電車でいけるお気楽マダコ釣りにチャレンジ!/鶴見 新明丸
ほぼ手ぶらでOK!電車でいけるお気楽なマダコ釣り
船釣りの世界は朝がとっても早い上に、車がないとなかなか辿りつけない場所にある船宿も多いのだが、探せば東京近郊で駅から近い場所もいくつかあるもの。そういうところは電車組を考慮して、出船時間が7時とか7時半とか釣り船としては遅めなので、始発電車に乗れば間に合うようなところも多い。
今回はそんなシティ派の船宿の中から、JR鶴見駅&京急鶴見駅から徒歩7分くらいのところにある新明丸さんへとやってきた。ここの出船は7時半なので、埼玉にある我が家からでも余裕でセーフだ。
狙うのはこれからが本格シーズのタコ。マダコである。タコ釣りは道具がとても少ないので(竿やリールすら不要)、バッグ1つ分の荷物で十分という、電車釣行と相性の良い釣りものなのだ。バッグを肩に掛ければ、両手が空くから「ほぼ手ぶら」といっても差し支えない。
荷物といえば、この日は持ってくるのを忘れたけれど、釣具屋などで買えるタコ用のネットや大きめの洗濯用ネットを持っていかないと、釣れたタコにすぐ逃げられちゃうよ。たくさん釣れる釣りでもないので、お持ち帰りはクーラーボックスではなくクーラーバッグで十分。
ほら、だんだんとタコ釣りに行きたくなってきたでしょう。
テンヤで釣るマダコの釣り方
船から狙うマダコ釣りはとても独特な釣り方で、なんと竿もリールも使わない。使うのは糸巻に巻かれた丈夫な糸と、カニを乗せるテンヤのみ。
他のどんな釣りとも似ていない釣りなので、はじめての人は必ず船長から釣り方を聞いておこう。
マダコの釣り方は至ってシンプル。カニを縛り付けたテンヤを海底まで落とし、手の動きでヒョコヒョコと小突いて、岩陰などに潜むマダコが抱き着くのを待ち、一気に糸を手繰り寄せるという流れ。
「釣り」というよりは、どちらかというと「罠」という言葉がしっくりくるような、気軽にチャレンジできる体験型アドベンチャーなのである。
とまあ、こんな感じ。
これが文字通りの机上の空論に終わるのか、あるいは実際に釣れるかは、己の腕と運次第。
ちなみに取材日は6/27(土)で、下船してから船長に聞いて知ったのだが、神奈川の小柴沖などのポイントが解禁になる7月を目前にした、タコ釣りの一番厳しいタイミングだったみたい。それを踏まえて読んでくださいね。
カニの付け方
テンヤにカニをつける方法は、白いお腹側を上にして輪ゴムでぐるぐると巻きつけるというもの。細かい部分は人によって違うようだが、カニの位置はオモリ側の端に合わせて、ハリ側には少しスペースを開けておくことがポイントだとか。
普通の釣りと違って、エサは一度付けたら一日中つけっぱなしの釣りなので、船長や常連さんにやってもらってもいいと思う。輪ゴムは太くて大きいタイプを持参しましょう。もし忘れたら船長からもらってください。
まずは近場のポイントから
記事の前編でも書いたのだが、タコ釣りは7月になると神奈川の各ポイントが解禁になって釣りやすくもなるのだろうが、この日は6月末というタコ釣りにはなかなか厳しいタイミング。
そもそもがたくさん釣れるターゲットではないので、食べ頃サイズが一匹でも釣れれば御の字というところだろうか。
とかいって、やってみたらすぐ釣れちゃって……なんて思っていたのだが、やっぱりなかなか厳しいスタートとなったのよ。
ついつい「マダコだけに、まだこない」なんていう愚痴を言ってしまう展開っす。
ところでトルコ石を英語で何というか知っているかい?ターコイズだよ、そしてここにはタコが居ず。
私は4年振り2度目のタコ釣りで前回の記憶はほぼ無く、同行のオカダさんはまったくの初体験。クイクイと指先で糸を動かしてテンヤをアピールさせるのだが、たまにテンヤが動かなくなってドキドキしても、根掛かりばかりで釣果ゼロ。外道がない釣りなので、やる気を持続させるのが最大のコツかもね。
うーん、タコがテンヤを抑え込むというアタリがどうにもイメージできない。というか、こんな原始的な仕掛けでタコって本当に釣れるんだろうか。
ワールドカップの勝敗を当てるほど賢いと言われたタコである。明らかに罠とわかるこの仕掛けに食いついてくるのかなーって思っていたら、隣の師匠が一気に糸を手繰り出した!
