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あえて難しく考えない!とりあえず楽しむカワハギ釣り入門/佐島 志平丸
※掲載終了の「@niftyつり」から2015年11月06日の「ゆるゆる釣り部」釣行記を一部修正して移植しました。釣るのはちょっと難しいけれど、食べると最高においしいカワハギ釣りです。
三浦半島の西側、佐島からのカワハギ釣り
釣りには魚が掛かるものと、魚を掛けるものがある。要するに合わせなくても釣れるか、釣れないか。置き竿でも釣れるか、釣れないか。
今の時期なら、前者はアマダイ、ワラサなど。後者はイカ類、ショウサイフグあたりですかね。タイなんかはコマセ釣りなら前者、一つテンヤなら後者かな。ヒラメやタチウオは迷うところですね。
前者はどうしても運の要素が強く、初心者がベテランよりも大物を仕留めることもしばしば。後者は技術と経験がものをいう釣りなので、実力が釣果と正比例することが多い。
私は釣りに関して雑食なのでどっちの釣りも好きなのだが、今回狙うのは掛けないと釣れない魚の代表格、カワハギである。難しい釣りの代名詞であり、技術力と探究心が求められるカワハギを相手に、あえて難しく考えないで、基本中の基本だけを守って挑んでみたいと思う。なぜならカワハギ釣りが久しぶり過ぎて、すっかり忘れているからだよ。
ほら、ランニングの世界でも、フルマラソンを目指して練習をがっちりやるタイプと、運動不足解消に近所をスニーカーで走るタイプがいるじゃないですか。
カワハギは初心者が貸し竿でやってもそこそこなら釣れるし(釣れない時もありますが)、なんといっても食べるとうまい。外道を含めてアタリは多い釣りである。実際にやってみてこの釣りが気に入ったなら、道具や知識を揃えてさらにのめり込んでいけばいいだけだ。釣ればわかるさ!ダー!
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やってきたのは佐島の志平丸。ここは雰囲気が「いかにも船宿!」という感じで好きなんですよね。だからといって初心者に厳しいということは一切なく、貸竿や仕掛けの販売もやっているので、手ぶらでOKのフレンドリーな船宿です。この時期はカワハギ、アマダイ、マダイが出てますよ。
さてカワハギ釣りのエサといえばアサリ。普段からカワハギがアサリの剥き身を食べているとは思えないんだけど、カワハギ釣りのエサといえばアサリなのです。アオイソメやオキアミでも釣れますが、エサの持ちや食いの良さなど、トータルバランスで考えるとアサリなんでしょうね。
こちらの船宿には、殻付き生アサリ、剥きたての生アサリ、冷凍アサリ、塩漬けアサリと各種あり。常連さんは早めに来て、殻付きのアサリを剥いて使っているようです。
私は剥いてある生アサリと冷凍アサリを使ってみたのですが、やっぱり冷凍よりも生の方が身がしっかりしていていいかなーという感じ。ちなみに1日に使う量は2~3パック程。食いが良いほど減りが早くなるので、多めに買っておいた方が後悔は少ないかもしれません。余ったら冷凍や塩漬けにして次回の予備にするとかね。
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難しく考えない場合の仕掛けについて
カワハギ釣りは進化を続けている奥の深い釣りであり、仕掛けもこだわり出すときりがない。そこで今回は一切のこだわりを捨てて、難しく考えないことをテーマにしている。
ということで、仕掛けはもちろん市販品。難しく考えないでといいつつもちょっとだけこだわりはあって、幹糸(リーダー)にハリスが直接結んである安いタイプよりも、自動ハリス止めを介してハリスを交換できるものがオススメ(今はほとんどコレですが)。別途ハリス付きのハリを購入しておけば、フグにハリスが切られたり、針先が丸くなった時に交換ができるので経済的。
カワハギは口が固いので針先の状態が肝心で、ベテランほどハリをこまめに交換するものらしい。トーナメントに出るレベルの人だと、1匹釣れるごとに交換したり、3回エサを取られたらもう替えるのだとか。もちろん初心者はそこまでこだわる必要ないけれど、釣れなくなった時の気分転換にもなるので、たまには交換するといいかもね。
ハリとハリの間隔、またハリの大きさや形は様々だが、その辺はまあ今回は適当で。
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ハリの交換は自動ハリス止めなので、結び目のところに挟むだけととても簡単なのだが、かならず針先が上を向くように引っ掛けること。これを守らないとハリ掛かりが悪くなるよ。
