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日本海の離島、粟島で楽しいタコ捕り

※掲載終了の「@niftyつり」から2014年9月27日の「ゆるゆる釣り部」釣行記を一部修正して移植しました。釣りではなくて、粟島の磯ダコ捕りツアーですけど、これが楽しいんだ。


粟島でのタコ捕りが楽しいんですよ

今回は釣りの話とはちょっと違いまして、日本海の小さな離島、粟島で伝統的に行われている2本の棒を使ったタコ捕りの話。磯ダコ捕りツアーです。

この磯ダコ捕りツアーはただの体験ツアーではなくて、捕ったタコの重量を競うワンデイマッチという魅力的な大会なのだ。初出場となった2013年は経験不足のため3匹で266グラムと、優勝した方の半分にも満たない成績で終了。

きっと来年こそはリベンジしてやるぞと粟島の海に誓って、翌2014年大会に出場したのである。

この大会でしか会わない新潟の二人と今年も一緒。
宿は去年と同じく与平。このツアーは民宿の宿泊客が参加するので、民宿対抗タコ合戦という見方もできるのだ。
テーブルに置かれたタオルと手ぬぐい。気持ちが盛り上がってまいりました!
宿の前に落ちていたコッシー。

大会はスタート前から始まっているのだ!

今年こそは優勝してやるぞと誓って訪れた粟島。前回の反省点として、エサとなるカニが途中でとれてしまい、後半ペースが失速してしまったというのが上げられる。そこで今年は大会の前に磯へとおもむき、予備のカニを捕まえておくという作戦を実行したのだ。

いくらでもいるようでなかなか見つからないカニを探して石をひっくり返し続けること数十分、補充用としては十分な量の確保に成功。ただカニは捕れたが若干腰を痛めたので、成績への効果としてはプラスマイナスゼロだったかもしれない。

タコを捕る前にカニを捕るのがプロ。本当のプロはエサのカニをキズつけないんだけどね!
これだけいれば十分だろう。

これで準備は万端。もう優勝は決まったようなものである。あとは食堂でラーメンでもすすりながら、粟島の空気にじっくりと体をなじませれば準備はオーケー牧場。同行している2年前のチャンピオンに言わせると、この工程こそが大切なのだとか。そのために我々はわざわざ一本早い船できているのだ。

ほら、富士山とかを登る時も、早めに5合目(登山を開始するところ)へと着いておいて、高地に体を馴染ませることが登頂のコツだというじゃないですか。

みやこやのラーメン。あっさりしていてうまい。

そんなこんなで運命のタコ捕り大会の集合時刻がやってきた。この大会は年に3回、各100名が島にある内浦と金谷という2つの集落に分かれて実施される。各日、各集落でそれぞれの表彰式があるので、優勝という栄光を手にするのは年間6人、確率は1/50というところ。参加者は本気モードの成年男子が4割、遊びモードの家族連れが6割といったところだろうか。

私は頭脳もスポーツも釣果も目立ったところがまったくない、いわば文武平均(あるいは平均以下)の男であり、今までの人生で『優勝』というものにまったく縁がなかったのだが、このタコ捕り大会であれば、優勝できるような気がするのだ。まあ根拠も実績もないんだけどさ。

一生で一度くらい、私だって優勝したいんだよ!それが粟島でのタコ捕りだったら最高の人生じゃないですか!

この大会に集まった精鋭たちの中で、優勝できるのは一人だけ!
宿の方がインストラクターとなるので初めての人でも参加可能。あの帽子かっこいいな。
本気なので水中が見える偏光グラスを装着してます。

今年は予定通りの絶好調!

2014年のタコ捕り大会は去年と同じポイントからスタート。昨年の経験があるため、迷わずに海へと入ってタコを探すことができる。そう、私は経験者。

それにしても粟島の海の素晴らしさよ。こんな穏やかな浅瀬でタコが捕れちゃうのが、粟島のすごいところなんだよね。

今年こそ優勝するのだ!
カニがついた棒でタコを誘い出して、ハリの付いた棒で引っ掛けて捕ります。
まさかそんなところにいないだろっていう浅いところにもタコがいるんですよ。なぜなら粟島だから。
あー、なんかまた粟島にいきたくなってきたぞ。

効率よくタコを捕るコツは、なんといっても足で稼ぐこと。ゆっくり移動しながら丁寧に探すよりは、めぼしいポイントをセカセカと歩きながら周るのが効果的。ただし、たくさんの人が参加している大会であり、宿単位で移動するので、一人だけズンズンと進むとそれはそれで感じが悪いので、全体の歩調を壊さない範囲で手広く攻める。団体行動の中での個人競技。あと焦って歩くと私のように転びます。

タコが潜んでいそうな岩陰にカニの付いた棒を突っ込むのではなく、その少し前でカニを躍らせて、タコを誘い出すのがコツ。これによってエサのカニが無駄に傷つくことがないし(予備のエサはあるけども)、なんといってもタコが格段に引っ掛けやすくなる。

大きな岩からちょっと外したところでタコを誘う。

しばらくすると、はいきましたよ1匹目。エサのカニにスッとタコが飛びついてきて、棒が重くなる感じが懐かしい。はいこれこれこれ。

そして難しいのはここからだ。去年の大会ではエサの棒だけ持って、取り込みは宿のご主人にお願いしたが、今年は二刀流である。誘い出したタコは自分で引っ掛けて捕るのだ。

慎重かつ大胆に、左手で持った引っ掛ける棒の先をタコの少し先に送り込み、一気に引っ張って抜きあげる!

