電車で行くお気楽ライトアジでワラサも釣れて大興奮!/江戸川放水路 伊藤遊船
のんびりと電車で行くライトアジ釣り
海釣りというと、荷物が多かったり、朝が早かったり、船宿が駅から遠かったりで、どうしても車でいくことが多いのだが、電車で無理なくいける釣りものや船宿というのも、実は多かったりする。
駅名をいくつかあげると、都内だったら木場駅、清澄白河駅、千葉だったら浦安駅、妙典駅、神奈川だったら京急大津駅、金沢八景駅などなど、駅から徒歩圏内に船宿があるところは結構多く、そしてそこの船宿は出船が電車でも間に合う時間帯だったり(もちろん自宅の場所によりますが)、貸道具が充実していたりする傾向が強い。
また釣りものによっては、お昼に出船する午後船なんていう選択肢もあるので、朝早いのがどうしても無理という人でも、もう言い訳はできないだろう。
ということで私が今回訪れたのは、東西線妙典駅から歩いていける伊藤遊船のライトアジ。ライトアジというのは30号とか40号の軽いビシ仕掛けを使ったアジ釣りのことで、個人的に大好きな釣りだ。大好きだという割りに、これがずいぶんとしばらくぶりなんだけどね。
この釣りは取材ではなくプライベートな釣りだったのだが、久しぶりにやったライトアジ釣りがしみじみとおもしろく、そしてまさかのワラサも釣れてしまったので、この記事で紹介させていただこうという訳だ。東京湾のアジは食べても抜群においしいしね。
今回は竿とリールは持参したが、もちろんレンタルタックルも用意されている。多少濡れてもいい温かい恰好をしてさえくれば、あとは受付でタックル一式を借りたり、仕掛けを購入したりして、手ぶらで釣りに挑むことができるのだ。
手ぶらとはいっても、最低限持っていった方がいいかなと思うものもあって、ハサミ、タオル、食べ物・飲み物、保冷バッグ(クーラーボックスが無い場合)、ですかね。あと釣り船の足元は濡れる前提なので、長靴を履いてくるか、くるぶしくらいまで防水のブーツなどを履いてきた方がいいですね。
あとは事前にイメトレをして、必要そうなものをカバンに忍ばせてみてください。船酔いが心配ならば、酔い止めは必ず飲みましょう。
釣り船に乗り込んで出船すると、そこには陸の上とは全く違う景色が広がっている。
アジがどこで釣れているかによって行き先が違うのだけれど、海沿いに立ち並ぶ工場地帯を眺められたり、東京湾アクアラインのパーキングエリアである海ほたるや排気口の風の塔の近くへと来たり、ベイブリッジなどのでっかい橋の下をくぐったりと、とりあえず船に乗っているだけでも東京湾クルージング気分が味わえる。
ライトアジのタックルと仕掛け
さて伊藤遊船のアジ釣りは、30号のビシを使ったとってもライトなスタイル。使用する竿は1.8メートル前後のライトタックル用などで、リールはPE1号前後を巻いた小型両軸リールとなる。私が持参したのはオモリ負荷30号までの1.95メートルの7:3調子と、PE1号の小型両軸。シロギス用の竿にカワハギ用のリールとかでも全然OK。
基本的に竿を常に手で持って釣りをするスタイルなので、写真撮影とかに興味がなければ、竿受けがなくても問題なし。ただし、竿を落としたときに回収するためのロープは結んでおいた方が無難かな。
テンビンとビシは船で無料レンタルがあるので、そちらを使用させていただいた。万が一なくした場合は実費負担となるのでご注意を。テンビンの先にハリス2号、全長2メートルくらい、ハリ数2~3本のビシアジ用仕掛けをぶら下げる。仕掛けは出発前の船宿だけでなく、船の上で船長からでも購入可能。
お好みで天秤と仕掛けの間に短いクッションゴムを入れるのもアリなのだが、これは入れた方がバレにくくなるという人と、ライトタックルなら竿が柔らかいから不要だという人の両方がいるので、一概にどちらが正解ともいえないかな。
私は伸び率ならどんなクッションゴムより上である輪ゴムを3つまとめてクッションとして使用してみた。さてこれが吉と出るか凶と出るか。先に結論をいうと凶だったんだけどね。