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エサのアサリは、塩で軽く揉んだり、味の素をまぶしたり、専用の添加剤を用意したり、海水で洗ったり、下処理は人それぞれ。ある程度ぬめりを取った方がハリに付けやすいかな。
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ハリへの付け方もベテランに言わせればそれだけで記事一本分くらいのウンチクがあるらしいけれど、とりあえずハリが隠れるように丸く付けられればいいんじゃないでしょうか。
私はアサリのベロの硬いところから刺して、なんとなく縫うようにして、針先を肝のところに隠しています。
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仕掛けの上には中オモリや集魚版を付ける人が多いみたいです。カワハギは好奇心が旺盛なので、キラキラしたものに近づいてくるという噂です。
別になくてもいいんですが、気分的にはなにかぶら下げておきたい感じですかね。オモリもハデにいきましょうか。後述する弛ませ釣りの場合は中オモリが必須です。たぶん。
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私は細かいことにこだわらずにやっていますが、ベテランさんは形や大きさの違うハリをたくさん用意したり、オモリも状況で代えてみたりと、準備万端で挑んでいますよ。この辺りはルアー釣りに似ていますね。
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竿は先調子のカワハギ専用竿、リールはPE1号前後を巻いた小型の両軸リールを使用。なければ船宿でレンタルしてください。私の竿は確か5000円くらいで買ったやつですが、大手メーカーの超高級竿と比べたりしなければ、まあ特に不満はありません。
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難しく考えない場合の釣り方について
仕掛けを弛ませたり、オモリを浮かせて釣ったり、釣り方も様々のカワハギ釣りだが、どの釣り方が正しいかは状況次第。また誘い方も、ゆっくり持ち上げたり、そっと下ろしたり、ビンビンビンと穂先を叩くようにシェイクしたり、オモリをトントンさせたりと人それぞれ。
とりあえずは「カワハギは海底付近にいる」ということだけを頭に入れて、根掛かりをさせない程度にいろいろ試しつつ、お好きな方法をお試しください。釣れている人のマネをするというのもいいかもね。
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難しく考えないで釣ってみよう!
難しく考えないカワハギ釣りのスタートということで、とりあえず丁寧にエサをつけたら、まずは海底までオモリを沈める。いきなり根掛かりすると竿や心が折れるので、まずはちょこっと浮かせたパターンでやってみましょうか。
竿を水平状態にしたときにオモリが海底からちょっと離れるように構え、たまに竿先を上げたり下げたり。
この日の水深は15~40メートルの範囲で、もちろん手巻きリールで問題なし。
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しばらくすると、竿先がコツコツっと揺れた。「お、今のはアタリだったかな?」なんて久しぶりに会った友人の名前が出てこないみたいなリアクションをしていると、またもコツコツ。返事をするように竿先を持ち上げるが空振り。
そうそうそう、カワハギってアタリはあってもなかなかハリに掛かんないんだよねー、なんて思い出していたら、しばらくしてアタリがまったくなくなった。仕掛けをあげてみれば、エサがきれいさっぱりとられている。
うん、これこそカワハギ釣りだな。とりあえず活性が高いというのは良いことだ。
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アタリがあってもうまく掛けられずエサだけとられることもあれば、アタリさえわからずにエサがなくなることもある。「サトラレ」ならぬ「エサトラレ」(サトラレというマンガがある)な私。
エサをとられることにいちいちイラついていたらカワハギ釣りはできないけれど、イラつかないとカワハギ釣りは上手にならない。今度こそは掛けてやろうとエサの付け方を工夫したり、合わせるタイミングを変えてみたり。
難しく考えないでやろうとはしているんだけど、まあやっているといろいろ考えるもんですよ。釣りに向いている人は短気か呑気かっていう永遠の謎があるけれど、カワハギ釣りに関しては短気な人の方がいいかもしれませんね。
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無事にカワハギをゲット!
