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大原のショウサイフグカットウ釣りで80匹達成/利永丸
※掲載終了の「@niftyつり」から2010年8月下旬の「ゆるゆる釣り部」釣行記を一部修正して移植しました。東京湾とはちょっと違う外房スタイルのカットウ釣りです。この連載にしては珍しくたくさん釣れた話ですね。アタリをとる釣りだと、高い竿はよく釣れます。
初めての外房カットウ釣り
ショウサイフグの釣り方には、胴突き仕掛けで狙う食わせ釣りと、カットウ針(でかいイカリ針)で引っ掛けて釣るカットウ釣りがあり、カットウ釣りはさらに東京湾と外房で釣り方が違い、オモリの重さなどが異なってくるらしい。
私がやったことのあるのは、東京湾での食わせ釣りのみ。どうも引っ掛けて釣るカットウ釣りというのが釣りっぽくなくてピンとこなかったのだが(この気持ち伝わりますかね)、釣り具屋さんの話によると、あれはあれでおもしろいものらしい。
ならばものは試しということで、10月に解禁となった大原港からのショウサイフグ釣りに挑んでみることにした。
さすが外房、集合時間が午前4時10分だぜ。集合は船宿ではなくて港に直行でOK。
エサは別料金ということで、アオヤギ(500円)を2パック購入。氷は乗船前と乗船後にもらえます。※当時の情報
竿はアルファタックルさんから借りてきた。穂先が見当たらずに困ったのだが、竿の中に格納されていたぜ(竿尻を開けて出す)。
ショウサイフグ用の竿は思いっきり先調子ですね。ショウサイフグだけに詳細は後ほど。
ザッパンザッパンと荒れる外房
この日集まったお客さんは私を入れて8人。片舷4人と初めての釣りをするにはちょうどいい感じ。多すぎるとオマツリしちゃうし、少なすぎても参考にする人がいないからね。
さて今日の天気は晴れてこそいるけどかなりの強風。実は四日前に一度きたのだけれど強風で船が出なかったという悲しい出来事があったのだが(仕方なくヒラツメガニを釣って帰った)、その日よりはだいぶマシか。ちなみに昨日も強風で休業だったそうだ。
フグって海が荒れた後だと砂に潜ってしまって釣れないイメージがあるけど、まあ船が出ただけラッキーだったと思おうかな。たまに結果として「いっそ船が出なければよかったのに!」って思うこともあるけどね。
ザパーンザパーン。
船が動き出して目を閉じたらポイント到着まで一瞬だったけれど、時計の上では一時間が経っていた。結構遠いのね。さあ、初めてのカットウ釣りのスタートだ。
カットウ釣りの道具
今回の釣りで使う竿は、アルファタックルさんから借りてきた夢人シリーズのフグカットウ専用竿。極先調子でカワハギ竿とよく似ているが、全長が1.5メートルと短く、穂先以外はとてもしっかりしていてほぼ曲がらない。竿先でアタリをとることと、引っ掛けてから一気に抜き上げることに特化した竿のようだ。
船長曰く、カワハギ竿があるならそれでやってもいいし、無料の貸し竿を使ってもいいとのこと。東京湾用のカットウ竿は錘の負荷が全然違うのでNG。
リールは自前のダイワ製小型両軸リールで、糸は巻きっぱなしのPE1号。この釣りはもうちょっと太くていいかもね。アタリをとっての合わせが肝心の釣りなので、左巻きのリールのほうがよかったかな。
「夢人」って「ゆめじん」って読むんだって。「ゆめびと」ってずっと読んでいたよ。
カットウ仕掛けは船宿で売っているものを使用。カットウ針が一つのものと二つのものの二種類があるが、はじめてだったら一つタイプが使いやすいということでそちらを選択。
持参する場合はオモリ25号がこの日の指定号数。東京湾用の10号とかを持ってきちゃダメよ。
「ファンに初お披露目」と意味深な新聞に包まれたカットウ仕掛け。
釣り具屋だと逆に売っていないのではというくらいシンプルな仕掛け。はりすがチューブで強化されている。
エサはアオヤギのむき身。これをオモリについてる方の大きなハリに、ハリが隠れるくらいたっぷりと付ける。カワハギ釣りのアサリエサみたいに繊細なエサ付けは必要ないけれど、細かいことをいえばフグが食べたがるのは内臓なので、フグを寄せるために内臓側が外側になるようにして付けるといいらしいよ。※先に食われちゃうので内臓は内側にすべきという説もある。
アオヤギの追加分は船の上でも買えます。持参したイカゲソを併用している人もいました。
