東京湾のライトタックルアジ五目釣り/江戸川放水路 伊藤遊船
久しぶりの沖釣りはライトタックルアジ五目
最近どう?みんな、リール巻いてる?
はい、大変ご無沙汰していたゆるゆる釣り部の沖釣りシリーズですが、今回は初心に戻ってのライトタックルのアジ釣りです。どの辺が初心なのかよくわかりませんが、夏にうまい魚といえばアジでしょう。しかもただのアジ釣りではなく、ライトでなおかつアジ五目というところがポイントですよ。どの辺が五目なのかは後編で説明します。
ライトタックルのアジ釣りというのは、ヘビーなタックルじゃないということ。そのままですね。このあたり、知っている人は読み飛ばしてください。要するに、軽いオモリと細い糸を使ったライトなアジ釣り。普通のアジ釣りが130号とかのオモリ(ビシ)を使うのに対して、伊藤遊船のライトアジはたったの30号。たったの、ってこうやって使う言葉だったかな。
レスリングでいったら、男子120kg級に対して、女子48キロ級くらい階級に違いがある訳ですよ。小原選手、金メダルおめでとうございます(今、中継を見ながら書いています)。もちろんどっちの試合、じゃなくて釣りもおもしろいけれど、今日は電動リールを使った通常のビシアジ釣りではなく、手巻きのライトアジをやりたい気分。ほら、オリンピックのシーズンくらいは、ちょっとだけスポーツっぽいことをしたくなるじゃないですか。
ということで、目指せ、30センチオーバーの金メダイ!じゃなくて、金アジ(浅場にいる脂の乗った金色のアジのこと)!
海風を感じながら起床から三時間後の二度寝を1時間ほど楽しんで目を覚ますと、そこには見慣れたアクアラインに掛かる橋、かと思ったら、振り向けば横浜ベイブリッジだった。
どうやら今日の釣り場は、横浜らしい。思えば遠くへきたもんだ~っと。
ライトタックルアジの釣り方
ライトタックルアジの竿は、1.8メートル前後で、オモリ30号が無理なく使える7:3~6:4調子くらいですかね。
ヘニャヘニャとよく曲がる竿は、見た目的に大物が釣れた感がして気持ちがいい。そして口の弱いアジがばれにくいという利点があるのかな。
MAGICAL☆ONEみたいな胴の部分が固い竿はというと、思ったとおりに竿が動くのでコマセを出しやすく、アタリがダイレクトに手へと伝わってくるので、魚が掛かった感じがわかりやすいようです。ということで、お好みで好きな竿を使ってください。
リールはPE1号を巻いた小型両軸で、先糸としてフロロカーボン5号くらいを1.5メートルくらい付けておくと、仕掛けが道糸に絡むトラブルが減るし、テンビンとの接続部分がブチっと切れる絶望感を味わうことも少なくなるはず。
よくわからなかったら、船宿で竿とリールのレンタルがあるので、一回それを使ってみて、感じを掴むのが手っ取り早いと思います。
仕掛けは、天秤とオモリの付いたカゴ(ビシといいます)が無料で借りられるので、それをスナップ付きサルカンを介して道糸とつなぎ、市販のビシアジ用仕掛けをぶら下げるだけ。仕掛けと天秤の間にクッションゴムを付けたり付けなかったり。竿が柔らかかったらいらないかな。
船長の話によると、仕掛けはライト用の短いものより通常のビシアジ用がいいそうで、伊藤遊船で販売している仕掛けは、ハリス2号全長2メートルの3本バリ。この仕掛けは船の上でも買えるので、絡んだりハリスがヘロヘロになったら、無理に直そうとして船酔いをする前に、さっさと新しくするのがオススメ。でももったいなくて、ついつい粘っちゃうんですよね。で、結局新しいのにするという時間の無駄。
なんていう感じで、記事用の写真を撮りながらのんびり準備をしていたら、いきなり隣のマジカルな竿を使っているマジカルさんがアジを釣りあげているし。しかもデカくないですか、それ。
どうやらいきなり活性の高い群れに当たったらしく、船中でバタバタと釣れ出したようだ。あわわ。
わーわーわー。アジ釣りは釣れている時間にどれだけ釣るかが肝。このラッシュが終わる前に釣らねばと、ようやく仕掛けを投入。
水深は20メートル前後。ビシを海底まで落としたら、糸ふけをとって1メートルほど巻き、竿をするどく振ってコマセのイワシミンチを出す。シュッシュっと。そして50センチほど巻いて、エサがコマセの煙幕の中を漂う感じにして、底付近を泳いでいるアジを狙う。
狙うタナは、ビシの位置で海底から1~3メートル前後。その日の潮の早さとアジの遊泳層次第で調整するのがコツ。まあ船長が指示してくれるので、それに合わせればいいんだけれど。ちなみにこの日は底狙いがいいみたい。
何度かコマセを振ってもアタリがないようなら、仕掛けを巻きあげて入れ直しなのだが、この日は一投目からアタリが来た!
