仕立て船でマゴチ釣りの再挑戦に成功!/田村ボート
※掲載終了の「@niftyつり」から2010年5月16日の「ゆるゆる釣り部」釣行記を一部修正して移植しました。古い情報です。前回から2週間後の再挑戦ですね。本当にリベンジ成功したのか、きれいさっぱり忘れていました。読み返したら、すごく釣りに行きたくなりました。
今日こそはマゴチを釣ってやる
二週間前に千葉県の内房にある岩井高崎港から仕立て船でマゴチを狙い、私にとっては七年越しの夢であったマゴチをタモ入れまで成功しておいて逃げられるという、釣りバカ日誌のワンシーンみたいな失態をさらしてしまった。詳しくは「仕立て船でアオリイカ&キス&ヒラメマゴチリレー/田村ボート」を参照ください。
それからしばらく、そのシーンの再現VTRを脳内で正確に再生できるくらいに悔しかった。ムキー。
この悔しさを晴らすには、喜びで記憶を上書きするのが一番である。それしかない。ということで、今度は自ら幹事となってメンバーを集め(といっても前回とほぼ同じメンバー)、また同じ仕立て船でのマゴチ釣りに挑んでみた。このメンバーは私がマゴチを釣るまで何度でも付き合わされるから覚悟するように。
今回はイワシの泳がせがメインなので、一人千円分のイワシを購入。エサ切れは絶対に避けたい。
今回の参加メンバーは6人。船の座席は公平にアミダくじで1番を引いた人から選ぶことになり、2番を引いた私は左舷の真ん中へ。普通はだいたい大艫から埋まっていくものだが、真ん中の席はエサとなるイワシを入れた生簀が近いのだ。そういうズボラな考えだからマゴチが七年間も釣れないんだよねー。
でも今日は釣りに対する考え方が同じレベルのメンバーばかりという心強い布陣なので、アミダの5番、6番が大艫(一番後ろの釣りやすい席で普通は一番人気)の生簀が遠い席となった。
アミダくじってなつかしいね。
マゴチのついでに一つテンヤもリベンジしておきたい
前回はまずアオリイカ狙いから始めたが、今回は最初からイワシの泳がせでのヒラメ・マゴチ狙い。なぜなら私が幹事だから。
アオリイカはビギナーズラックで二杯も釣ることができたので、いい思い出だけを心のアルバムに残し、勝ち逃げさせていただくこととする。
前回と同じ船長を指名させていただいた。
今日こそはマゴチが釣れるはずと思い続けて早七年。その間に脂肪を10キロ蓄えたぜ。
今回の目的はマゴチのリベンジなのだが、実はもう一つリベンジしなければならないものがある。それは一つテンヤ。波崎での一つテンヤ真鯛釣り大会でショウサイフグ一匹という切なすぎる釣果だったので(切ないのでnoteにその記事は転載しません)、ついでにそのリベンジもしてやろうじゃないか。二兎追うものは一兎も得ずだ。うん、ことわざの使い方が間違っているな。
一つテンヤのリベンジといっても、エビを餌にマダイを釣るのではなく、一つテンヤにイワシをつけて、マゴチを釣ってやろうという魂胆である。この海はマゴチの魚影が濃いのは間違いないので、うまく誘ってやれば活きイワシ以上に食ってくるのではないだろうか。
これをイワシの泳がせと並行してやるのである。泳がせのイワシが死んだらテンヤに流用可能なのがポイントだ。
普通は冷凍エビをつけるテンヤに無理やりイワシを刺す。針の付け方ってこれでいいのかな。
竿は長いと釣りづらいのでキス用にしてみた。
この一つテンヤという秘密兵器に加え、モチベーション的な部分で私の特エサを持ってきた。それはコンビニで購入した極上ロール。こういう甘いの好きなんだ。
3つのヒミツってなんだろう。
いつもマゴチが釣れないのは、集中力が最後まで続かないからではとの自己診断から、「マゴチが釣れるまでこのロールケーキを食べない」というルールを設けることにしたのだ。どうだ。どうだっていわれても困ると思うが、どうだ。
イワシ餌の一つテンヤでマゴチを釣りたい、そして3つの秘密があるロールケーキを食べたいという欲望。この二つのケミストリーが俺にマゴチを釣らせるのだ。きっときっと。