さあ本日の釣り場まで到着したら、寄せエサとなるイワシのミンチをビシに8分目ほど詰め込んで、付けエサのアオイソメを1センチほどにハサミでカットしたものを針に引っ掛ける。
アオイソメが触れないという人は、イカを赤く染めたアカタン、小粒のオキアミ、バイオワームなんかを持参してください。あるいは触れるように慣れてください。イワシミンチの中にある適当な塊を使うのも私は好きです。
さて肝心の釣り方については、突き詰めれば細かいノウハウがいろいろあるのだろうけれど、基本的には船長の指示するタナにビシをキープしておけば、それでそこそこ釣れるはず。
「底から2メートルでやってくださーい!」とアナウンスがあれば、まず仕掛けを海底まで沈めて、糸がなるべくまっすぐに立つように整えつつ、海底から2メートルほどビシを浮かせればOK。
コマセの出し方は人それだけど、私の場合は竿を海面と並行にした状態でタナをとったら、一旦竿先を下げて、そこで竿をヒュッヒュと縦に振ってコマセを出し、ゆっくりと竿先を持ち上げて構えなおすというスタイル。構える場所の1メートル下でコマセを振るイメージですね。タイ釣りみたいに長いハリスを使う訳ではないので、それほど難しく考えないで、指示されたタナのところでたまに軽く振るだけでも全然大丈夫。たぶん。
この海中に蒔いたコマセでアジを寄せて釣るタイプの釣りなので、いつまでも仕掛けを入れっぱなしにしないで、適当なタイミングでコマセを詰め直すことが、すこし面倒だけど数を伸ばすコツなのはみなさんご存知の通り。ご存知だけど面倒臭くてなかなかやれない事なんですけどね。
クンクンクンとアタリがあったら、竿先をゆっくりと立てる聞き合わせをして、ちゃんと魚が付いていることを確認したらリールを巻いていく。あまり早く巻くとアジの口が切れてしまうし、ダラダラとゆっくりやっていてもやっぱりバレる。
アジは取り込みの際に口が切れたり、ハリがスポっと抜けたりして、本当にばれやすい魚。ハリに掛けたアジを何割取り込めるかが、どれくらい釣りが上達したのかを知るための目安となるのだが、これが昔から苦手なんだよね。
アジがアタリまくるがバラシまくる
さて東京湾のライトアジ釣りだが、この日は最初からいい群れに当たったようで、仕掛けを入れてコマセを出すと、すぐにアタリがやってくるという好スタート。
クンクンというアタリが来たら、竿先をスーっと持ち上げて魚のご機嫌を伺い、返事があるようなら一定の速度を目指して慎重かつ手早く巻き上げる。
そしてここからが難しい。海面にビシが見えたところでリールを巻くのをやめて、竿を立ててビシを掴んで、身を乗り出すようにしてハリスのなるべく下を素早くつかんで抜きあげるのだが、ビシをつかみ損ねたり、ハリスがアジに引っ張られて逃げたり、竿の置き場に迷ったりと、もう何百回とやっている動作なのだが、これがいまいち決まらないのだ。
その結果、アジはアタリまくるものの、半分くらいは船べりで逃がすという始末。うん、全然上達してないや。
この様子をみていた船長から、「竿の調子はいいようだから、ゴムは外してみてください。男らしくゴムなしでいきましょう!」というアドバイスがマイク越しに聞こえてきた。
柔らか目の竿を使った上に、さらに柔らかい輪ゴムのクッションを入れていることで、アジが走った時にビニョンビニョンしてしまい、その反動でバレるのではという貴重な意見。まあこのあたりは何が正しいというのではなく、自分の道具や釣り方から、ベストの組み合わせを探しましょうねという話である。
確かにビシアジ用の硬い竿なら輪ゴムを入れてもいいけれど、竿が柔らかいライトアジなら不要かもねということで、素直に外して再チャレンジ。これで確かに竿から針まで神経がしっかりとつながったような感じがして、バレる割合が減ったようだ。といっても、まだばらすのが俺の腕前なのだが。
アジをエサにしたワラサ釣りをやってみよう!