なにこの仕掛けをひったくるようなズドンとくる引きは。ワラサでも釣っているみたいな竿の曲がりっぷりと手ごたえ。っていうのはオーバーだけど、アジってこんなにパワフルだったっけと驚く引きの強さ。仕掛けの軽いライトタックル、やっぱり楽しい。
久しぶりのアジ釣りで取りこみ方をすっかり忘れていて、ビシを浮かせた状態でハリスを手繰ろうとして、ビシがブランブランと目の前を動いてしまって危ないという初心者っぽいプレーをしつつも、どうにか抜き上げに成功。なかなかのサイズのアジですよ。
ポンポンとアジを釣っているうちに、ようやく正しい取りこみ方を思い出してきた。というか、周りを見て気がついた。
まずビシが水面にくるくらいまで巻いたら竿先を上げてビシを掴み、竿を後ろに下げて船べりに置いてから、ハリスを手繰るのがやりやすいっぽい。うん、これだ。
アジ釣りで一番難しいのがこの抜きあげる作業。アジは口がとても弱く、強く引っ張れば口が切れるし、ハリスを緩めれば広がった針穴から簡単に針が外れてしまう。
適度なテンションを保ちつつ、リズムよくフワッと抜きあげなければならないのだが、大きいアジの時こそ失敗するんだよね。まあアジが重いから仕方がないんだけれど。
アジは大きさと口の強さが比例していないらしく、掛かった場所によっては簡単に切れるんだな。あー、ちくしょう。
このミスを防ぐ方法は簡単で、大きいなと思ったら無理をしないで、船に用意してある網で掬えばいいだけ。自分で掬ってもいいし、船長を呼んでもいい。
ただ、アジを上手に網へと誘導するのが結構難しかったり、仕掛けが網に絡んだりして手返しが悪くなるので、誰も網を使っていないんだよね。常連さんにいわせると、網を使っちゃったらアジ釣りはつまらないんだって。
確かに取り込む時が一番緊張感があるし、ゲーセンでのUFOキャッチャーか、夜店での水風船釣りでもやっているみたいで楽しいんだけどね。
アジ狙いから五目狙いへ
いい感じでナイスサイズが釣れていたライトタックルアジ釣りだが、12時の干潮が近づくにつれて潮が止まり、アタリが少なくなってきてしまった。
普通のアジ釣りだったら、ここはじっくり我慢の時、あるいはお昼寝タイムとなるのだが、ライトタックルアジ五目を名乗る伊藤遊船では、このアジがなかなか釣れない時間に根周りを攻め、五目釣りを楽しむことができるのだ。
ここで釣れる魚は、メバル、カサゴといった根魚がメインで、潮が止まっていても根周りならアジが釣れたりもする。仕掛けや釣り方は基本的にアジ狙いと一緒だが、根掛かりしないように、底まで落としたらすぐに1メートルほど巻きあげるようにとの指示あり。
お好みでエサのアオイソメを大きめにしたり、サバの切り身などを使ってみてもいいかもね。
この船はもちろんアジ狙いがメインなので、アジが釣れ続けていたらアジを狙うし、アジが全然ダメな日はずっと根周りを攻めることも。そのあたりは船長が臨機応変に対応するそうなので、こちらも臨機応変に楽しみましょう。
アジ釣りのおまけみたいな五目狙いなのだが、これが結構侮れない。潮止まりの時間とはいえ、ナイスサイズのカサゴやメバルがポロポロ釣れるし、その存在を忘れかけていたアジが釣れることもある。釣り道具が増えるということもないし、いいですね、このシステム。
まあ、私が釣れたのは、リリースサイズのカサゴに中型メバル、そしてコノシロにキスなんだけど。でも、これでアジと合わせて五目達成なのである。
そしてまたきたアジタイム!
五目釣りで潮止まりの時間を有効に遊んだあとは、再びアジを求めて船は出発。しばらくは群れを見つけるもアジの食いっ気が全然なく空振りの連続だったのだが、今日はもうこれまでかと思ったところで、午前中よりもナイスバディなアジと遭遇。このあたりの午前・午後に渡る攻防は、半日船では味わいつくせない喜びですかね。
入れ食いというほどではないのだが、仕掛けを沈め、コマセを振って、棚をしっかりキープして待っていると、ちゃんとナイスなアジが食ってくるのだ。これこれ、これくらいの釣れ加減が一番好き。
水深は20メートル程。こういう浅場で釣れるのは、脂のたっぷりと乗った金色のアジ。しかも旬である夏の30センチクラスとなれば、超美味なのは間違いなし。いやー、やっぱり来てよかった。
釣れた数でいえば25匹(竿頭は45匹!)とそこそこかもしれないが、サイズがいいので大満足。念のためにと30リットルの大きめクーラーボックスを持ってきたのだが、しっかりと役に立ってくれたようだ。
さて釣ってきたアジは、歯ごたえよりも旨みを重視するのであれば、釣ったその日に食べるよりも、1日か2日くらい、蔵庫のチルドルームで寝かせてから食べるのが個人的にはオススメ。もちろん腐らせちゃったらダメだけど。
刺身、ナメロウ、干物など、この時期の脂の乗ったアジならば、なにを作っても美味しいですよ。