こんな感じですかね。もっとたっぷりつけてもいいかも。
ショウサイフグの釣り方
釣り方はシンプル。まず海底まで仕掛けを落とし、少し巻いて底を切り、アタリがあったら大きく、ではなくて、仕掛けの全長プラスアルファくらいだけ(アルファタックルだけに)竿先をスッとあげてやる。
あまり派手に大きくあわせると、フグが散ってしまうのでよくないそうだ。
やっぱり専用竿っていいな。
初めての人は船の中央が船長から近いし揺れが小さいのでオススメ。ちなみに北風だと右舷側が日向になってあったかいよ。
なんて理屈ではわかっているんだけれど、風がビュービューと吹いて波がバッサンバッサンと襲ってくる状況でフグの繊細なアタリなんてわかるのかね。でも隣の人がさっさと釣ったので、とりあえずフグはいるらしい。
よくこんな状況で釣れますね。
しばらくはカットウ釣りにおけるショウサイフグのアタリがどんなものかを見定める時間が続いたのだが、突然あわせてもいないのに、いきなりドスンと仕掛けをひったくられた。
なんだなんだこの強烈な引き、これは30センチオーバーのショウサイフグか、あるいはまさかのトラフグか、はたまた大きなヒラメがきたかとドキドキしたが、ビューンビューンと走り回る様子は明らかに青物。
針に掛かったのはまさかのイナダ。網ですくおうとすると針が外れそうな気がしたので、というかわざわざ網を出してもらうのもなんだか悪いので、そのまま一気に引き抜いてしまった。穂先以外が曲がらない竿なのでごぼう抜きがとてもやりやすいな。
どういうタイミングでイナダの背中に、海底を揺らめくカットウの針が刺さったんだろう。
ええと、なに釣りにきたんだっけな。
うん、カットウ竿は穂先が繊細だから折れやすいと聞いたが、とりあえずこの竿はイナダをぶっこ抜いても大丈夫なくらい丈夫だということがよくわかった(マネしないでください)。
一匹釣れると、どういう釣りかがわかった
さて最初の一匹目がカットウ釣りなのにイナダというマニアックな展開で始まったショウサイフグ釣り。相変わらず海の状況はあまりよくないけれど、それでも船の揺れに合わせて竿先を上下させ、仕掛けがあまり動かないようにがんばっていると、クックパッド、いやククっとグッと竿先が引っ張られるようなアタリが感じられた。そしてすぐに今度はフルフルと揺れるような違和感。さらにコツコツっとくるカワハギ的なアタリ。
おおアタリがある!なんて感動をしていないで、合わせを入れない限りこの釣りは釣れないんだった(イナダは釣れたけど)。スッと仕掛けの長さプラスアルファ分だけ(アルファタックルだけにっていうのはさっき書いたか)竿先を上げようとしたところ、あわせた瞬間にグッと重くなった。この感じ、中錘を使ったアオリイカ釣りの乗り方に似ているかな。こういうの好き。
そのまま竿を少し立てながらリールをすぐに巻き、糸が弛まないようにして一気に抜き上げる。よし、本命のショウサイフグだ。
普通の釣りだとスレだけれど、カットウ釣りなのでこれで正解。アオヤギがずいぶん減っているな。
小さめながら一匹釣れたことで、この釣りがどういうものなのかがようやく実体験として理解できた気がする。
竿先に集中していろいろな形であらわれるアタリを感じ、すぐさまスッと優しくしなやかに合わせを入れてフグを引っ掛けて(無理やり引っ掛けるというよりも、スッとハリですくいあげるというニュアンスかも)、相手に抵抗する隙を与えずに抜き上げる。アタリは多少船が揺れていても、慣れれば全然問題なくキャッチできる。
カットウ釣りだけど、口に掛るとなんとなく嬉しい。
どれだけアタリをとれるかが勝負の釣りなので、ゲーム性がとても高い。カワハギ釣りのようにベラなどの外道に悩まされることもほとんどないし、何度かアタリを逃してもすぐにエサが丸坊主ということもないので、面倒くさいことが少なく、純粋にあわせて釣りあげるということに集中ができる。
針が引っ掛かった場所によって感じる引きが違うので、水面までサイズが読めないというのもおもしろい。なんだ、カットウ釣り、楽しいじゃないか。
アベレージは20センチ前後と、まだちょっと小さいかな。
食わせ釣りのショウサイフグだと一瞬でも合わせが遅れると釣れないが、カットウの場合は「あ、今エサを離した!」っていうタイミングで合わせても、まあまあ釣れてしまうアバウトさがある。