よいしょっと!

とれたーーーーーーー!

この日の私は絶好調。やはり去年の経験が大きく(大会が終わった後も島にいる間は何度もタコ捕りしていたし)、なかなかのペースでタコを捕ることに成功。

あらあら、おやおや、これって優勝しちゃうんじゃない?

優勝ラインは例年だと数なら6匹、重さで1キロというところ。

この日は捕ったタコの計量までで、結果発表は翌日の表彰式までおあずけ。

うーん、今日の夜はうまい酒が飲めそうだ。今のうちにガッツポーズでも考えておこうかな。

粟島のタコは足が長くてスタイルが良い気がする。
エサのカニが減ってきたら、すぐ追加のカニでドーピング。結束バンドが素早く固定できて便利だよ。
本日一番の大物もゲット!
ビショビショになりながらも6匹をゲット!優勝はもらった!
競技時間が終了したら検量タイム。大会は数ではなく重さで競われるのだ。
重さは953グラム。ギリギリ1キロには届かないが、これは優勝しちゃうんじゃない?
夕飯までに時間があったので、エギを投げてアオリイカを狙ってみた。
スミの跡はたくさんあるのだがノーヒット。でもいいんだ、タコがたくさん捕れたから。
美味しい夕飯からの楽しい晩酌。明日のガッツポーズ、どうしよっかなー。
そして翌朝は早起きしてモーニングタコ捕り。
朝飯を食べた後は、モーニングイカ釣り。
そしてナイスアオリイカゲット!私の腕前でアオリイカが釣れるのは、佐渡島と粟島だけです。

そして運命の結果発表!

さあさあさあ、磯ダコ捕りツアーでは大会翌日のお昼ご飯が表彰式タイム。熱く焼けた石を豪快にぶち込むわっぱ煮を食べながら、結果発表を待つのである。

ジャラララーン、ジャン!(俺にはドラムロールが聞こえる)

山形の河原には芋煮用かまどがあるように、粟島の海辺はわっぱ煮用の広場がある。
焼けた石で豪快に仕上げるわっぱ煮!私の気持ちも負けないくらい熱くなっているよ!
そして表彰される俺!

私の成績は……なんと……見事に……今年は……

準優勝でした!

うーん、惜しい!

どうやら捕まえたタコの数では一番だったようだが、残念ながら重さでは負けて僅差での準優勝。

あー、くやしい。こんなことなら捕まえたタコにナマリ玉でも入れておけばよかった。ってそんなことはもちろんしないのだが、うーん、惜しいね。

しかしまあ、あれですよ。これでまた来年この粟島に来る理由ができたっていうことだ。まあ優勝したらしたでディフェンディングチャンピオンとして堂々と来るんだろうけどさ。

準優勝の賞品はわかめと粟島銘菓の千代華でした。

粟島、堪能させていただきました

このようにして熱い大会は幕を閉じたのだが、せっかくなので粟島にもう一泊して、のんびりと観光させていただいた。この島は自転車をのんびり漕いで一周3時間程度のとても小さな島なので、観光といってもほとんど去年と同じルートを巡っただけなのだが、これがいいのである。

一年目はすべてが新鮮な驚きだったが、二年目は見知った場所の再確認。やっぱりいい島だよなーと、同じ季節に同じ場所を巡るという贅沢。

本当に良い映画なら2回観てもおもしろいように、粟島は2回目でも楽しめる。2回目だからこそ観光する側にもゆとりがあり、新しい発見が待っているというものだ。

去年はもぐらなかったけど、今年は思い切って泳いてやったぜ。九月末だぜ。超さむいぜ。
ちょこっと穴釣りもしてみたよ。
そしてアオリイカを追加でゲット!
最終日はレンタサイクルで島を一周。これが気持ちいいんだよ。
島は絶景ポイントだらけ。あそこでタコをとりたいなー。
憧れの小倉町キャンプ場でタコ捕りしている人がいた。ちなみに粟島はあんこが有名。だから小倉町なのかな。
そして私が日本一好きな下り坂。最高に気持ちいいよ。まあここへと来るまでに相当ハードな上り坂があるんだけどね。
あわしま牧場の馬に挨拶。ヒヒン。
そうそうそう、このアゲハチョウの幼虫みたいな岩、去年もみた!
栄養補給は勝っちゃんの千代華。
港前におしゃれなカフェが出てきて驚いた。

ということで、ちょっと悔しく、最高に楽しい粟島の旅でした。

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