成長意欲がある若者はフィリピンで働け!
時代はグローバル。外国で働きたい、キャリアアップのために英語圏の職務経験を得たいなど、海外で働くことを考えている若者が近頃増えているようだ。
フィリピン就職が選ばれる理由
海外で働くことを考えたとき、最も多いのが「英語を話す国で働いて語学を身につける」という考え方。その場合、アメリカ・イギリス・カナダ・オーストラリアなどの英語圏かつ先進国で働くことが好ましいが、そのような国で就労ビザを取得することは、特別なスキルやネイティブに通用する語学力が無い限りはとても難しい。
そこで次に目をつけるのが、英語が公用語にされていて、就職口が見つかりやすいフィリピンをはじめとした「アジアの新興国・発展途上国」。フィリピンは国民のほとんどが英語を話す国だ。国際的な調査でも英語レベルは世界トップクラスとなっていて、表記はもちろん、ほとんどのところで英語でコミュニケーションを取ることが出来る。
では、フィリピンで働けば他の英語圏と同じように英語のスキルが身についたり、キャリアステップに繋がるのか?
自分はフィリピンの現地法人で約3年間働いた経験がある。今回はフィリピンで働くことのメリットとデメリットを自分の経験も含めて紹介したいと思う。
【デメリット】
■語学力は伸びない
いきなり失望させることを言うが、語学習得が目的でフィリピンを選ぶことはあまり望ましくない。フィリピンでは英語が共用語として使われていて、日本の平均レベルと比べると高いが、実際に現地人同士は現地語(タガログ語やビサヤ語など)を使っている。
そのため、職場内以外の日常生活を送る上で英語を耳にする機会は案外少なくないためだ。また、コミュニケーションでは英語を使うが、第2言語同士だと間違った文法や発音でも気にすることなく、意味が通じれば成立してしまう。
これはコミュニケーションが容易という良い部分もあるが、正しい英語が身につかないので、コミュニケーションを取ることが出来る一定のレベルに達すると、その後は自然に伸びることはない。
事実、自分もフィリピンに来て以来、英語力の伸びは実感していない。またネイテイブレベルで英語を話す日本人を見たことがない。生活を送るうえで自然に英語力が伸びる環境は母国語が英語の国に行くのが一番である。
■ITを中心に時代から遅れる
フィリピンは発展途上国の中でもインフラ面で後進的な国。特にネット環境は悪く、インターネットの平均スピードは13Mbほどと、近辺諸国と比べても低速。そのため、最新のサービスを使うとネットの速度が追いつかなかったり、企業で使われているITやテクノロジーのレベルも低いという印象がある。
■南国特有のペースに流される
フィリピン人は日本人に比べてのんびりしている。それが良くてフィリピンを選ぶ方も多いが、スキルアップやキャリアステップを見据えた場合、これはマイナス要素となる。他のビジネスパーソンは自分より何倍も早いスピードで情報をキャッチして、毎日たくさんのタスクをこなしていることを認識して、自律しながら仕事に望む必要がある。
■賃金格差で勘違いをする
フィリピン人の平均所得は日本人と比べるとまだまだ少ない。日本人がフィリピンで職に就く場合、日本に比べると給料はかなり低くなるが、それでも日本語が話せるスキルだけで、最初から現地人の2〜3倍ほどの給料を貰えることが多い。
また、物価も安いので庶民的な店だと2,000円もあれば同僚を数人連れて外食をご馳走することが出来る。そのため、持ち上げられるこもあるし、少し裕福になったような錯覚に陥る。
しかし、それは錯覚で給与は日本に比べて低いことを忘れてはいけない。その間に日本で働く同世代は収入も上がり、多くの税金を収め、企業・厚生年金といった将来の積立もしているのだ。
■再就職で不利になることもある
実際にフィリピンに行ったことで楽な方に流れてしまい、日本の社会不適合者になる人も多くいることは現実。そのため、日本企業では発展途上国でのビジネス経験は評価していないことが多い。むしろ、「その期間は遊んでいた」と評価されることも良くある。
【メリット】
■世界観を広げることが出来る
フィリピンだけではないが、海外に出ると世界観は確実に広がる。それはどちらかというと日本が閉鎖的な国だからという点もあると自分は思っている。「日本の常識が世界のマジョリティではない」ということは海外に出るまで自分も気づかなかった。日本の良い面も悪い面も、海外に出ると中立的に見ることが出来るので、長い人生においてきっとプラス要素になるだろう。
■組織マネージメントが難しい(やり甲斐がある)
フィリピンと日本は文化が全く違う。そのため、今まで日本で組織をまとめる立場であった人でも、フィリピン人をまとめるとなると話は別で困難の連続であるはずだ。嫌われる勇気はもちろん、それを跳ね飛ばす実力。人を敬い、尊敬される人間力がなければ異国の人間に人は付いてこない。フィリピンでの組織マネージメントの経験と功績は必ず今後の仕事において自信につながるはず。
■生きたビジネススキルが身につく
あなたが日本で就職する場合、よっぽどのスキルが無い限り、最初はあなたの代わりなどいくらでもいるはず。しかし、フィリピンでは日本人は貴重な存在である。採用してもらった企業もあなたに期待を寄せるだろう。そのため、早い段階で重要な業務を任せてもらえる場合もある。そのチャンスは同時に大きな試練となるが、それを乗り越えた時、他では学べない生きたビジネススキルが身についているはずだ。
■ビジネスチャンスを見つけたり、掴める可能性がある
フィリピンは2014年には人口が1億人を突破し、その人口ボーナスのピークは2045年まで続くと予測されている。その一方でインフラ整備はまだまた不十分で、日本で当たり前に受けているサービスや商品もフィリピンでは浸透・流通していないことが多い。今は平均所得も低いフィリピンだが、今の調子で人口と共に経済発展が進み、個人所得が増えていけば将来的には非常に大きなマーケットになることは間違えない。その観点で仕事や日常生活を送っているとビジネスチャンスはあちこちに落ちているはず。
■四の五の言わず、単純に面白い
これは完全に自分の感想になるが、文化やキャラクターが違う場所で仕事をすることは驚きと新鮮の連続である。辞書にもネットにも載っていない解決策を自分自信で探すことは何より面白い。
【まとめ】
今回は実際に3年間フィリピンで勤めた自分の私感も含めた内容を書いた。もちろんフィリピンでの職務経験をプラスに出来るか出来ないかはその人次第だ。
自分の意見となるが、フィリピンでの職務経験がプラスになる人の特徴は下記。
・明確な目標と期間を決めている
・自立と自律が出来ている
・多様な考え方が出来る
逆にこんな人は失敗するのでやめた方が良い。
・とりあえず、海外で働いてみたい
・英語力を身に着けたい
・日本での転職で有利になるスキルがほしい
という方にはフィリピンはあまりおすすめ出来ません。
今回の記事が海外で働くことを考えている人の参考に少しでもなれば嬉しいと思う。