師匠に釣り方を聞いてみた
さすがは師匠。ちょっと小振りではあるものの、乗りの悪い状況にもかかわらず本命のマダコをしっかりとキャッチ。
こりゃ師匠の釣り方をマネするのが釣果への近道ということで、隣でじーっと見させていただいたのだが、ちょっと手つきが普通と違うような気がする。そして糸の出る角度も他の人と違って真下を向いている。
これはきっとなにか特別なコツがあるんだろうということで、その釣り方を詳しく教えていただくことにした。
私はテンヤをべったり底に付けて、オモリ部分がちょっと持ち上がる程度にヒョコヒョコと誘うイメージでやっていたのだが、師匠はそれより少し高い位置でテンヤをキープし、たまに底をとりなおすという釣り方だった。この方が根掛かりの可能性が低くなるし、タコからカニが発見しやすいということなのだろう。
根掛かりの多い場所では、テンヤを完全に底から浮かすこともあるそうだが、それでもタコはちゃんと飛びついてくるらしい。
なるほど、なるほど。話を聞けば聞くほど、確かに師匠の釣り方は理にかなっている気がする。マゴチ釣りのようなタナの取り直し方も、きっと誘いのうちなのだろう。
もちろん状況によって釣れる釣り方というのは変わってくるのだろうが、今日は師匠の釣り方で師匠が釣っているのだから、きっとそれが正解だ。さっそく我々もその釣り方をマネさせていただこう。
後半戦は竹岡沖で大物狙い
師匠に釣り方を教えてもらったから簡単に釣れました、というほど今日のタコ釣りは簡単なものではなかった。しばらく修行の時間が続き、船は大きく移動して竹岡沖と呼ばれる千葉寄りのポイントへ。
ここはさっきの岸寄りのポイントよりは大物の可能性が高いらしく、さっそく師匠は一回り大きいテンヤに交換している。カニもイシガニから大きなタラバガニに変更……というのはウソだ。
今日は千葉のタコもご機嫌が悪いようで、この場所もなかなかアタリがなく重い空気が船上を包んでいたのだが、その均衡を破ったのはまさかのオカダさんだった。
タコ釣りの取り込みは抜きあげが基本だが、念のためにと師匠がタモ網を持ってスタンバイ。
しばらくして上がってきたのは、本命のナイスなタコ! 水中からタコが上がってくるという違和感がすごい。魚の何倍もインパクトがある登場シーンだ。
だがテンヤのハリがしっかりとタコの体に刺さっていなかったようで、水面付近でそそくさと脱走をはじめた!
だがそれを師匠がタモですばやくキャッチ!ナイスフォロー!
続いて私にもタコっぽいアタリが到来!
やったぜ、オカダカメラマン。あまりにも釣れないから取材がボツになるかもと不安になっていたところでのナイスキャッチ。やっぱりやる時はやる男だなと感心していたら、すぐに私のテンヤにも異変が訪れた。
ビーチサンダルのカカトを踏まれたような感じで、ヒョイヒョイと動かしていたテンヤが止まったのだ。
なるほど、今までに何度もあったゴミや岩が引っかかった感触とは全く違う、唐突な抑え込み。これはきっとタコだろう。恐る恐る数秒誘い続け、そろそろだろうと思ったところで右手を下に伸ばして糸を掴み、グイッと大きく持ち上げて合わせる。
はい来た、絶対来たね。この重さはきっとタコ。さらにグイッ、グイッっとダメ押しの合わせを入れ、糸を船べりにつけて素早く手繰り寄せる。この辺りは何度もイメトレをしておいた成果がでているはず!お願いだからバレないで!きっとオレはやればできる子!
師匠にタモですくってもらったタコは、さきほどオカダ先生が釣り上げたのとほぼ同じサイズのナイスなタコ。これでタコ焼き何個分だろう。足を一本ずつ食べても一週間はタコ充の生活ができる大きさだ。
しかし東京湾に潜むタコはこんなものではなかった。この後に師匠がぶっこ抜いたタコは、我々が釣ったものの軽く2倍はあるナイスサイズ。迫力が全く違う大物だった。さすがである。
そしてオカダさんが2匹目をゲット!
この日はなかなか渋い展開だったものの、どうにか二人ともタコをゲットして取材になったし、師匠が大物を釣り上げたので浪漫も伝わることだろう。
7月からのベストシーズンになったらまたこようかな~なんてぼんやりと思っていたら、なんとオカダさんにまたヒット。タコ釣りがはじめてとは思えない似合いっぷりで、円熟の漁師のように糸を手繰り寄せていく。
ということで、オカダ先生の笑顔で終わったタコ釣り。めでたし、めでたしである。
アタリの数が多い釣りではないので(丸一日アタリなしっていうこともいるかも)、好き嫌いの分かれる釣りになると思うけれど、道具のシンプルさ、釣り方の独自性、タコが放つ独特の存在感など、この釣りでしか味わえない魅力も多い。
また江戸前のタコは当然うまく、タウリンたっぷりなので夏バテの予防や解消にも最適。
ということで、タコ釣りで程よく疲れた体を、タコを食べて癒してみてはいかがでしょーか!
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