さてさてライトアジ釣りも中盤戦となりポイントが大きく変わったところで、ここからは生きたアジをエサにしたワラサ釣りに挑戦してみたいと思う。伊藤遊船のライトアジ船では、船の四隅限定で端物狙いと呼ばれる泳がせ釣りが可能なのである。
ワラサ釣りでワラサを釣るよりも、アジ釣りに来てワラサを釣る方が、個人的には感動は大きいと思うんだよね。まあ確率は低いけど。自分が釣った魚をエサにするという食物連鎖の構築は、釣り師にとってのロマンでもある。とかいって、シロギス釣りでマゴチを何度も狙って、一度も成功したことがないんだけどね。
今年はワラサやブリの回遊が各地で見られており、釣れる可能性はそこそこあるとか(といっても釣れないことの方が多いですけどね)。
この端物狙いに関しては、船宿によってルールが異なるので、もしやりたい場合はご確認を。船宿によっては、まずイカやサバを釣って、それをエサにブリなんかを泳がせで狙うところもあるみたい。
ということで、ワラサを狙って船のミヨシ席に大物用の竿を出す。しっかりとした竿とリールに、オモリ80号、ハリス8号1メートル、捨て糸5号60センチ、上糸8号1メートルの船の上で作った親子サルカンの胴付き仕掛けだ。ハリはワラサ用12号。ちなみに電動リールだけど、水深が浅いのでバッテリーは繋いでいない。
ワラサは今までに何匹も釣っているのだが、生きたエサを使った泳がせで釣ったことは無いので、この仕掛けで正しいのかは正直よくわからなかったりする。とりあえずアジを背掛けにして、ドラグを緩めてアジ釣りと同じタナで待ってみることにする。海では何が釣れるかわからないので、ワラサじゃなくてカツオとかマグロが釣れたらどうしようかなーなんて妄想をしたりして。
こういう釣りは釣果よりもロマン重視。ワラサが釣りたければワラサ専門の船に乗ればいい訳なので、アジ釣りなのにワラサ狙いの竿を出しているという事実が肝心なのである。出している限りは可能性がゼロではないのだ。
エサにしているアジもマメアジサイズが釣れなくてそこそこ大きいし、一度でもアタリがあれば超ラッキーくらいで気楽に構えて、本業であるアジ釣りに精を出していたのだが、しばらくしてからふと見れば、大物用の竿先がガクンガクンと引っ張られ、糸がジージーと出ているではないか。
アワアワしながら竿をとり、ドラグを締めてリールを巻けば、これがなかなかの大物である。アジ釣りにおける大物外道のサバよりも当然でかい。ワタワタしながら強烈な引きに耐え、電気の通っていない電動リールを手動で巻いて勝負をする。やっぱり端物用の竿を出しておいてよかった。
そして上がってきたのは、ブリの子供であるイナダではなく、ブリの若者であるワラサと呼んでも良さそうなサイズのナイスフィッシュ。まさかの裏本命ゲットである。
アジはアオイソメを食べ、ワラサはアジを食べ、そして私はワラサを食べる。俺は今日、この東京湾で食物連鎖の頂点に立ったのだ。わっはっは。
まさかの2本目もゲット!
ワラサというのは群れで行動している魚なので、このあたりにまだまだたくさん泳いでいる可能性は高い。
エサとなるアジもまだキープしてあるので、二匹目のドジョウならぬ二本目のワラサを狙って竿を出すと、なんとまたヒットしたのである。
私なのにだ。なんだこ展開は。もしかして夢ではなかろうかとほっぺたをつねると、剃り残した髭で指の腹がザラっとした。うん、現実。
そしてドラマはまだ終わらない。二度あることは三度あるかなと最後のエササイズのアジを沈めると、しばらくしてまた食ってきたのである。しかも今日一番の大物が。
こいつはワラサを通り越してブリなんじゃないかという引きを見せたものの、どうもハリを飲まれてしまったらしく、8号のハリスがザラザラに削られて切れてしまった。うーん、悔しい。すでに2本釣れているから食材的にはもう十分すぎるのだが、やっぱり切られると悔しいね。
これにて私のエサ用のアジがなくなってしまったので、逆側のミヨシに構えていた女性に仕掛けごとパス。適当なサイズのアジもちょうどキープしてあったので、もしかしたらがありますよと渡した竿の穂先は、なんとまた海へと刺さったのである。本日四発目のヒット!
彼女にとってはおそらく人生で一番の引きを見せた大物は、残念ながらメーターオーバーのサメだったため、ハリスを切ってサヨウナラ。それでも端物釣りのロマンというものを感じてもらえたのではないだろうか。これがブリだったら最高だったんだけどねー。
ということで、この日の釣果はアジが30匹以上にサバが2匹、そしてワラサが2本と大満足の結果となった。アジ釣りに専念していたベテランさんは、50匹以上を釣っていたみたい。今度はストイックにアジだけを求めるのも楽しそうだ。
ということで、ワラサの回遊とアジ釣りの場所が重なった時にだけ楽しめるという、期間限定・船宿限定・船長限定・釣り座限定のワラサ狙いだけど、こんな釣りもあるんだよということで、ちょっと覚えておくといいかもね。
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