今日はマルイカの気配が濃い
まずはみんなイワシの泳がせをセッティングしつつも、もう一本竿を出して好き勝手なことをやるのだが、私はもちろん一つテンヤで、他の人はアオリイカのポイントではないのを知りながらエギをシャクっている。どうやらみんなにとってはアオリイカこそがリベンジすべき相手らしい。なんかごめんな。
そして釣り始めてすぐ、アミダで負けて右舷の大艫で釣っていたSさんが、でかいマルイカをエギでゲット。私が前に釣ったこのエギくらいのマルイカとは大違いの大きさだ。これが弁慶サイズっていうやつなのかな。
うらやましさから「それをエサにして大物を釣るんだ!」というヤジが飛びまくる。もちろん中心になってヤジを飛ばしているのは私だ。
そして別の人にはイワシの泳がせ仕掛けにマルイカが抱きついてきた。しかしこれは針がかりしていないのでタモ入れ寸前にプシューっと逃亡。イカを網ですくうときは、足側からではなく頭側じゃないとダメだということを学習。
この距離までは近づくのだが、なかなかタモには入らない。タモはギリギリまで海中に沈めずに(イカが驚いて逃げる)、射程距離に入ったら頭側から一気にすくうと良いみたい。
マルイカ、いいなぁ。今日の狙いはあくまでマゴチなのだが、こうなってくるとまだ実績のない一つテンヤイワシを外して、実績のあるアオリーQマーブルサクラダイのエギをつけてイカを狙いたくなってくる。しかし我慢我慢。狙うはマゴチ。ここでマゴチ狙いからイカ狙いに浮気をしたりするから本命に振られるんだよなと脳内で葛藤していたら、竿先がモタっと重くなった。
この感じはイカに間違いない。イカがイワシを離さないようにゆっくりとリールを巻きながら、隣の人に「イカです!タモを持って潮先にまわって、頭からすくってくださいね!」とハキハキと指示を出す。
そして上がってきたのは、ちょうど弁慶サイズのマルイカくらいある海藻だった。あー、恥ずかしい。
かまえてもらったタモが虚しい。
そしてマゴチが釣れ出した
結局イカはSさんが釣った最初の一杯だけだったのだが、すぐに本命であるマゴチやヒラメが釣れだした。最初に釣りあげたのは、右舷ミヨシで釣っていたIさん。イワシの泳がせでマゴチとヒラメを次々にゲット。
この人、マゴチをいつも簡単に釣るんだよね。
ヒラメもいいなあ。
よし次は俺の番だろうと一つテンヤを叩いたりシャクったり引きづったりして自己流で誘っていたら、待望の初アタリがきた! 置き竿のイワシ泳がせの方に。竿を持ち替えて食い込みを待つのだが、いくら待ってもガツンとくるアタリがない。
このまま待っていたら沖上がりの時間を迎えそうなので(6時間先だけど)、イワシを離しちゃったかなと思いつつ一応あわせてみると微妙に重い。はい、前回と同じくマトウダイでした。しかもサイズダウン!
なぜか俺だけマトウダイが釣れる。ナイスガイだからだろうか。
それにしてもいい海だ。あの辺りに家が欲しい。
ナブラがたったらすぐ投げようとルアーも用意していたけれど、
この日は残念ながら出番なし。
一つテンヤでまさかの大物ゲット!
さて一つテンヤでマゴチを狙って三時間。いまだ一度もアタリなし。周りではマゴチやらヒラメやらエソやらがポツポツと釣れているので、魚がいないっていうことはないはず。問題があるとすれば、それは私の誘い方か。
まあでもそうだよね。私を含めて船に乗った6人全員が生きたイワシを泳がせている中で、死んだイワシを適当にピョンピョン動かしたところで、さて魚が食いつくのはどっちでしょうっていう話か。ネクロマンサーのように死んだイワシを生きたイワシ以上に操れればこの釣り方でも釣れるのだろうが、そんな技術はございませんっと。
やっぱりせっかく活きイワシがたっぷりとあるんだから、素直に泳がせで狙った方がいいかなと思いはじめたそのとき、手に伝わってきたのはテンヤを抑え込むようなどっしり系のアタリ。
このアタリなら待つ必要はないだろう。即合わせると、はいきたー。はい大物ー。
作戦通りの展開!
