしていく。
投入機を竿の右側に置くか左側に置くかでちょっと迷ったのだが、風になびいてプラヅノと道糸が絡まるのを防ぐために船尾側に置くのをおすすめされたので、左舷の私は竿の左側にセット。
といっても、左舷でも右側にセットしている常連さんもいるので、慣れていればどちらでもいいのかな。右利きだったら右側にセットした方がオモリを投入しやすいかも。
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夏の船釣り用に靴を新調しました。ライトデッキサンダルというものらしいです。
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スルメイカの釣り方
船内でゴロンと仮眠をしている間に、剣崎沖のポイントへ到着。水深は100メートル前後なので、イカ釣りとしては浅い方なのだろう。
まずイカ釣りで大切なのが、オモリ投入のタイミングだった。イカの群れは移動が速いので、船長が船を群れの上に止めて投入の合図を出したら、すぐに仕掛けを入れることが釣果に直結するようだ。
また全員が同時に投入をしないとオマツリの原因にもなるので、群れを探して移動してる船が減速をはじめたら、直ちに投入の準備に取り掛かるのがいいみたい。
仕掛けの投入の方法は、リールのクラッチを切っておき、オモリをまっすぐ前方にポーンと放り投げるだけ。すると自然に投入器からプラヅノが次々と飛び出ていくのだが、この投入をいい加減にやると、投げた仕掛けがいきなり道糸と絡んでガッカリすることになる。またセッティングが適当だと、投入器にプラヅノが引っかってオモリだけが飛んで行ったりするのでご注意を。
私は両方やりました!普通の人はやりません!
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さて無事に仕掛けを投入できたら、タナが「80から100メートル」という指示の場合、とりあえず100メートルまで落としてシャクり上げていこうかなと思ってしまうが、船長によると80メートルまで落としたところで親指でサミング(目つぶしではない)をして、少しずつ落としながらシャクるといいそうだ。
糸を止めてシャクって、アタリをちょっと待って、乗らなければ竿先を下げながら2メートルくらい糸を出すという繰り返しで、上からタナを探っていく感じだろうか。
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何度か船長にお手本を見せてもらったのだが、実際にやってみるとこれがなかなか難しい。竿の動きと糸の出し方によって、80メートル下のプラヅノがどのように動くのかが、私にはまだイメージができない。
イカの誘い方については、常連さんの言葉を借りれば「言葉では説明できないもの」だそうで、なによりも経験が大切とのこと。いろいろな方法を試したり、うまい人の釣り方を見て、時間を掛けて体に染み込ませるしかないそうだ。
イカ釣りは「食べるための釣り」という印象で、おまつりにさえ注意すればいいのかなという思いが少なからずあったのだが、どうやらそれは間違いのようだ。カワハギ釣りのように腕次第で釣果が大きく変わる、奥の深いテクニカルなおもしろさが、このイカ釣りにはあるようだ。
釣れるときは誰でも簡単に釣れるらしいけど、そんな時でも釣れる数が変わってくるのだ。
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ズシンとくるアタリが到来!
この日はイカの反応はあるものの活性はあまり高くなく、群れの移動も速いので、一流しで投入できるのは基本的に一回。常連さん曰く、「水が気に入らないんだよ」とのこと。イカったら繊細。
実際にやってみると仕掛けを入れたり出したりするのがなかなか忙しい釣りで、仕掛けを回収しながら投入器に入れていくときのスムーズな体の動かし方を、早くものにしたいところである。
ちょっと初心者には厳しいかなという条件だが、とりあえずベタなぎで釣りやすいので、私が初めての釣りで目標としている「竿頭の半分の半分(竿頭が40杯だったら10杯)」を目指してがんばるのみ。
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船長からのアドバイスを受け、仕掛けを下げながらのシャクリを続けていると、シャクリあげたときにズシンとくる重みを感じた。イカ類に共通する独特の重さである。このズシンとくる感じ、かなり好きなんだよね。
しっかりと重さを感じたところで電動リールのスイッチを入れて巻き上げ開始。道糸からイカが逃げようとする動きがビンビンと伝わってくるのが楽しい。
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イカリングが水面近くまであがってきたところで巻き上げをやめ、モタモタしながらもどうにか幹糸を手繰っていくと、青いプラヅノにイカがぶら下がって上がってきた。ひゃっほい。
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この季節に釣れるのはムギイカと呼ばれる小型のスルメイカだが、それでも1杯でなかなかの重量感だった。イカ釣り、楽しい!