この日は群れを見つけてからは一度も船を移動させる必要がないほど絶好調。定期的に空合わせを入れる方法もあるが、今日の私はアタリをとることだけに集中して、どんどんと釣果を伸ばすことができた。アタリをとる釣りって、やっぱり絶対おもしろい。
フグがもし掛かるのならば、合わせた瞬間にハリが刺さるので、慣れてくるにつれて合わせの幅が狭くなっていくため、魚を散らすことが減る。そのだんだんと力が抜けていく感じが「俺、上達したんじゃない?」という気分を味わわせてくれるのがいい。
カットウ仕掛けの上に、食わせ針を一本出した仕掛けでダブルを達成。
富士山がみえました(腹の皮がそう見えただけ)。
フグに噛まれたところで竿を変えてみる
しかし楽しいばかりがフグ釣りではない。フグに刺さった針を外そうとしたら、人差し指と中指の付け根部分がフグの口元にきてしまい、思いっきり噛まれてしまった。イタイイタイイタイイタイイタイ。長めのプライヤーを持っていこうね。
丸くしっかりと歯型がついてしまったじゃないか。
痛いったら痛い。ギリギリ血こそでなかったけれど、いまだにくっきりと歯型と痛みの記憶が残っている。私が水泳選手だったら水かきが小さくなってタイムが落ちるところだったぜ。
カットウ釣りって「ハリを体に刺して釣るのがなんだかかわいそうだな」とちょっとだけ思っていたのだが、このフグの反撃で吹っ切れた気がする。ということで竿をスーパーライトフグカットウ150にグレードアップ。
実はアルファタックルさんから二本借りてきていたのだ。
チタンフレーム採用で95グラムと超軽量なのだ。
リールをつけずに竿だけで持つと、重心がどこにあるんだかわからなくなるほどに軽い竿。さっきまでの夢人と比べて一万円くらい高いだけあって、竿を持つ手に伝わってくるアタリ(手感度っていうやつですか)がよりはっきりしていて、明らかに釣っていて楽しい。なんだこの伝達される情報量の多さ。いや、さっきの竿でも十分釣れるんだけどね。
ずっと手持ちで頻繁にあわせる釣りなので、竿の軽さと感度が釣りやすさに直結している。夢人だけを使っていたらそれで十分満足していたと思うけれど、一度さらにいい竿を使うと、もう元の竿には戻れないね。……こうやって釣り人は貧乏になっていく訳だな。
お、ちょっといいサイズ。
今日は一人で来たので自分撮り。本当に私が釣っていますという証明写真。
いつもだと私が釣りがちのエイ(サカタザメかな?)も、今日は隣の人が引きうけてくれたみたい。二匹も釣っていたぞ。
昨日の強風で逆にフグが一か所に集まったのがよかったみたいで、普通だったら日が昇ってくると釣果が落ちてきそうなものだけど、この日は好調を維持したまま釣れ続け、私を含めて何人かが80匹という大原の定量になって10時過ぎに早上がり。一度も根がかりがなかったので、仕掛け交換がゼロというのもすごいね。
「やばい、俺ってショウサイフグ釣りの才能があるかも」って錯覚しそうだけれど、この日は裾で59匹と全員が絶好調。本当にいい夢を見させていただきました。は、夢人!
オケにいっぱいのフグ。オラこんな経験初めてだ。
フグは処理をしてもらえます
釣りに詳しくない人にフグ釣りへいくというと「毒は大丈夫なの?」とよく聞かれるが、フグの乗合船ではフグ処理の資格を持った船長達が食べられる身だけにした状態で持ち帰らせてくれるので、ちゃんと指示に従えば毒にあたる心配はまずない。
船宿側に捌いてもらえるから、普通の魚と違って台所が内臓や鱗で汚れることもないし、なんといっても天下のフグなので、家に帰ってからも楽しめる釣りなんだな。
釣る側は楽しかったけれど、処理する側は大変そうだ。
最後にちょっとしたお弁当がもらえました。卵焼きで巻いたお寿司がうまかった。千葉らしいね。
ショウサイフグはちょっと水分が多いので、キッチンペーパーなどに包んで冷蔵庫で寝かせてから刺身にするといいよ。まあ好みだけどね。
一夜干しもオススメ。でもヒレは微毒があるので食べちゃだめだよ。一番おいしかったのは、市販のから揚げ粉をまぶして揚げたから揚げだったりする。
ちょっと重いカットウでの外房スタイルのショウサイフグ釣り、初めてやったけれどおすすめです。まあ東京湾でのシビアなエサ釣りも好きなんだけどね!
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