この手ごたえ、間違いなく大物だ。だがしかし、大物なんだけれど、なんだかニョロニョロした手ごたえ。思い出すのは以前釣った80センチオーバーのウナギや、ダブルで掛かったアナゴなどの長物系。
これはちゃんとした魚じゃないなと思いつつも、マゴチだって結構長いからやっぱりマゴチなんじゃないかとポジティブシンキングでリールを巻くが、上がってきたのはやっぱりニョロニョロ系だった。
明らかにマゴチじゃない。
南米のアナコンダかと一瞬見間違えたそれは、ナイスサイズのウツボでございました。僕が釣りたかったのはコレジャナイ。イワシを使った一つテンヤで初めて釣った獲物がウツボかよ。
人生で一番長い獲物かも。うれしくはないけれど。
釣りあげたのはいいけれど、リリースするにもどうやって針を外したらいいかわからず、キス釣りでエサのアオイソメに噛まれそうだとキャーキャー騒いでいる釣り初心者みたいに困っていたら、私の後ろで釣っていたHさんが「ウツボうまいんだよねー」といいながら、ナイフを二刀流に持ってサッと血抜きを始めた。……師匠、これはウツボを持って帰れっていうことですね。
あぶないので素人は決して真似してはいけません。生きたウツボを絞めるのは熟練者だけができる技です。
きれいに頭と内臓を取り除かれたウツボをHさんから渡され、とりあえず今日の夕飯は確保することができた。このウツボを食べた話はデイリーポータルZに書いた「ウツボはうまい」を読んでみてください。確かにうまかったです。サンキュー、Hさん。
そしてマゴチの時合いがきた!
実はかなり自信があった一つテンヤなのだが、がんばった末に釣れたのがウツボということで完全に心が折れてしまい、リールを両軸に変えてイワシの泳がせに変更。一つテンヤのリベンジはまたの機会に。もうマゴチが釣れればなんでもいいです。
最初から両方の竿でイワシを泳がせておけばよかった。
さて一本は手持ち、一本は置き竿でイワシの泳がせ二刀流をはじめたのはいいけれど、日が高くなるにつれてアタリも減り、たまにアタリはあっても歯型だけを残してサヨウナラという状況が続いた。私のイワシをキズモノにしやがって。
そう、実は私は釣りがヘタなのです。
Hさんがイワシで釣りあげたベラ。よくそのおちょぼ口でイワシを飲みこんだな。
ポイントを何度か移動をした後、船は見覚えのある富浦湾へとやってきた。富浦湾といえば、私が初めて手漕ぎボートに乗ってマゴチを狙った原点ともいえる場所。なるほど、私が初のマゴチを釣るのにこれほどピッタリの海はない。なかなか気のきいたストーリーじゃないですか。
本当は一匹目のマゴチを、ここ富浦の手漕ぎボートで釣りたかったけれどね。
どうやらこの富浦湾もそのイカしたストーリーに乗ってくれたらしく、マゴチがガンガンと当たるようになった。もちろん私以外にだが。
まずはアミダくじ五番目の左舷大艫の白帽子メガネさん(名前を聞くのを忘れたので勝手なあだ名で呼ばせていただきます)。でっぷりと太ったマゴチをアナゴ用なんじゃないかと思わせるガチガチの硬い竿で釣りあげた。
釣れる時は道具なんて、関係ないね(急に柴田恭平のモノマネで)。
続けてマルイカを釣ったSさんにはげしいアタリ。無事タモ入れをしたところで、みんなが集まって大騒ぎをしている。
なにが釣れたんだろう。
タモを覗くと、そこにはウツボとマゴチという私にとっての「現実と理想」が一緒に入っていた。どんなダブルだよ。なんでも活きイワシとサバの切り身の二本針でやっていたら、この組み合わせが釣れたのだそうだ。あいかわらず自由な人だ。
ちなみにこのウツボはHさんが喜んでもらっていった。
そしてさりげなくIさんが二本目をゲット。
みんなマゴチが釣れていいなあと思っていたら、ようやく私の竿にもガツンとヒット。すぐにあわせるとガンガンと感じるはっきりとした強い引き、これはウツボではなくちゃんとした魚だ。
今度こそマゴチでしょうと慎重に巻き上げると、茶色くてほっそりとした魚影が見えた。よし、今度こそマゴチだ!