ところで、この仕掛け回収のときに、道糸を竿受けについている糸止めで止めるとやりやすいというのは、帰港時に常連さんから教わった大切なポイントなので、次回は実践したいと思う。
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上達するのがおもしろい釣り
とりあえず一杯釣れて落ち着いたところで周りの人を見まわすと、誘い方は本当に人それぞれ。手で巻き上げながら細かいシャクリを入れる人もいれば、グングングンと三段階の大きなシャクリでプラヅノを泳がす人、電動リールで低速巻きをしながらシャクり続ける人。
プロ野球のピッチャーにいろいろなフォームの人がいるように、イカ釣り師にも様々なフォームがあるようだ。そして対戦相手に合わせて攻め方を変えているのは、どちらも同じなのだろう。
仕掛けを上のタナから下ろして攻める時の釣り方を試し、下のタナから巻き上げながらの釣り方も試す。私にとっては一投一投が勉強だ。
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何回かシャクったときのズシンとくるアタリでイカを仕留めることができたら、次のステップは竿先に出るアタリをとってのキャッチだろう。
シャクり上げたときに竿先をじっとみつめて、イカの反応を伺う。異常がなければまたシャクり、フンフンという鼻歌みたいな感じで竿先が揺れたら、竿先を上げてノリを確認。このやり方で釣れると、また格別にうれしいのだ。
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自分なりにちょこっと上達してきたかなというところで、ズシンズシンと多点掛けを連想させるアタリがきた。しかし、慣れてきた頃が一番ミスをしやすいというのはよくある話で、ちょっと疲れてきたので置き竿にしたまま巻き上げの速度を早めにしていたら、多点掛けならぬ多点バレを食らってしまった。ガビーン。
この日はノリが悪く単発でのヒットが多かったが、上手な人はここぞというタイミングでは多点掛けを華麗に決めていたので、このあたりも研究の余地がたっぷりとありそうだ。
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スルメイカ釣りの感想
さて、こんな感じでスルメイカ釣りを実際にやってみた感想だが、ある程度の沖釣り経験があれば、プラヅノの数が5本くらいならイメージしていたものよりも混乱は少なそうだ。ただエサでの釣りと違って、勝手に釣れるということがないので、誘い方次第で釣果が大きく変わってくる。
イカ釣りはおもしろい。湾フグみたいに初心者だとまったく釣れないというほど難しくはないが、腕が上がれば上がる分だけ釣果につながっていく。イカの誘い方、追い食いのさせ方、仕掛けの種類、手返しの良さなど、学ぶべきところが無限にあるので、イカ釣り好きの人はズブズブとハマっていくのだろう。
この日の私の釣果は8杯。「イカ釣りに行くから、今度あげるよ!」と何人かに声を掛けてしまっていたのだが、さてどうしようかな。トップが55杯なので、目標としていた半分の半分には届かなかったが、その難しさを楽しめたので満足度はとても高い。食べたらすぐになくなってしまう量だが、これでようやくイカ釣りオヤジへの階段を一段登ったという感じだ。
これからの季節はイカもどんどん大きくなっていくだろうし、次に乗船するときは今回の経験を糧に、もっと仕掛けやシャクり方を勉強をしておき、そしてイカ釣りのうまい人を誰か同行させて、竿頭の半分を目標にしてみたいと思う。
イカ釣り、ハマってしまったかもしれません。
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皮まで柔らかいムギイカがうまい
釣ってきたイカは、刺身、塩辛、沖漬けでおいしくいただいた。イカがまだ小さいだけに、皮も柔らかいので皮ごと切って刺身にしたのだが、これが甘みがあっておいしかった。
よく冷やしたムギイカの刺身は、シャッキリとしていて味に透明感がある。これはムギイカだからこその味なのだろう。小さいからこそ出せる味だ。
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刺身で残ったイカワタとゲソで作った塩辛も絶品。量はイカ2杯分なのでほんのちょっとだが(もったいないから墨袋まで入れた)、柔らかいゲソとクセのまったくないコクのある肝とのハーモニーが素晴らしい。
これはやばい。これで贅沢にチャーハンでも作ったら絶品だろうな。
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そしておたのしみの沖漬けは、タレから取り出して一度凍らせて、半解凍してから筒切りにしていただいたのだが、さすがは生きたイカを使った沖漬けだけあって、肝の中まで味がしっかり染みていた。そしてムギイカなので身が柔らかく、一口サイズなのがいい。食べる際は中骨と吸盤にご注意を。
これはもっとたくさん釣って、常に冷凍庫に常備しておきたい一品だ。冷凍すれば日持ちもするし、珍味好きの人にあげても喜ばれるだろう。私が水産会社の社長だったら、これを機会にきっとムギイカの沖漬けの生産に乗り出すな。
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どうやって食べてもムギイカはうまいのだろう。今度は黒蜜に漬けこんで、甘い沖漬けを作って、暑い夏に凍ったままガリガリと齧ってみたいと思う。というのはウソだけど、とにかくムギイカは本当においしかった。
イカ釣りを覚えると、沖釣りの守備範囲がぐっと広がり、人生がまた楽しくなるような気がする。
釣ったばかりの新鮮なイカを食べたことで、またイカ釣りおやじへの階段を、一段あがることができたかな。
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