しばらくやっているとだんだんと調子が出てきて、無事にカワハギを掛けることに成功。
カツカツカツっていう独特のアタリと、キンキンキンという鉄琴みたいな引きが懐かしいね。
でもちょっと小さいかなー。
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釣れるカワハギの大きさはその日の状況次第なのだが、この日は残念ながら小型が多く、たまに良型が混ざるという感じ。船長さんは小まめに移動をしてくれるので、アタリは多く初心者でも飽きることはまったく無い。あとは大型がポーンポーンと釣れてくれればいいのだが。
数日後に船宿のサイトをチェックしたら良型がポコポコと釣れていたので、この日がたまたまそんな日だったということなんでしょう。
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周りでは小型に混ざって良型のカワハギもポツポツと上がっているのだが、私の竿にはなぜか小型と怪しげな外道ばかり。
いやでも次こそはきっと25センチオーバー、いやいや30センチオーバーだと、丁寧にエサを付けなおして何度でも挑む。もう大吉がでるまでやめないおみくじみたいなものである。わたしはカワハギの肝和えが食べたいのだ。
そのしつこさがようやく実ったのか、今度こそは大物だと確信できる手ごたえがやってきた。今日一番の大物間違いなしだなんてウキウキしながらリールを巻いたのだが、これがなかなかの外道っぷりだった。
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35センチ、45センチのハギが登場!ただし……である
膨れたキタマクラに期待を裏切られても、まあこんな時もあるよねと縁起の悪いハリを付け替えてすぐに再チャレンジ。この切り替えの早さが肝心なのである。
この日は下バリのエサから食ってくる感じだったので、まずはオモリがギリギリ底くらいを攻め、エサがいくつかとられたかなというところでタルマセに切り替え、上バリでも底を狙うという流れ。小さなアタリに合わせを入れると、ゴツン、ギンギンギンという感じの大型カワハギ独特の手ごたえ到来。これはキタマクラなんかじゃない!
オカダさんにカメラを構えてもらい、先調子の竿を大きく曲げながらリールを巻く。こりゃでかいね。カワハギってこんなにでかくなるっけなと不安になるくらいでかい。しかしこの引きはカワハギである。これはきっと30センチオーバーだな。噂の尺ハギってやつですか。
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糸がゆるむと外れやすいので、テンションを掛けたまま無理がない程度に一気に巻いて勝負をつける。
上がってきたのは、見事な35センチオーバーのハギだった!
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ガクーン。
外房の釣りではよくお世話になるウマヅラハギだが、ここまで立派なのが相模湾のカワハギ釣りで来ることもあるんだね。まさかまさかの展開だ。
まあ北陸あたりではウマヅラハギのことをカワハギって呼ぶこともあるし、これもカワハギってことでどうでしょうか。あ、だめですか、すみません。
これが本物のカワハギだったらとどうしても思ってしまうのだが、これはこれでありがたくキープさせていただきましょう。それにしてもウマヅラかー。
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しかしこの日のぬか喜び騒ぎはこれだけではなかった。水深40メートル程の深場を攻めている時である。船長の「あげてくださーい」の合図で仕掛けを上げようとすると、なにやら重いのだ。
こりゃ根掛かりしたかなと焦ったのだが、じんわりとだが上がってくる。そしてグググンと引いてきた。
うわー、魚だ。さっきのウマヅラよりもさらにでかい!
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これはやばいね。カワハギだったら日本記録クラスの超大物なのだが、さすがにここまで引くのはカワハギじゃないかな。ギッチギチに締めたはずのドラグなのだが、それでも少し糸が引っ張り出される。
うーん、サバかな。いや、イナダかワラサか。でもまあサメかお得意のエイかな。ははは、どうもろくな名前が思い浮かばない。
ここはポジティブにマダイ、アマダイ、イトヨリダイ、イシダイ、そんな予想をしておこう。ヒラメのスレ掛かりっていう線もあるな。
そんなこんなでグリグリグリと重いハンドルを巻くと、なにやらグレーの珍しい魚が上がってきた!
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ハギはハギでも、カワハギでもなく、ウマヅラハギでもなく、もちろん追いはぎでも、おはぎでも、おぎやはぎでもなく、まさかのウスバハギである。
こいつはたまーに掛かることがあるけれど、だいたい水面付近まできてバレるので、釣り上げたのは15年振りくらいかな。鹿島あたりの防波堤で釣ったことがあるような、ないような。それにしてもウスバハギかー。
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ということで、この日は本命のカワハギは小型が15匹ほどだったが、外道のウマヅラハギ&ウスバハギは船中一番でかいという、ラッキーなのかアンラッキーなのかわからない釣果となりました。
釣りっていうのは本当に毎回ドラマの筋書きが違いますね。
この記事で伝わったかどうかわからないですけど、初心者でも基本を理解すればカワハギ釣りは十分楽しめると思います!さあ、レッツビギン!
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どのハギも美味しかったです!
さて持って帰ったカワハギ、ウマヅラハギ、ウスバハギのハギ三兄弟、それぞれ微妙に味が違うものの、どれも美味しくいただきました。ウスバハギの刺身なんて、釣った人だけの特権ですからね。
でも次こそは大物のカワハギを釣って、幻の「肝だけ軍艦寿司」をキメてやろうと思います!
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