これは絶対にマゴチ!
ついにマゴチきたーーーーー!っと思ってタモ入れしたら、エソだったりして。ぎゃふん。
ついに私もエソ師になったか。
前回の釣りでみんながエソを釣っては苦笑していた気持ちがようやくわかった。引きはしっかりとしていて大物の期待十分、魚体を水面下でぱっと見た感じはマゴチにそっくり。でもタモに入ったのはエソじゃあ苦笑もしたくなるわさ。
あまりにガッカリしたので、マゴチを釣るまで食べまいと
誓っていたロールケーキをつい食べてしまった。
三つの謎はよくわからなかったけどうまいからいいよね。
そしてまさかのマゴチゲット!
実は昨日の夜、アナゴ釣りの船に乗っていて、そのまま岩井に直行して車で仮眠をとって、この釣りに挑んでいたりする。要するにものすごい睡眠不足なのである。
どうにか睡魔と闘いながらマゴチを夢見て頑張ってきたが、さすがにもう限界。ようやくマゴチが釣れたと思ったらエソという展開に、張りつめていた緊張の糸がぷっつりと切れてしまった。別の意味でマゴチを夢みてしまいそうだ。グーグー。
おやすみなさい。いつの間に撮られたんだろ。
どれくらい寝たのだろうか。昼寝から目覚めて意識がはっきりすると、私は一匹のマゴチを釣りあげていた。えー。
とうとうマゴチ釣れちゃった。初めて釣れたからどうやって持っていいのかがわからないよ。
ええとですね、一体なにがあったのかというと、寝ている間に手持ちしていた竿にマゴチが掛かり、その引きに起こされて寝ぼけたままリールを巻き、意識がはっきりしない状態でマゴチを釣りあげてしまったんですよ。そのため、ほとんど釣っているときの記憶がないという記念すべき初マゴチってどうよ。
野生動物である魚は殺気に敏感。きっと私はマゴチを釣りたいと思う気持ちが強すぎて、それがマゴチに逃げられる原因となっていたのだろう。しかし眠ることでその殺気が消え、ようやくマゴチを手にすることができたのだ。酔拳ならぬ睡拳か。
そういえば釣りキチ三平でも、どんなに狙っても釣れなかったニジマスが、寝ている間に掛かっていたという話があった気がする。なるほど、俺も三平クラスの釣り人になったっていうことだな。
本当に俺が釣ったのだろうか。
なんだか釣った気が全然しないけれど、とにかくマゴチリベンジ無事達成でいいのかな。もしかしたら寝ている間に誰かが私の針に自分が釣ったマゴチをかけておいたのかもしれないとちょっと疑っているけれどね。
ちなみにこの日のチャンピオンは、4匹のマゴチと一匹のワニゴチを釣ったSさん。どうやらアミダくじで負けて最後に残っていた席が、この日は一番よかったみたいだね。
すべての指にコチをぶらさげての記念写真。「もちごこち」はどうですか。
これまで7年間追い続けてきたマゴチを釣ったことで、卒業式のようにちょっとした人生の節目をを迎えてしまったような、ちょっと寂しい気持ちになるかと思ったら、寝ながら釣りあげたのでまったく感傷的な気分はナシ!達成感もまるでナシ!
次はきっちりと意識のある状態で、60センチオーバーのビッグなマゴチを釣ってやるからな!
目がハートでかわいいよ。
初めて釣ったマゴチはオス。白子が最高でございました。